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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【6月7日㈬~6月13日㈫】

鎌倉の川喜多映画記念館で3月18日から始まっていた展示【BOWバウシリーズの全貌―没後30年 川喜多和子が愛した映画】にやっと行ってきました。1993年6月7日に53歳の若さでお亡くなりになって、今年で30年。前月のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲った『ピアノ・レッスン』を買い付けて帰国された直後の訃報でした。私はその頃会社を立ち上げて3年半ほど。川喜多さんのお名前はもちろん存じ上げてましたし、シャンテシネに映画を観に行くと、上映されているフランス映画社の配給作品の入りや客層を観に来ていた川喜多さんをお見掛けすることもあり(「雨の日は必ず劇場に現れる」という話(伝説?)を聞いたことがあります)、認識させて頂いてはいましたが、ご挨拶する機会もないままでした。

柴田駿氏と共にフランス映画社を設立したのが1968年。今回の展示のタイトルにもなっているBOW(Best films Of the World)シリーズが始まったのは1976年だそうで、私自身10代後半から20代の多感な時期に観た、フランス映画社が配給した数々の映画に育てられた、と言っても過言ではありません。フランス映画社が存在しなかったら、配給会社という存在を意識することはなかったかもしれません。

展示コーナー入口  撮影が許されていたのはここまで。

今回の展示は、川喜多さんの偉業を示す数々の配給作品のポスターを始め、告別式での大島渚監督の弔辞、ヴェンダースやジャームッシュ…、海外の監督も多く含む生前親しかった方々のコメント、ご本人の貴重な写真などで構成され、70年代から90年代初頭の、ミニシアター黎明期、草創期から全盛期、熱かった“あの頃”を追体験することが出来る素晴らしいもので、同じ仕事をしている身としては、「襟を正す」というか「褌を締め直す」というか、私ももっと精進しなければ、という思いを新たにしました。今や映画を取り巻く環境は大きく変わり、配信全盛、映画は“コンテンツ”の一つ、という捉え方が主流とも言える中、配給会社として“映画と観客をどう繋いで行けば良いのだろうか?”などと、大それたことも考えてしまう鎌倉からの帰り道なのでした。

展示は6月25日㈰まで。24日㈯にはヴィム・ヴェンダース監督作品『東京画 2Kレストア版』の上映と、80年代フランス映画社に在籍されていた映画研究科/書籍編集者の森遊机さん、映画評論家の斎藤敦子さんのトークイベントが開催されます(6月3日に予定されていましたが、台風のため延期になっていました)。お話是非伺ってみたいし、川喜多映画記念館に隣接している旧和辻邸で笠智衆さんのインタビューが撮影された『東京画』もご当地で観てみたい!とチケットを帰りがけに買いました。が、よく考えたらその日は渋谷シアター・イメージフォーラム“ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ リプリーズ”の初日立ち会いでした。どうしましょう!

その“ジョン・カサヴェテス レトロスペクティブ リプリーズ”ですが、2012年から断続的に配給してきたので、今回あらためて大きな特集や紹介記事がどちらかの新聞、雑誌に出る、という話もなく、「ちゃんと上映が始まることが伝わるのだろうか…」と不安だったのですが、ここへ来て大きなパブリシティが決まりました。TBSラジオの人気番組、ライムスター宇多丸さんの“アフター6ジャンクション”、通称“アトロク”、6月21日㈬20:00~の枠で、1990年に出版された雑誌SWITCHの伝説のカサヴェテス特集を編集にも大きく関わった映画プロデューサーで編集者の松田広子さんをゲストにお迎えし、カサヴェテス映画の魅力を存分に語って頂くことになりました。去年12月の同コーナーで小柳帝さんを迎えた“ピエール・エテックスって誰だ”特集も大きな反響があったので、今回もこの番組を機にカサヴェテスを知らない方々にも興味を持って頂ければ…と願っています。どうぞお楽しみに!

そして初日が8月19日㈯に決まったオオカミの家』の話題です。昨日、遂にネット上で日本版予告篇が解禁になり、解禁直後からSNSでは「ヤバい」「怖い」「観たい」の声多数で、大反響を呼んでおります。もうホントに、心底イヤぁな感じの予告(笑)。ラストのタイトルロゴがウゴウゴ蠢いている感じは、タイトルロゴを切り抜いて実際に動かして撮影してくださっているそうです。あと、ラストの“ギロッ”もお見逃しなきよう。渋谷シアター・イメージフォーラムでは、今週末から特典付き(特製クリアファイル)特別鑑賞券の販売もスタートします。既に予告編の上映が始まっていますので、大画面で観たらどんな感じか、今週末確かめに行ってこようと思ってます。

最後に。7週間の長きにわたってロングランしていた新宿シネマカリテでの『セールス・ガールの考現学』の上映が、いよいよ明日15日までとなりました。17:15~1回の上映。私も開映前に寄らせて頂くつもりです。高崎梅田広島岡山も明日15日まで。長野 相生座・ロキシーでは引き続き上映中、16日からは福島 まちポレいわき愛知 刈谷日劇佐賀 シアターシマエ、17日からは富山 ほとり座(初日の上映後は“モンゴル食事会”なんて楽しそうな企画も開催されるようです。要チェック!)での上映も始まります。各地の皆様、是非劇場に足をお運び下さい!

texte de Daisuke SHIMURA


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