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隙間も意外と悪くない?【断想】

隙間があいていると隙間風が吹く。
隙間に落ちたものはなかなか取りづらい。
心の隙間にはつけ込まれる。

隙間は困りごとを引き起こす「ない方がいいもの」。
なんとなく隙間に対して良いイメージを抱いていない人も多いかもしれない。


他方、隙間は可能性だと言う人もいる。

マーケティングの世界で、隙間=ニッチ(niche)は頻出の言葉。
ニッチ市場(隙間市場)といえば「潜在的な需要がありながら、これまで誰も手を付けずに隙間になっていたような分野や市場」のことで、ポジティブな意味合いをもっている。

nicheとは元々、「(壁面や柱を半円・方形にくりぬいて、中に像や装飾品などを飾れるようにした)壁のくぼみ」を指す西洋の建築用語。

そんなnicheを動物学者のC.S.エルトンは、「その動物の生物学的環境における位置,その食物ならびに敵に対する諸関係」と定義する「生態的地位(ecological niche)」という概念に用い、ある生物が生態系の中で適応した隙間というようなプラスの意味をnicheは得ることとなる。

隙間に生きるものには例えば雑草がある。
アスファルトの隙間から顔を出す雑草を見て、「大変そう」と思うかもしれない。だが、雑草からすると隙間には、
① 光を独占できる(森などでは競争が激しく、影に埋もれてしまいやすい)
② 光合成に必要な水も得られる(アスファルトやコンクリートは、水を吸わず水は全て隙間に流れる。また表面が舗装されていると、水が乾きにくい。)
③ 根っこが抜かれにくい
などのメリットがある。

人間には良い環境には思えずとも、雑草は案外のびのびとできているのかもしれない。


生物学的なnicheの用法が経済・ビジネスの世界にも転用され、ニッチは競争者のいないあるいは少ない隙間になっている。


隙間も意外と悪くない?


隙間もまた境界に生まれるもの。
「境界線を問い直す」がテーマの僕にとっては、隙間=niche はとても興味深い概念だ。


みなさんは、
どこでどのような生きることを選択するだろう。

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ざわけん/大澤健
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