Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月31日㈬~4月6日㈫】
今日は、Staff Oが半休。娘さんの入学式だそうで。例年なら入学シーズンの今時分は、まだ桜の花も残っているけど、今年は咲くのも散るのも早かったので、都内のソメイヨシノはほぼ葉桜、入学式に桜の花びらが舞ってないのは、ちょっと寂しいかも。式自体は、コロナ禍も2年目になる今年はシステマチックになってるみたいで、父兄の参加は記念写真撮影のみ。サクッと終わったのは良かった、とのこと。
私は、と言えば日曜、ラン仲間2人と「桜は終わっちゃったけど、せめて外飲みしたいよね」ってことでラン。しかしゴールの多摩川沿いの公園のテーブルには“宴会禁止”の貼り紙。デパ地下で買いこんできた小分けのおつまみを、食べる分だけその都度バックパックから取り出し、“ご近所さんが偶然会って、水分摂りつつ世間話”の体で、マスク宴会を決行したのでした。しかし雨も降り出し、小一時間で強制終了…(泣)。
さて。今週はどんな仕事をしていたのかというと、引き続き、5月21日公開の“カトリーヌ・スパーク レトロスペクティブ”の宣伝もろもろ。そして、5月末に急遽都内単館で再映することになった作品の仕込み作業(来週末、情報解禁予定!)。後は、来年春、夏に公開したいと思ってる旧作、新作1本ずつを、劇場の編成担当の方にプレゼンする作業等々…、興味を持って読んで頂けそうなここら辺のネタは、またしてもまだ書けないのでありました。
書けるのは、先週の通信の最後に告知しました目黒シネマで絶賛上映中の『ハッピー・オールド・イヤー』と『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の2本立てについて。ザジフィルムズ×目黒シネマ、今年早くも3度目のタッグとなります。先週のヴァルダ特集vol.2の上映時は伺えなかったので、個人的にプレゼントに使うつもりの『ハッピー・オールド・イヤー』Tシャツを買いがてら(館内で絶賛販売中!弊社内には在庫が一枚もない!)、ご挨拶に行ってきました。
この2本立て、『ハッピー・オールド・イヤー』を劇場配給することにした去年の春先から、本公開が終わったらどちらかの名画座でやってほしいなぁ、と思っていた念願の企画。“チュティモン・ジョンジャルーンスックジン主演作2本立て”であるのはもちろんのこと、“タイの俊英監督2人の映画2本立て”でもあるこの番組、限られたおこづかいから2本立ての名画座の入場料を捻出していた、少年時代の映画小僧の自分でも、きっと「こんな組み合わせの2本立てあったらいいな」と思っただろう、と自負しています。
現在も都内には、目黒シネマを始め、早稲田松竹、飯田橋ギンレイホール、新文芸座が、名画座として2本立て興行を続けてくださっていますが(キネカ大森も一番組は“名画座2本立て”ですね)、私の映画小僧時代は、まだ数多くの名画座が存在していて、「ぴあ」や「シティロード」を片手に、あちこち飛び回っていたものでした。一番古い記憶で言うと、渋谷全線座(今の明治通り沿い、東急REIホテルの辺り)で、コッポラの『カンバセーション 盗聴』とビリー・ワイルダーの『フロント・ページ』を観たのが、おそらく1976年頃。中学3年ぐらい。大井武蔵野館、自由が丘武蔵野推理劇場、並木座…。書き出したらキリがないのでやめておきますが、いろいろな名画座にお世話になりました。
当時は、名画座料金よりも少し割高な、TYチェーン(東宝洋画チェーン)、STチェーン(松竹東急チェーン)という、ロードショー1本立て興行終了直後の作品を組み合わせて編成する、今でいう“ムーブオーバー”2本立て興行も存在していて、TYのほうの旗艦劇場は有楽町駅前にあった有楽シネマ。映画代を節約したい私は、よく有楽シネマに電話して、「次は何と何の2本立てですか?」「次の次は、何と何の2本立て?」、「次の次の次は?」と訊いて、露骨に嫌がられていた記憶があります(笑)。最近、松竹ブロードキャスティングと東急が組んで、衛星放送を始めることが発表されましたが、その局名が「BS松竹東急」と聞き、「おっ!STチェーン!」と即座に思いました。同年代の方で同じをことを思った人、いるかも(『アリスの恋』と『ブルージーンズ・ジャーニー』の2本立てとか、秀逸な組み合わせでした)。
懐かしネタに突き進んでしまいましたが、ついでにもうひとつ。平成元年に閉館した三鷹オスカー(こちらは基本3本立て)は、“Jホラーの父”と呼ばれる、『リング0』、『おろち』等の鶴田法男監督のご実家として有名ですが、閉館当時、番組編成をしていたお兄様の鶴田浩司氏と共に、Facebook上で“バーチャル三鷹オスカー”というサイトを運営されています。ロードショー公開される最新の映画に併せて、「あったらいいな」と思う3本立ての番組を、ご丁寧にバーチャルな上映時間表も付記して紹介してくださっています。ぜひ一度ご覧になってみてください。
話を目黒シネマの2本立てに戻します。ザジとして公式には一切告知していませんが、『ハッピー・オールド・イヤー』は実はNET FLIX(リンクは貼らない。笑)が世界展開で配信していて、日本テリトリーもそこに含まれ、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、日本でも4月10日から配信が開始されます。目黒シネマでの上映が前日の9日まで、というのは、全くの偶然。「奇跡的なタイミングだ!」と密かに感動していた私です。もちろん、配信が始まってしまったら、うちの劇場配給の権利が消滅する訳ではありません。引き続き劇場さんからのオファーがあれば、映画館の大スクリーンで観て頂くことが出来ますので、劇場へのリクエストよろしくお願いします!
texte de Daisuke SHIMURA