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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月17日㈬~3月23日㈫】

一週間が飛ぶように過ぎて週刊ザジ通信の更新日、水曜日がやってきてしまいました。毎週毎週ネタになるような出張やら、新作の情報解禁があるワケではないので、週明けの月曜辺りから「今週は何を書こうかなぁ」と悩んでいます。この連載を始めてみて分かったのは、一番困るのは現在実際に行っている買付けや、配給宣伝の準備についての詳細を書けないこと。そこが一番ネタとして興味をもっていただけるだろうに... 、と思うことしきり。実際ここ数日は今年後半から来年にかけての、新たな劇場配給作の話が少しずつ動き始めているのですが、正式にここで発表出来るようになるまでは、まだ時間を要しそうです。

代りに何か特筆すべきことがあったかなぁ、と別の話題を探します。あ、そういえば先週は久々にオンラインではなく、外でミーティングをしたんだった。アパレル会社でタイアップのお願いのためのプレゼン。初めてお会いする方々なのにオンラインだと隔靴掻痒感は否めないので、先方が「構いません」とおっしゃってくださったので、先方の会社に伺いました。大手の企業はやはり感染症対策バッチリですね。入口では検温、消毒。接客エリアは、元々「密」ではない広々とした空間。その上、テーブル毎に大きなアクリル板で仕切られています。

ミーティングは滞りなく終了。形になるかは分かりませんが、興味は持ってくださった様子です。当然の話ですが、アパレルに勤めている方は皆さんやっぱオシャレですよね。私もさすがに初めてお会いする方たちなので、少しはちゃんとした格好をしなきゃ、と久々にジャケットを着たりしましたが、いつ買ったジャケットかも思い出せないほど昔のもの。プロの目で見たら「今どき?」みたいなデザインだったかもしれません(肩パットは入っていませんよ)。

それで思い出しましたが、ザジフィルムズを立ち上げるよりももっと前のこと(何十年前??)、とあるカリスマなデザイナーのメーカーの就職試験を受けたことがあります。当時(80年代)はDCブランドブームだったので、ファッションに特段興味がなくても、そういう選択肢も存在していたのだと思います。書類選考、筆記試験を経て(なぜかそこまで進んだ)、面接試験。会場に着くと、そのデザイナーの信奉者であろう若者たちが、そのブランドのモードな服を着てズラっと並んでいました。私は「海外渉外」みたいな仕事に興味があっただけなので(映画の買付けに近いのでは?という根拠のない想像も)、1人だけ就活用のトラッドなスーツ姿で(しかもお金が無いので、雑誌「メンズクラブ」に出てくるような気の利いたブランドのものではなく)、思いっきり浮いていたものです。

面接室に入ると、そこは普段何に使われているのか、だだっ広いフローリングの部屋。面接官はオシャレな長テーブルに男女1人ずつ。そこから10メートル近く離れた場所に(あくまでもイメージ。実際はそこまで離れてなかったと思います)、ぽつねんとスチールの椅子が1つ置いてあって「そこに座ってください」ということなのでしょう。男の人はどんな風貌だったか覚えていませんが、女性のほうは湯山玲子さんのような感じの人。サングラスを頭の上に上げていた気もします。もうまんま映画『フラッシュダンス』のオーディションの世界。何を訊かれ、どう答えたのかは全く記憶にありませんが、♪ ワット・ア・フィーリングと歌い踊り出してしまいそうだったのは覚えています。

今回は国内のメーカーさんでしたが、ハイブランドと言われるヨーロッパに本社がある海外ブランドとのタイアップも過去に何回か経験しています。そういう場合はなおさら大変。あるブランドとのタイアップの際には、そのブランド主催で、試写会が実現しました(冒頭の画像の映画『こわれゆく女』のプリント修復を、そのハイブランドさんがスポンサードした流れで)。が、いつもやっているような一般試写会とは違い、招待客のセレクションや会場のセッティングなど、すべてそのブランドの仕切り。受付カウンターを持ち込むほどのこだわりよう。当日、先方のスタッフはもちろん皆、そのブランドのスーツで対応していますが、私たちザジチームはそのブランドの服など持っていません(かろうじてネクタイ1本だけ持ってた。笑)。気張ってめかし込んでも悲しい結果に終わるのは目に見えていたので、皆には「なるべく地味でシンプルな目立たない格好で…」と指示を出し、結果的に皆モノトーンのファストファッション系の服を着てその難局を乗り切りました。

でも、アパレル業界も今はきっと大変ですよね。私自身、ここ一年のコロナ禍で営業に出かけるのも限定的だし、会食もほとんどなし。おまけに昨年11月に事務所を引っ越してからバス通勤になったので、日々着るものにほとんど構わなくなり、新しい服なんてもう何ヶ月も買っていません。山手線使ったり、ターミナル駅で乗り降りしたりするなら、朝、着替える時にちょっと考えたりするのでしょうが、今は通勤バスに同乗しているのは地元の爺さん婆さんばかりなので、服を気にする必要がありません。

…と書き連ねてきて、何のオチもなく唐突に終わる今週の日記(笑)。タイアップが実現したら続報をお届けすることにしますね。

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                      texte de Daisuke SHIMURA

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