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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【5月3日㈬~5月9日㈫】

先週の当通信が2日半遅れの金曜深夜の更新だったこともあり、「えっ?もう一週間経ったの?」という感じですが、早くも更新日の水曜日がやってきました。先ずは予告通り、弊社が今秋公開するジャンニ・アメリオ監督作『蟻の王(仮題)』の、5月3日のイタリア映画祭での本邦初上映の話題から。多くのイタリア映画ファンの方々がご来場下さいました。

上映後は主演のルイジ・ロ・カーショさんがご登壇下さり、映画をご覧になったばかりのお客様からの質問に答えるQ&Aタイム。一つ一つの質問に、誠実に、丁寧に、時にユーモアを交えて答えて下さり、お客様も大満足のひと時となりました。私的に一番印象に残った答えは、本作が映画デビュー作となる相手役の新人俳優レオナルド・マルテーゼに関する質問。映画の中で二人が法廷で視線を交わし合うシーンがあるのですが、「演じている役柄になり切って慈しみの気持ちで見つめつつ、俳優マルテーゼ本人のその渾身の演技を目の当たりにして(新たな才能の俳優が誕生する瞬間に立ち会って)俳優としても感動する気持ちが同時に湧いていた」というような、表現は違っていたと思いますが、そうした主旨の答えを聞き、こちらもその話に感動してしまいました。映画をご覧になってない方がほとんどなので、「何のことやら?」という感じかもしれませんが、何しろ素晴らしいシーンだった、ということでお許しください。

ルイジ・ロ・カーショさん。インタビュー前にパチリ。

ロ・カーショさんは5月5日に帰国。朝、空港に向けて出発する前に滞在先ホテルにお見送りにも行ったのですが、車に乗った後も、見送る我々を携帯で撮ったり、身を乗り出して手を振ってくれたりで、最後まで親しみを込めた態度で接して下さいました。こんな良い人、なかなかいません。

5月10日にはイタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の授賞式。『蟻の王(仮題)』は11部門にノミネートされていて、ロ・カーショさんも主演男優賞候補の一人です。受賞すれば、2001年デビュー作『ペッピーノの百歩』でいきなり主演男優賞に輝いて以来、22年ぶり、2度目の受賞となります(2020年に『シチリアーノ 裏切りの美学』で助演男優賞も受賞しています)。ノミネートされているのは他に、『帰れない山』のルカ・マリネッリとアレッサンドロ・ボルギ、イタリア映画祭で上映されたロベルト・アンド―監督作『奇妙なこと』のサルヴァトーレ・フィカッラとヴァレンティーノ・ピコーネ、マルコ・ベロッキオ監督作『夜のロケーション』のファブリッツオ・ジフーニの5人。下馬評的にはファブリッツオ・ジフーニ(イタリア映画祭で観ましたが、こちらも素晴らしかった!)が頭一つリード、という感じかもしれませんが、どうかロ・カーショさんが受賞しますように!

こうしてイタリア映画祭も、ゴールデンウィークも終わり、日常が戻ってまいりました。『セールス・ガールの考現学』も引き続き好評上映中。今週末12日からは、仙台 チネラヴィータ福岡 KBCシネマでの上映がスタートします。大阪京都神戸、関西地区の皆様は来週19日まで、もう少々お待ちください!

そうこうしているうちにカンヌ国際映画祭も近づいてきました。今年は5月16日スタート。ザジ・チーム2名も週明け15日に出発。4年ぶりに参加します。当通信で何度か書いている通り、13年連続で借りていたアパートが借りれなくなったため、今年は新しいアパートなのですが、この物件に決まるまで、実は一波乱ありました。

3月の時点で押さえていたアパートは、メイン会場まで徒歩15分。個人オーナー(仮にピエールとしましょう)所有で、チェックインの時間や鍵の受け渡し方法などの詳細を予約サイト内のメッセージ欄で、そのピエールと直接やり取りしていました。が、もともと、そのアパートより近くて安い物件が出たら、そちらに乗り換えようと思っていたので、キャンセルが無料で出来る期間(1ヶ月前)は、引き続き予約サイトのチェックを怠っていませんでした。複数を同時に予約しているワケではないし、それって普通にやりますよね?

で、到着1ヶ月前になる2日前、安くて近い出物があり、予約していたアパートをキャンセルしました。翌日、ピエールからダイレクトメッセージ。「サイトの操作ミス?キャンセルになってるよ?」。ドキッとしましたが、「いえいえ、ごめんなさい。キャンセルしました」と返事。別のアパートに乗り換えた、というのも言いにくかったので、「カンヌに行かなくなったので」とウソ。ピエールからのメッセージは途絶えました。申し訳ない気もしましたが、“1ヶ月前まではキャンセル料無料”と謳っている物件なのですから、こちらに否はありません。

それから2週間ほど経ったゴールデンウィーク中。ピエールのこともすっかり忘れた頃合い。携帯にダイレクトメッセージが入ってきました。そこにはピエールからの「あなたはフェアじゃない…」という一言…。私たちがひと月ほどアパートをキープしてしまったため、機会を失って借り手が見つからず、恨みがつのってしまったのでしょうか?実は乗り換えたアパートは、元々のピエールのアパートと、番地は違えど同じ通りにあります。もしかしてこちらの新しいアパートのオーナーと顔見知りで、「カンヌに行かなくなったので」というウソが、何かの拍子にバレたのでしょうか?
現地で何も起こらないことを、どうか祈っていて下さい…。

…と、ちょっと怖いお話を書き残して、カンヌに旅立つ私です(笑)。

                     texte de Daisuke SHIMURA



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