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告白水平線 (毎週ショートショートnote参加)


今年も【告白!水平線】が開催されている。
浜に作られた特設ステージから、水平線に向かって大声で何らかの告白をするというよくある町おこしイベントだ。

役場勤めの友人に今年こそ参加しないかと何度も誘われたけど断った。人前で大声で叫ぶことができて盛りあがるけど引かれない、そんな丁度いい告白は持ち合わせていない。

「おじいちゃんの鶏を逃したのはー
わたしでーす」

「すきだー
けっこんしてくれー」

あいにくの曇り空の下、鈍色の海に向かって叫ばれる告白はありふれたものばかりだけど、それなりに盛り上がっている。

言ってみたらどうなるだろう、今ここで、大きな声で人を殺しましたと言ったらどうなるだろう。

目を閉じて恐山の極楽浜を思い出してみる。
エメラルドグリーンの湖面に白い砂浜、濃い青空と山の稜線、積まれた石の横の風車。
その瞬間だけ、一切の音が無くなる。

私だけのものと思っている秘密も痛みも声に出した途端、ありふれた告白になるのだろうけど。

(407字)

※こちらに参加させていただいてます
サボってましたが久しぶりに参加

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