ラゼンから始まる宇宙展開。VS(ヴァンキッシュソウル)焔聖騎士のススメ
はじめに
本記事で紹介する構築はあくまで初見殺し的なものであり、紙でのマッチ戦および身内環境での利用は想定されていない。一応回すこと自体は可能だが、デッキ内容がバレた2戦目以降は誘発の打ち所を変えられてしまい、全くと言っていいほど展開が通らなくなるだろう。
それでもいいという方や、MDないしシングル戦を主戦場とする方……或いは誘発の打ち所を変えようという相手の心理までもを利用してしまえという方へ、この記事を送りたく思う。
本記事で紹介する構築の実績:
マスターデュエル Season36 レート戦 最高レート1736
デュエリストカップ2024冬 833位(銅アイコン)
基本情報
デッキリスト
メインデッキ:
・VS ラゼン×3
・VS Dr.マッドラヴ×3
・VS パンテラ×2
・VS 蛟龍×2
・VS プルトンHG×1
・VS ヘヴィ・ボーガー×2
・VS 龍帝ヴァリウス×2
・VS コンティニュー×1
・VS 裏螺旋流雪風×1
・Stake Your Soul!×3
・焔聖騎士-リナルド×1
・焔聖騎士-リッチャルデット×1
・焔聖騎士-オジエ×1
・焔聖騎士-テュルパン×1
・焔聖騎士-モージ×1
・大聖剣博物館×1
・『焔聖剣-デュランダル』×1
・『焔聖剣-アルマス』×1
・増援×1
以下誘発(自由)枠。環境に合わせた種類と枚数を。蛟龍等のテーマ内カードとの入れ替えも検討可能。どうせ後手では消費するのだから属性にこだわりすぎる必要はない。
・DDクロウ×2
・増殖するG×2
・灰流うらら×3
・屋敷わらし×1
・ディメンション・アトラクター×1
・深淵の獣マグナムート×1
・深淵の獣ドルイドヴルム
EXデッキ:
・闘神の虚像×3
・聖騎士の追想 イゾルデ×1
・焔聖騎士導-ローラン×1
・焔聖騎士帝-シャルル×1
・聖剣を巡る王姫アンジェリカ×1
・シャルル大帝×2
・BK キング・デンプシー×1
・賜炎の咎姫×1
・S:P リトルナイト×1
・トロイメア・フェニックス×1
・灼熱の火霊使いヒータ×1
・暗影の闇霊使いダルク×1
見ての通りほとんどVSなわけだが、一般的なVSと異なりパンテラやマッドラヴといった下級が多く採用されている。それはこのデッキの最も大きな目的が「ランク4を立てる」ことにあるからだ。基本的にはラゼンを初動としたいが、無理やりにでもランク4を立てられるのならば手段は問わない。
また、ラゼンへのうららに対してマッドラヴの素引きが貫通となり、相手からの誘発がなければマッドラヴor蛟龍の素引きで上振れ展開をすることができる。多少事故率は上がるかもしれないが、蛟龍を3枚にするのも良いだろう。
焔聖騎士関連カードに関しては、ランク4のキングデンプシーを初動とした展開をすることが可能な最小限の枚数を採用。(やろうと思えばもう数枚減らすことも可能だが、素引き完全NG札が発生してしまったり、最終盤面の大帝の数が1体減ったりする)
展開するだけならオジエは必須枠ではないが、VS罠の全体破壊から大帝を守るためには効果破壊耐性が必要なために採用。たま~にオジエの効果でラゼンを墓地に落とすこともある。
焔聖剣及び博物館は一応展開パーツでもあるが、ラゼンをサーチしてVSとしての事故率軽減にも用いることができる。その時の手札・状況に合わせて柔軟に対応したい。
基本展開A(ラゼン初動)
