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[エッセイ]酒は楽しく適量に

忘年会シーズンになった。

例に漏れず私もこれから何件か忘年会が控えているわけだが、
私には昔からの悩みがある。

それは


圧倒的に酒が弱いということだ。


これは家系からくるもので、
父方の家族は代々お酒が弱かったらしい。

父も最近までは下戸に近く、
0.5%のビアリーをありがたそうに飲んでいる。


はじめてお酒を飲んだのは当然二十歳を超えてからなので
大学生のころだ。

友人と居酒屋に行って年齢確認をされながらも
堂々と免許証を見せて、意気揚々とサワーを注文していた。


そんな昔から飲み会には参加していた私だが、
明らかに自分のキャパを超えて飲んでいる人の気持ちがわからない。

お酒を飲んで吐いている人を見ると
「なぜ限界を超えても飲み続けるのだろう」と単純な疑問を抱いていた。

なぜ?と聞くと
「いや~そのときはいけると思っちゃうんだよね~」
だとか
「楽しくなっちゃって~」
などとわけのわからないことを言ってた。

いや、わかるでしょ。
自分の体調くらい。

なんて思っていないが、少なくとも不思議だなとは思っていた。


もちろん、激烈にお酒を飲む人を非難するわけではない。
ただただ、単純に疑問なのだ。

飲み物一杯に数百円を出し、わざわざ体調を悪くして
何がしたいのだろうと。

繰り返すが、決して非難しているわけではない。
むしろそこまで飲みに徹することができることができる人が羨ましさがある。


パッチテストでは肌が真っ赤になるし、
お酒は数杯飲むとコメカミが痛くなる。
次第には関節も痛くなってくるため、常に苦痛を伴う飲み物だった。



そんな私が社会人になって営業に配属され、
大阪に転勤した。


大阪ではお客さんと毎日のようにお酒を飲んだ。

大阪はお酒が大好きなのだ。(偏見)


するとどうだろう。
少しずつではあるがお酒の耐性が付いてきたように感じた。

学生の頃はもちろん、
社会人になって間もないころはビール一杯で顔が真っ赤になり、酔いで吐き気を催していた。

幸い、これまで私が経験してきた飲み会は優しい方が多く
「男なのに飲めねえのかよ!!」なんて言ってくる上司もいなかったため
無理に飲むことがなかったのだが、
大阪に転勤したことで飲み会自体に参加することが急激に増え、
それに応じてお酒を飲む回数が増えた。


大学生ころ、先輩に「お酒が弱いんです」と言うと

「鍛えるんだよ」

と言っていた。そのときの私は
「この人は成人にもなって何を言っているんだ?」
という目をしてしまったことを謝りたい。



先輩、たしかにお酒は飲めば飲むほど強くなるのかもしれません!!!!


大阪での生活にも慣れてきたころ
いつものごとくお客さんから飲みのお誘いがあった。

お酒が強くなった私は「ぜひ!」と返し、梅田にある居酒屋が所狭しと入っているビルのお店で飲んでいた。


1杯目のビールを早々に飲み干し
2杯目のレモンサワーを注文した。

レモンサワーを素早く飲み干したころ、
私の体は「まだいける…!!!」と興奮していた。

3杯目のグレフルサワーを飲みながら
ほどよい酔い具合に気分が良くなった。

これがお酒の力か!!!!



お客さんと別れ、同じく御堂筋線の江坂にある自分の家までたどり着いたころ急激な体調不良に襲われ、
ベッドに倒れこんだ。








気付くと朝だった。


時間は9時半

完全に遅刻。


急いで課長に電話をかけた。
平謝りする私に、課長はさらっと

「あ、直行だな。わかった」


と言って電話を切った。




課長おおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!







直行と言うことにはなったが
さすがに遅く出社してもばつが悪いので
支度してすぐに会社に向かった。


さも普通ですという顔で

「戻りましたー」
と言い自席に着く。

行先が書かれたホワイトボードには課長の字で
「宮沢 直行」と書かれていた。

(課長…!!すんません!!!!)


すると後輩がトコトコと私のもとにやってきて一言。
「宮沢さん、やったっすね」
と満面の笑みを浮かべていた。

普通にバレてた。


鏡を見た私の顔はあまりにも浮腫んでおり
もはや誰だかわからないくらいパンパンだった。


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