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「おっぱいキーボード」は犯罪ではないです

12月31日に僕は以下の動画を投稿しました。

この動画が波紋を呼び、日本国内のみならず世界中の方々からバッシングを受けました。僕自身、批判的なコメントがあることは覚悟していましたが、ここまで大事になるとは想像していませんでした。この投稿に対して批判的な意見をすべて読んだところ、主に3つに分類できました。

①その発明品を作ることは犯罪である。
②このコンテンツは性犯罪を助長する。
③作ってもいいがゾーニングすべきだ。

この主張が正しいのか僕なりに調べてきたので、その結果を今回の記事にまとめました。

①犯罪なのか?

最低限、僕が従うべきルールは2つあります。「日本の法律」と「Xのガイドライン」です。

警察「犯罪ではないです」

僕は1月12日に個展を開催する予定でした。それに対して「女性を差別する作品を展示するのはいいわけない!」、「これを展示することは猥褻陳列罪だ!」という声が広がり、個展会場に苦情の電話が相次ぎました。その中には脅しのような電話もありました。もしもがあってはいけないので、警察署に行き、炎上した動画を見せて「これが犯罪なのか?」と相談しました。

結果、警察の方に「この発明品を作ること、展示することは犯罪ではありません」と言われました。日本の法律上僕の発明品は作っていいし展示してもいいことが明言されたので、僕は安心して個展を開催することができました。

ちなみに犯罪ではない理由としては、以下の2点が伝えられました。

・特定の個人を攻撃するものではない。
・そもそも "猥褻" ではない。

前者について、そもそも僕の動画は女性差別も女性蔑視もしていません。あれは、「僕」という「モテなさすぎて自分を慰める道具を自作した男性」をバカにして笑って欲しいと作っています。あくまで自虐動画なので、「攻撃する意図がない」と判断されたのでしょう。

後者に関しておっぱいやおちんちんを題材にしていますが、リアルな形状にしていませんし、ポップに表現しているので問題ないと判断されたのでしょう。

X「ガイドラインに問題ありません」

Xでは、ユーザが他ユーザの投稿に対して「これはガイドラインに反している」と運営に通報することができます。僕の投稿に対しても「センシティブな投稿である」との通報が多々ありまして、一度運営から僕の投稿を強制的にセンシティブ設定(モザイクがかかっていて見たい人しか見れない状態)に変更されました。

それに対して僕が「これはジョークグッズであり、センシティブではない」とX運営に申し立てをしたところ、センシティブ設定が解除されました。これはX運営が「僕の投稿がガイドラインに従っている」と判断したからでしょう。

②性犯罪を助長するのか?

気になったのでこちらの本を読みました。

AVの性犯罪への影響

こちらの本ではAVが性犯罪に影響するか言及しています。

1997~98年に実施された警察庁科学警察研究所の調査によると、強姦や強制わいせつの容疑で逮捕された553人のうち、33.5%が「AVを見て自分も同じことをしてみたかった」と回答しています。20歳未満の少年に限れば、その割合は5割近くにもなったそうです。

斉藤章佳(2020), セックス依存症, 幻冬舎新書

ここまで聞くと「AVが性犯罪を助長している」と感じるかもしません。ただし、AVを見ていて性犯罪を犯していない人が大半です。では、AVを見て性犯罪を犯す人と犯さない人との違いは何か?斉藤氏曰く、それは「AVがフィクション」と理解しているかどうかだそうです。この本では、例として「僕が見たAVでは痴漢された女性が喜んでいた。女性は痴漢で喜ぶと思った」という性犯罪者の証言が紹介れていました。最近は、AV関係者(男優、プロデューサーなど)がテレビやYouTubeなどのメディアで、「AVはフィクションです」と積極的に発信しています。

ここまで話しておいてなんですが、「そもそも僕の動画には実在の女性が出てきていません」。「女性をモノ扱いしている」ではなく、「モノ(発明品)をモノ扱いしている」んです。もしも僕の発明品、たとえばおっぱいキーボードを見て性犯罪を犯すとしたら、その人は「女性は乳首をタイピングされると喜ぶんだ!やってみよう!」と勘違いしたということにあります。これはその人の思考が問題ではないでしょうか。

