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[エッセイ] マッサージ店のコジマさん
最近肩こりがひどい
仕事ではほぼデスクワーク
最近では家に帰ってからも読書をしたりパソコンで執筆作業をしたり
肩が固まる生活を送っている。
ある日、肩が凝りすぎて作業に集中できなくなり
いよいよダメだと思い、マッサージに行くことにした。
JR埼京線の赤羽に用事があったのでそのついでと思い、赤羽周辺で探すことにした。
値段はピンキリ
1時間で1万するところもあれば
3,000円のところもある。
さすがに1時間1万円は厳しいと思い、
3,000円のところに予約した。
しかし安かろう悪かろうという言葉もある。
ちゃんと下調べをするのが自分の良いところだ。
口コミを見てみる。
「施術後は肩がすっきりしました!また来ます!」
「値段も安くてよかったです!」
いや、まだだ。
ここであっさりと決めてしまい、
実はサクラだらけだったなんてこともある。
店員さんの情報を見よう。
・田中
・小島
・吉本
うん、日本人のようだ。大丈夫。
予約当日
意気揚々と予約した住所を訪ねてみると
そこは赤羽のそこらじゅうにある雑居ビルの一室だった。
うん、だよね。
ある程度の覚悟はできた。
なんだか怪しい店に入る気分で周囲の目を少し気にしながら
そそくさと雑居ビルに入った。
お店のある階につくと、そこは一般の人が住んでいるのではないかと思うほど普通の扉があった。
いや、経費を抑えているだけで
中は大丈夫だ。
うん、大丈夫。きっと大丈夫。
さながら短距離選手のごとく大きく深呼吸をし、
意を決してドアを開けた。
「イラッシャイマセー」
外国の方だった。
いや、外国の方でも別に問題はない。
もはや名前が田中・小島・吉本だったことについても何も言うまい。
帰化だってするだろう。
私は異国の地で働くなんてことはできないので、
そもそも日本で働いている外国の方すべてに敬意を示している。
言葉が通じない異国の地で仕事をして、生活をすることがどれだけ大変か。
ぬくぬくと日本国内で日本語で生活をしている私には到底理解することができないだろう。
「予約した宮沢です」
「こちらへどうぞ」
聞きなれると違和感がなくなってくる。
カーテンで仕切られた薄暗い店内の一室に案内される。
あとから入ってきた女性は自らを「コジマ」と名乗った。
どうやらコジマさんらしい。
出身はどこかを聞きたい気持ちをぐっと堪え、
うつ伏せで寝っ転がった。
マッサージはわりと強めだった。
いや、強めというか、強い。
痛みに強いので良いのだが、なかなかな刺激だった。
「これ、中国式ネ。」
やっぱり中国にゆかりのある方だった。
「ここ、リンパ。疲れ溜まってるネ」
ヒザ裏をぐりぐりと押され思わず悶絶してしまうが、
コジマ曰く押していれば段々とリンパが流れていき、すっきりするという。
1時間みっちり施術を受け、
終わるころは満身創痍だった。
しかし悔しいことに
心なしか体が軽く感じる。
その足で赤羽駅近くのコメダ珈琲に寄った。
たっぷりサイズのアイスコーヒーを頼み、
買ったばかりの星野源のエッセイを読む。
翌日、朝起きたときには強烈なもみ返しがきたが
悔しいことに肩は軽くなっていた。
完全に怪しい人だと思っていた私にカツを入れたい。
しかし、コジマさん。。。。
出身地を決して名言しないところ
ある種のプライドすら感じた。