ラゼンnsefマッドラヴサーチ, ラゼン→闘像, 闘像efマッドラヴss, マッドラヴefコンティニューサーチ, コンティニューefラゼンss, ラゼン+マッドラヴ=キングデンプシー, デンプシーefリナルドサーチ, リナルド自己ss, リナルド+デンプシー=イゾルデ, イゾルデefラゼンサーチ, イゾルデefデュランダル落とし&リッチャルデットss, イゾルデ+リッチャル=咎姫, 咎姫efリナルドss, リナルドefデュランダル回収, デュランダルefオジエサーチ, リッチャルefオジエss, オジエefテュルパン落とし, オジエ+リナルド=アンジェリカ, アンジェef博物館サーチ, 博物館efアルマスサーチ, テュルパンefアンジェリカ対象, チェーンアンジェ②efモージ落とし導ローランss, モージefデュランダル&リッチャル&ラゼン戻し1ドロー, アルマス:咎姫に装備, テュルパンef自己ss, 導ローラン+テュルパン=騎士帝シャルル, 導ローラン:騎士帝に装備, 騎士帝→シャルル大帝, 大帝ef騎士帝装備, 博物館ef騎士帝ss, アルマスefデュランダルを騎士帝に装備, 騎士帝→大帝, 大帝ef騎士帝装備, 大帝ef咎姫破壊, オジエ&モージef大帝に装備, エンドフェイズに大帝efアルマス装備(魔法罠ゾーンを1枠確保したいためデッキから装備は基本なし)
妨害:
・シャルル大帝の魔法罠無効×2
・墓地の導ローラン装備によるシャルルの選んで破壊
・闘像により手札からラゼンss&ラゼンで縦列破壊(ラゼンのサーチ込みでも手元に属性が足りない場合、先行展開中のアルマスを炎戦士回収に使っておくこと。その場合2体目の大帝を出すための装備はモージを用いる)
・墓地咎姫
とにかくランク4からの焔聖騎士展開を覚えておいてほしい。パンテラ等を利用して基本から外れた展開になったとしても、ランク4さえ立てればこの基本展開に合流できるはずだ。
基本展開B(ラゼン+マッドラヴor蛟龍)
基本展開Aとほとんど同じだが、いくつかの手順をはさむことで妨害数が2つ増える。Aを覚えた人向けに、Aと違う部分は太線で表記する。
ラゼンnsefマッドラヴor蛟龍(手元にない方)サーチ, ラゼンef炎見せ, 蛟龍ef自己ss, 闘像efマッドラヴss, マッドラヴefコンティニューサーチ, コンティニューefラゼンss, ラゼン+マッドラヴ=キングデンプシー, デンプシーefリナルドサーチ, リナルド自己ss, リナルド+デンプシー=イゾルデ, イゾルデefラゼンサーチ, イゾルデefデュランダル落とし&リッチャルデットss, イゾルデ+リッチャル=咎姫, 咎姫efリナルドss, リナルドefデュランダル回収, デュランダルefオジエサーチ, 蛟龍efラゼン&オジエ見せ 裏螺旋流雪風サーチ, リッチャルefオジエss, オジエefテュルパン落とし, オジエ+リナルド=アンジェリカ, アンジェef博物館サーチ, 博物館efアルマスサーチ, テュルパンefアンジェリカ対象, チェーンアンジェ②efモージ落とし導ローランss, モージefデュランダル&リナルド&ラゼン戻し1ドロー, アルマス:咎姫に装備, テュルパンef自己ss, 導ローラン+テュルパン=騎士帝シャルル, 導ローラン:騎士帝に装備, 騎士帝→シャルル大帝, 大帝ef騎士帝装備, 博物館ef騎士帝ss, モージef騎士帝に装備, 騎士帝→大帝, 大帝ef騎士帝装備, 大帝ef咎姫破壊, アルマスefリッチャル回収(回収先は基本なんでもいいが、次ターンに手札からラゼンをssするためにリッチャルが優先度高め), オジエef大帝に装備, 裏螺旋流雪風セット, エンドフェイズに大帝efアルマス装備(魔法罠ゾーンを1枠開けておきたいため、デッキから装備は基本なし), 相手ターンに蛟龍efラゼン&リッチャル見せヴァリウスサーチ, 闘像ef墓地からマッドラヴ回収