下ネタに寛容な社会が性犯罪を助長する

「この動画に寛容な社会が性犯罪を促進させるんだ」という意見もありました。では、徹底的に性的なコンテンツを排除すれば性犯罪をなくせるのか?それは違うと思います。

酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話」(松本ら, 2024)では、薬物依存症について「薬物を取り締まりを強化すると、社会の偏見や差別意識が広まり、当事者を孤立させてしまう。そうすると孤独を紛らわせるためにより一層薬物に依存してしまう」と主張しています。

これは性的コンテンツにも言えるのではないでしょうか。性的コンテンツを弾圧しようとすると当事者たちを孤立させて、より一層のめり込んでしまう。最悪、性犯罪をなくすために弾圧した結果、性犯罪者を産んでしまうかもしれません。

この解決策として松本らはスイスの政策を例に出しています。1970年以降スイスにはヘロイン使用者が急増し、過剰摂取による死亡者が急増しました。最初は取り締まりを強化しましたが事態が悪化したため、「病院で安全な量のヘロイン投与を許可する」と政策転換しました。その結果、ヘロイン使用による死亡者が激減したそうです。

このように性的コンテンツでも「性行為は良いこと。ただし同意がなきゃいけないよ」、「性的なコンテンツも見ても良い。だけど、フィクションだと認識しなきゃいけないよ」と欲求を容認しつつ、どこからがアウトなのかを示してあげることで性犯罪が減るかもしれません。

③ゾーニングの問題なのか?

ここまで「作ることがいけない」のは間違いだと主張しました。それに対して「作ってもいい。だけど誰にでも見れるようにしているのが悪い」という意見もありました。これについて考えていきます。

個展・展示会の場合

1月に行われた個展「妄想発明展」では、15歳未満が入れないように対処しました。それ以外にも展示できるイベントに出展していますが、基本審査がありますので審査基準を満たした発明品を出展したり、運営の方々と相談したりします。たとえば幕張メッセで行われたニコニコ超会議では「おっぱいキーボード」は出展せず、「下着だけ着る装置」を展示しました。

Xの場合

前述の通り、僕の発明品はX運営から「センシティブ」ではないと否定されています。一方、「子どもが見たらどうするんだ?」という意見もありましたが、Xは13歳以上しか利用できませんし、僕の発明品は13歳が見ても問題ないと思っております。「不快なものを見たくない!」と言う方はぜひ僕をミュートまたはブロックしていただきたいです。インターネットは情報が多すぎるため自分の嫌いなものが必ず目に入ってきます。あなたが嫌いなものを好きな人たちもいて、それを制限することは相手の趣味嗜好を奪うことになります。互いが幸せになるために、見るものを避ける術を身につけていただきたいです。

YouTubeの場合

この話をすると「YouTubeにもあげているだろ!」という意見ももらいます。ただYouTubeには「YouTube Kids」という機能がありますので、それを設定していればお子さんが見る心配はありません。僕の発明品を見て不快という方は、前述の通りブロックしていただくと幸いです。

さいごに

まとめると僕の発明品は犯罪でもありませんし、展示やSNSに投稿することも問題ありません。

今回の件について僕は沈黙を貫こうと思っていました。しかし、僕の活動がいわゆる「バカッター」や「迷惑系YouTuber」と同じ行為だと思われると、
僕のようにエッチなことをネタにしている表現者たちの肩身が狭くなると感じました。だから、批判してきた方々の意見を無視するのではなく、「僕たちの活動は犯罪ではないし、表現の自由で守られている」と伝える努力をしなければならないと決心し、拙い文章ではありますが執筆しました。

また僕を批判した方々へ。僕はあなたたちを敵視していませんし、論破したいわけではありません。「あなたは不快に思ったかもしれませんが、僕の活動は社会で容認されています。お互いの幸せのために、僕のことは見えないようにしてください」と伝えたかっただけです。どうかご理解いただければ幸いです。

著者紹介

妄想発明家ZAWAWORKS
"思春期"の妄想を叶える装置を発明している。2023年4月から大阪を中心に活動しており、コンテスト・展示会・お笑いライブなどで発明品を発表している。Xフォロワー1.8万人、TikTokフォロワー数4.8万人(2025年1月現在)。公式HPはこちら


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