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2027年9月からどう変わる?高所得者の厚生年金保険料が上がるってホント?

最近、ネットやニュースで「高所得者の厚生年金保険料が上がる!」という話題を見て、驚いた人も多いんじゃないでしょうか。どうやら厚生労働省が、2027年9月を目途に、現在の保険料の“上限”を引き上げる可能性があるとのこと。

「増税だ」「現役世代の負担増」など、いろんな意見が飛び交っていますが、結局どうなるの? という疑問を持つ人も多いはず。そこで自分なりに整理してみました。

ざっくりまとめるとこんな感じです。

1. 何が変わるのか?

■ 上限が引き上げられるのは一部の高所得者のみ
• 厚生年金は「標準報酬月額」という月給の目安をもとに32段階に分かれていて、そこに18.3%の保険料率が適用されます(会社と折半)。
• 現在の上限は「月収65万円まで」。これを超える収入があっても、65万円分までしか保険料が計算されません。
• しかし、高所得層の増加により、上限を75万〜98万円に引き上げる案が浮上しています。
• 対象となるのは、年収約798万円以上(賞与抜き)の人。保険料負担は月1万〜3万円程度増える見込み。

■ 保険料が上がる=将来の年金も増える
• 保険料率(18.3%)は変わらず、上限の引き上げによって、より多くの所得が年金額に反映されます。
• つまり、払う額は増えるけど、将来受け取る年金も増える仕組みになっています。

2. なんで今、保険料を上げるの?

(1) 上限に達する人が増えている
• 健康保険は50段階なのに、厚生年金は32段階しかなく、月収65万円超の人が一括りにされている現状。
• 特に男性では、月収65万円に達する人が9.6%と最多層になっており、負担の公平性が求められている。

(2) 年金財政の安定化
• 少子高齢化が進む中、年金の財源確保は大きな課題。
• 高所得者に多めに保険料を出してもらうことで、将来の給付水準維持につながるとされています。

(3) 「払った分だけもらえる」仕組みの強化
• 高所得者に負担を求めつつ、将来の給付増を約束することで、制度の信頼性を維持しようという狙いがあります。

3. 保険料引き上げに賛成する理由

(1) 老後の年金が増える
• たくさん支払う分、将来受け取る年金額も増加。長期的にはプラスになる。

(2) 年金財政の安定化
• 保険料収入が増えれば、年金の運用益も上がり、給付が安定する。

(3) 社会保険の再分配機能
• 高所得者により多く負担してもらうことで、社会全体のセーフティーネットを強化できる。

4. 「増税」「手取り減」への懸念

(1) 社会保険は「保険」
• 税金とは異なり、払った分が自分に返ってくる可能性がある制度。

(2) 少子化との関連
• 手取りが減ることで、子育て世帯の負担増が懸念されるが、教育無償化や育児支援など他の政策と合わせた総合的な対応が必要。

(3) 「年金破綻」論の誤解
• 年金制度は5年に一度「財政検証」を行い、将来のシミュレーションを実施。
• 問題は「厚生年金に加入できない人」や「低年金の方々」への支援が不十分な点にある。

5. 今後の年金制度の動向
• 在職老齢年金制度の見直し(2026年4月予定)
働きながら年金を満額受け取れる仕組みを強化。
• 遺族厚生年金の男女差解消(2028年4月予定)
子どもがいない配偶者への支給期間が有期(5年)に。
• パート労働者の厚生年金加入要件の変更(2027年10月議論中)
現行の「従業員51人以上」の事業所要件撤廃を検討。

6. 若者・現役世代の視点も重要
• 「手取り減はキツい」という意見もあるが、年金の安定には長期的な視点が必要。
• 若者や現役世代の意見も、審議会やSNSを通じて少しずつ反映されるようになっている。

7. まとめ
• 保険料上限の引き上げは一部の高所得層が対象。
• 多く払う分、将来の年金額も増えるため、単純に「損」ではない。
• 年金財政の安定や社会の公平性向上が期待される一方、手取り減少への懸念も。
• 今後も国会や審議会の動向をチェックし、自分に合った情報収集を心掛けることが大事。


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