妨害:
・シャルル大帝の魔法罠無効×2
・墓地の導ローラン装備によるシャルルの選んで破壊
・墓地咎姫
・裏螺旋流雪風でラゼン&マッドラヴ&ヴァリウス見せてブラックホール(オジエを装備した大帝は破壊されない)
・ヴァリウスで1枚選んで破壊(裏螺旋流雪風で出したラゼンでパンテラをサーチしておくこと)
基本展開から寄り道することでVS罠と手札に3色を構えることができる。手札に炎属性を2枚確保するために少々遠回りをしているため、既に確保済みならアルマスは2体目の大帝を出すのに使ってモージで相手ターンにドローしたい。
基本展開C(ラゼン+リッチャルデット素引き)
基本展開Aからの派生。素引きリカバリだが最終盤面はあまり変わらない。Bの時と同じく、Aとの相違点は太字で表記する。
ラゼンnsefマッドラヴサーチ, ラゼン→闘像, 闘像efマッドラヴss, マッドラヴefコンティニューサーチ, コンティニューefラゼンss, ラゼン+マッドラヴ=キングデンプシー, デンプシーefオジエサーチ, リッチャルefオジエss, オジエefテュルパン落とし, オジエ+デンプシー=イゾルデ, イゾルデefラゼンサーチ, イゾルデefアルマス落とし&リナルドss, リナルドefアルマス回収, アルマス:リナルドに装備, イゾルデ+リナルド=咎姫, アルマスefリナルド回収, 咎姫efオジエss, リナルドss, オジエ+リナルド=アンジェリカ, アンジェef博物館サーチ, 博物館efデュランダルサーチ, テュルパンefアンジェリカ対象, チェーンアンジェ②efモージ落とし導ローランss, モージefアルマス&リッチャル&ラゼン戻し1ドロー, デュランダル:咎姫に装備, テュルパンef自己ss, 導ローラン+テュルパン=騎士帝シャルル, 導ローラン:騎士帝に装備, 騎士帝→シャルル大帝, 大帝ef騎士帝装備, 博物館ef騎士帝ss, モージef騎士帝に装備, デュランダルefラゼンサーチ, 騎士帝→大帝, 大帝ef騎士帝装備, 大帝ef咎姫破壊, オジエef大帝に装備, エンドフェイズに大帝efデュランダル&リッチャル装備
妨害:
・シャルル大帝の魔法罠無効×2
・墓地の導ローラン装備によるシャルルの選んで破壊
・闘像により手札からラゼンss&ラゼンで縦列破壊
・墓地咎姫
その他素引きの時
リナルド&リッチャル両方素引きやデュランダル&アルマス両方素引き、ラゼンをサーチするためにデュランダルが使用済みの場合など、アドリブ展開が必要な場面もある。そういう時にとれる手段は以下の3つ
・純VSとしてふるまう
・先にアンジェリカを出し、その効果で墓地にモージを落とす。モージの効果によりリナルドやリッチャル、焔聖剣をデッキに戻してから改めてイゾルデを出すと、手札のラゼンと墓地の咎姫を妨害として構えることができる。
・イゾルデでリッチャルを出し、(咎姫を経由してから)リッチャルのss時効果で墓地のラゼンを蘇生してアンジェリカにする。イゾルデでラゼンをサーチできなくなるため、この場合はリナルドやアルマス等でラゼンを手札に回収したい。
補足情報
構築思想
この構築は色々とシナジーのある2テーマの混合だが、やりたいことを簡単に言ってしまえば「VSで妨害を吸いきり、そこから焔聖騎士展開を始める」ことに尽きる。
仮に対戦相手がラゼンを通常召喚したとして、自分の手元に《灰流うらら》があったとしよう。果たしてあなたならどうするだろうか?
