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【#テレ東シナリオコンテスト】シンデレラ ※パスワードが間違っています作品
【#テレ東シナリオコンテスト 応募作】
部屋の中でパソコンに向かいあうサキ。
じっとモニターを見つめて考えている。
サキ「私の誕生日は入れたし、あと何だろう、これ以上間違えられないよ。」
パソコンのモニターにはmixiブログの画面(※mixiの許可が降りない場合は他のブログ)
サキがハァとため息をつく。
* * * (回想) * * *
男性からプロポーズを受けるサキ。
男性は何かを呟きサキに何かを渡しているがサキの背中と男性の影に隠れてしまい、2人の距離が近くてそれが何かはわからない。
涙を流して喜ぶサキが大きく頷く。
* * * (回想) * * *
(サキの声でナレーション)
※プロポーズから最初のオープニングまでを繋ぐシーン※
私には結婚前にやらなければいけない事がある。
それは私自身の黒歴史のmixiブログを抹消する事だ。
(部屋に入りパソコンを前に何度かパスワードを間違う:回想シーンがナレーションとともに流れる)
部屋に入ってから30分、どうしてもパスワードが思い出せない。
(ナレーションと回想シーン終わる)
ずっと考えていたサキが何かをハッと思い出したように目を開く。
サキ「もしかして、ハチ(ペットの名前:犬)かな?」
* * * (回想) * * *
部屋の中でハチ(ペットの名前:犬)と戯れる楽しそうなサキ(中高生をイメージされるセーラー服の姿)
サキもハチも楽しそうに笑いながら、じゃれあっているシーンなどが続く。
* * * 現在のシーンまで戻る(回想終了) * * *
パスワードの画面に
HachiDog
と入れかけるがサキの手が止まる。
サキ「そんな訳ないか、、、。」
ポツリと呟き。
また考えこみ出すサキ。
突然、イケメンな男子高校生の顔が脳裏に浮かぶ。
サキ「キタ先輩!!」
何かを思い出したように部屋で1人叫ぶサキ。
* * * (回想) * * *
サキはセーラー服姿で部活中のイケメン(名前:キタ先輩)を頑張れー!と応援している。
※シーンが変わり、そのシーンから少しだけ時間がすすんだシーン※
サキとキタ先輩が並んで2人で道を歩く。
キタ「ごめんな、せっかく来てくれたのに。」
サキ「いいの。でもカッコ良かった。」
そう呟くとポッと頬を赤らめるサキ。
キタ「サキ、、ありがとう。」
サキとキタは足を止めて見つめあう。
見つめあう、2人の顔が接近していく。
※今にもキスをしようかという直前に現在のシーンに戻る※
サキ「キタ先輩なわけもないんだよなー。」
サキは1人でぶつぶつ、いいながら部屋の中をぐるぐると歩きはじめる。
何度か色々なキーワードを口にするが、突然サキが
「そうだ!」と叫ぶ
* * * (回想) * * *
ライヴハウスの中で疾走感の溢れるメロディーが流れている。
「キャー!」と叫びながらはしゃぎ跳びはね続けるサキ。
ライヴハウスの中でカッコイイ、バンドが疾走感のあるメロディを流し続けている。
サキのはしゃぎぷりと楽しそうな表情から、このバンドのファンだという事が伝わる。
* * * 現在のシーンまで戻る(回想終了) * * *
サキ「えっと、あのバンドの名前は、、、えっとサウンド、、サウンド何だったかな?」
大好きだったはずのバンド名を懸命に思い出そうとするサキ。
サキ「駄目だぁ!」と言いながら椅子の背もたれに体重をかけて体を反る。
サキの視界に入る【ガラスの靴】と【指輪】
サキ「ん?だけど、どうして?」
サキはガラスの靴を1点に見つめる。
サキの脳裏にプロポーズのシーンが甦る。
* * * (回想) * * *
冒頭にあったプロポーズのシーンに戻る。
男「サキは、ずっとシンデレラに憧れていたろ。だからプロポーズの時には指輪と一緒にこれも渡したかったんだ。」
ガラスの靴の中に指輪のケースがある。
男「これからもずっと僕と一緒にいてくれるかい?」
感極まって、涙を流しながらうなずいて、ガラスの靴と指輪を受け取るサキ。
* * * 現在のシーンまで戻る(回想終了) * * *
サキの脳裏にこれまでの(プロポーズをした)男性との思い出がよみがえってくる。
何かを思い出したように、口を手にあてて絶句したまま固まるサキ。
サキは呟く「私、シンデレラに憧れていた話をしていない。どうして。。。」
* * * (回想) * * *
サキが今の姿からは想像できない【地味な姿の学生】で教室の隅で1人、noteに何かを書きだしている。
表紙にあるタイトルは【ペットのハチ】
ハチはサキの妄想の中の思い出だったのだ。
今の姿からは想像できない内気で地味なサキが、せっせとストーリーをnoteに書いてメモしてその話をコツコツとmixiブログに投稿して書いていたのだ。
色の違うノートの表紙には
【大好きなキタ先輩】
【好きなバンド名サウンドストリーム】
と書いてある。
* * * (回想) * * *
放課後に男子と女子が仲良く2人で帰るのを羨ましそうに見つめる【地味な姿の学生サキ】
サキは家に帰ると1人パソコンに向かいnoteのメモを見てブログをアップする。
* * * (回想) * * *
ある日の放課後、活発そうな学生姿の青年がサキの書いているnoteを取り上げる。
でも、馬鹿にするわけでもなくnoteに夢中に読みふける。
サキ「面白い?」
勇気を出して聴いてみるサキ。
「ああ、面白いよ。」
青年は答えた。
* * * (回想) * * *
青年とサキがnoteを交換しあってお互いの感想を言っている。
2人とも笑っていて楽しそうだ。
* * * (回想) * * *
教室の前でサキが学生服のまま立っている。
「という訳で、短い間でしたが、父の仕事の関係で東京に引っ越す事になりました。皆さんありがとうございました。」
パチパチとしたまばらな拍手。青年は、じっとサキの顔を見ている。
誰もいない教室に2人のシーン。
サキと青年。
青年は荷物を片付けながらサキに話かける。
「シンデレラ好きなんだろ。なんかもったいないな。知ってるか?シンデレラは舞踏会に行く時に綺麗な姫に変身するんだぜ。サキも東京の華やかな場所で勇気を出せば、違う自分に変身できるよ。元気でな。サキ。」
青年は自分の思いを一方的に伝えると、サキの言葉も聴かずに恥ずかしそうに教室を飛びしだしていく。
* * * 現在のシーンまで戻る(回想終了) * * *
サキ「そうだ!シンデレラだ!」
サキは確信したように呟き、パソコンのモニターに
【Cinderella】と打ち込み
エンターキーを叩いた。
パスワードが解除されると自分宛に1つのダイレクトメールが届いている事に気がつく。
確信したようにダイレクトメールを開くサキ
このメールを開いているという事はサキは僕との昔の話を思い出したのかな。
仕事でバッタリと再び会った時はサキが別人すぎて全然気づかなかったよ。
サキは見事にシンデレラになったね。
もう本当にあの学生時代に会ったサキだとわかった時は嬉しかったよ。
まるで王子がシンデレラを見つけた時の心境さ。
これからもずっとよろしくね。
サキは涙を流しながらモニターに「うん」と返事をした。
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