Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月8日㈬~3月14日㈫】
日本時間の3月6日㈪の午前中から、第95回アカデミー賞の各賞受賞者が順次発表になり、社内で仕事をしながらネットの速報をチェック。パブリシティを担当していた3部門ノミネートの『逆転のトライアングル』は無冠に終わり(番狂わせ的に脚本賞とか獲っちゃったりしないかなぁ、と淡い期待を寄せていましたが)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が最多7部門、『西部戦線異状なし』が4部門受賞、という結果になりました(『イニシェリン島の精霊』の無冠も残念!)。
帰宅後は、22時からWOWOWで放送された授賞式の模様を、最初から最後までしっかり鑑賞しました。帰りのバスの車内で、午前中の生中継を観た人たちの「感動した!」という感想ツイートをいくつも読んでいましたが、“エブエブ”組のスピーチは、ホントに皆素晴らしかった。正直、映画本編よりも感動しちゃいました(笑)。特にグッと来たのは、やっぱり主演女優賞を受賞したミシェール・ヨーのスピーチ。ミシェール・キング名義で数々の香港映画に出始めていた80年代半ばは、ちょうど私が香港映画にハマり始めた時期と重なるので、リアルタイムで活躍を見ていた身としては、感慨もひとしおです。
香港といえば、現在HONG KONG FILMARTが開催中です。映画・テレビの映像コンテンツ見本市で、ここ数年はコロナによって中止、規模縮小を余儀なくされていましたが、今年は日本からも多くのバイヤーが参加して、完全復活しているようです。私が最後に参加したのはいつだったっけ?と調べてみたら2019年でした。コロナによって一時期厳しかった入国もだいぶ簡略化されたみたいだし、今年は久々に参加しようかな…と思っていたのですが、大阪アジアン映画祭と日程が丸かぶりだったので、大阪行きをチョイスしてしまいました。が、同業の方々がFacebookにマーケットの話題を投稿しているのを見るにつけ、FILMARTより何よりも「香港行きてーッ!」という気持ちがムクムクと頭をもたげてる今日この頃なのでした。
ザジフィルムズは香港とあまり縁が無さそうに見えるでしょうか?実はそうでもないんです。ホームページのCOMPANY PROFILE に載っている香港映画は、宣伝を担当したアン・ホイ監督作『桃(タオ)さんのしあわせ』、劇場配給作品は2018年に公開したキーレン・パン監督作『29歳問題』のみですが、中国返還前まだ飛行機が着陸するのが町に近い啓徳空港だった90年代半ばから足繁く通い、レンタルビデオ市場向けに新作の買付けをしたり(ツイ・ハーク監督、レスリー・チャン主演の『金玉満堂 決戦!炎の料理人』、アンディ・ラウ主演の『天與地』など。『天與地』は小規模な劇場自社配給も)、ショウブラザースや、設立されたばかりのメディア・アジア・ディストリビューションなど、映画配給会社をまわって旧作のビデオ化権、テレビ放送権の契約をしたり。旧作に関しては、今は何十本、何百本という本数のパッケージ契約が主流だと思われますが、当時はうちのような小規模な会社が、2本、3本と少ない本数の旧作を契約することも可能でした。当時から嫌がられてはいましたが(笑)。香港好きが高じて、かつて景気が良かった頃には(涙)2度、社員旅行でも出かけています。
そんなこともあって、私にとって香港はとても馴染みの深い場所。個人的な旅行も含めれば、コロナ前(というか民主化運動が激化する2019年以前)は2年に3回ぐらいのペースで訪れていたでしょうか。“食”が合うこと(広東料理は大好物です)、“人”が合うこと(ワイワイと騒がしくても気にならず、居心地が良い)が、私が香港に惹かれる二大要因だと思いますが、それ以外にも意外とマラソン、トレイルランが盛んだったり(またレースに出たい!)、買い物が楽しかったり(アウトレットのホライズン・プラザは今はどうなっているのだろう?)、香港に行きたい理由を数えたら両手では足りません。
あぁ、こんなことをツラツラと書いていたら香港、明日にでも行きたくなりました(笑)。映画に話を戻せば、長らく低迷…というか元気のなかった香港映画界ですが、ここへ来て活気を取り戻してきている、という話を良く聞きます。それが如実に顕れているのでしょうか、現在開催中の大阪アジアン映画祭でも、合作を含めて6本の香港映画が上映されるようです。私は明日から2泊3日で参加。8本観るつもりなのですが、そのうちの半分近く、3本が香港映画。今週のザジ通信、実は来年配給する香港映画の、大いなる前フリ…という話…は全くありません。が、今年中に香港に出かける前フリであることは、先ず間違いないと思います(笑)。
texte de Daisuke SHIMURA
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