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Histoire De Zazie Films 連載⑨    マイ・ライバル、あるいは、すばらしき仲間たち。

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前回の記事はこちら☞ 連載⑧来る
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何だか最終回のような、“大団円”感漂うタイトルですが、連載はまだまだ続きます。

映画配給業界に身を置く方々にとっては、おそらく不思議でも何でもないことなのですが、この業界、同業他社さんは競合相手でありながらも、協力し合う関係。たとえば1本の映画を共同配給という形で役割分担して買付け、公開したり、自社の配給作品の宣伝を、他の配給会社の宣伝スタッフに委託したり。このコラボレーションの仕方は、他国の同業者にとっても結構珍しいようで、何度か不思議がられたことがあります。

映画祭や見本市で年中顔を合わせるバイヤー同士なので、自然と気心は知れ、情報交換などはどこの国の配給会社同士でもやっていることだと思うけど、いざ共同で会社単位で組んで何かをするのには諸々のハードルがあるのは容易に想像出来、そういったコラボがどこの国でも盛ん、ということはないようです。

…という長々した書き出しで、今回は何について書くのかというと、“宣伝を請け負ってきた他社作品”ヒストリー。単に宣伝受託、と言っても大まかに2パターンあって、パブリシストとして宣伝を請け負い、テレビや雑誌、新聞、映画評論家、ライターの方々に売り込んで紹介してもらう仕事と、その作品をどう売るか?という宣伝のコンセプト作りから始まって、邦題の決定やポスターやチラシのデザイン、予告編作りのディレクションに至るまで、総合的にその作品に関わる、いわゆる宣伝プロデューサーという立場も含めて引き受けるパターンがあります。今回は後者を中心に。

2004年の『幸せになるためのイタリア語講座』のヒットのおかげでしょうか?ザジにもポツポツと他社さんから宣伝委託の依頼が来るようになりました。宣伝プロデュース業務も含めて、初めて請け負った仕事は松竹さん配給の『トランスアメリカ』(‘05)。『幸せ~』と同じシネスイッチ銀座さんがメイン館だったので、シネスイッチのYさんがうちを推薦して下さってオファーが来たんだと思います。

トランスアメリカポスター


アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされていた話題作とはいえ、トランスジェンダーの女性が主人公の、決して売り易い映画ではなかったのですが、作品が素晴らしかったので全精力を注ぎこんで宣伝しました。たとえば、当時流行り始めていた「宣伝マンブログ」をHP上に立ち上げ、一日一ネタ、この映画のセールスポイントを微に細に渡り綴り、それを一ヶ月以上続けた記憶があります。あれ、どっかにデータ残ってないだろうか?
宣伝マンを目指す若い人に、ぜひ読んでもらいたい(笑)。

松竹さんにはその後も何本かお仕事を頂きましたが、初コラボの『トランス~』が一番上手く行った感じで、たとえばデビュー曲がオリコン18位ぐらいのスマッシュヒットだったけど、2曲目以降はセールスがだんだん下がって、ベスト100にもランクインできない曲も…、ってもう止めなさい(笑)。

他にも東宝東和さんにお仕事を頂いた『つぐない』、『風にそよぐ草』。
ハピネットさんからの『題名のない子守唄』、『スルース』。ツインさんから『桃さんのしあわせ』、『海にかかる霧』なども。同じツインさんのミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』や、ギャガさんの『タイピスト』はパブリシティの担当でしたが、キャッチコピー案を採用してもらったりして印象に残っています。

が、そんな中でいろんな意味で強く記憶に残っているのが『落下の王国』。今は無くなってしまった配給会社さんからのお仕事でした。宣伝作とはいえ、ザジの歴史からは外せない1本。詳細は次回…?

今回“Help!The映画配給会社”プロジェクトに参加している会社さんの多くとも、お仕事させて頂いています。
前にも書きましたがクレストさんにはヴィスコンティの『ルートヴィヒ』を一時期預けて配給して頂いたり、ムヴィオラさんには『ビートニク』のパブ、セテラさんにもジャンニ・アメリオ監督の『家の鍵』のパブでご協力を頂きました。第二弾チームでプロジェクトに参加している彩プロさんとは『故郷よ』というチェルノブイリの事故をテーマにした映画の宣伝のお手伝いをさせてもらったりしています。

こうした日頃からのお付き合いがあったからこそ、今回の“Help!The映画配給会社”プロジェクトは成立した、と言えます。足の引っ張り合い、髪の引っ張り合いをして喧嘩したりすることのないよう、今後も仲良く共生していけたら…と切に願っています。


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