恐らく10人中9人はラゼンの効果にうららを打つだろうし、残りの1人はVSのことを知らない人だろう。なにせここにうららを打たなければ、もうこのターンの打ち所はなくなる可能性があるからだ。
だがこのデッキは違う。ラゼンにうららを打たれた所でマッドラヴやリナルド、ジャオロンにステイクといった豊富な貫通札の素引きからイゾルデが立ち、うらら使用済みの相手の目の前で焔聖騎士の展開を始めるのだ。
賢い相手なら自分ターンにVSリンク1へ打つために泡影を温存することもあるだろう。その場合は結局イゾルデに泡影を打たれることになり、大量の手札を消費したままターンを返してしまう……といったことには実はなりにくい。なぜなら泡影をラゼンに打たない程度の知識を持つ人間は、イゾルデの①効果に泡影を打たないからだ。
ある程度知識のある人間には「イゾルデに泡影を打つなら②効果に対して。でないと2体目のイゾルデで貫通される」という常識が備わっている。もちろんこの認識は基本的に正しいし、普通の焔聖騎士デッキを相手にするならクリティカルと言ってもいい打ち所だろう。
だがこのデッキにおいてイゾルデ①効果が通るということは、それすなわち手札にラゼンが補充されることを意味する。その後の②を止められて相手にターンを渡したとしても、本来VSリンク1が受けるはずだった泡影がなくなった上で手札にラゼンがあるのだ。なんの不満もなくVSデッキとして戦うことが可能と言える。
なお、マッチ戦の2本目以降などでこのデッキがバレている場合、ほぼ確実にイゾルデ①に泡影を打たれたりイゾルデ②までうららを温存されたりして、焔聖騎士展開は通らないと思った方がいい。そうなるとかなりリソースが怪しくなり、引きによってはゼロ妨害エンドといったことにもなりかねない。純VSとして動くだけに留めたりなど、工夫が必要だろう。
このデッキを回すにあたって
このデッキはVSデッキとして戦う時間の方が長くなる。それは先行でランク4を立てられない手札な時であったり、後攻でVSカードで妨害を踏んでいく時であったり、増Gを打たれて即座に止まらざるを得ない時であったり、自分がアトラクターを打った時であったりと様々だ。(なお、先行でアトラクターを引いていた時は焔聖騎士展開を捨ててアトラクを投げてよい)
つまりこのデッキで勝つために必要な知識のほとんどはVSデッキを回す知識であり、それは手札の属性管理やラゼンを好きな場所に出すための立ち回り、バーン&殴りで勝負を決めに行くタイミングの計り方など様々だ。それら全てをこの記事に記すには少々手狭、かつ筆者自身の知識も足りない。もしそれを身につけたいのであれば、もっとしっかりとした、VSをメインで握っている人の記事を参考にした方が良いだろう。
上記のことを伝えた上で言うが、このデッキはなんだかんだ焔聖騎士を回すための知識も要求してくる。展開途中でDDクロウ等の妨害を受けた時や初期手札に焔聖騎士の展開パーツを大量に素引きした時など、基本展開の通りにはできないものの工夫すれば焔聖騎士展開を通せることがなくもない。
無論そこでバッサリと焔聖騎士を諦めてVSになってもある程度は戦えるが、上を目指すのであればしっかりとアドリブ展開をできるだけの知識を身につけておくことを推奨したい。
ちなみに
このデッキ、モンスター無効が存在せず、除去のほとんどが破壊である(例外はマッドラヴのバウンスとリトルナイトの除外程度)。
そのため霊獣や破械といった、破壊での除去を苦としない対面を非常に苦手としている。ユベルはなんとかマッドラヴのバウンスで対応できるものの、逆に言えばマッドラヴの効果を使えるようになるまでは非常に苦しい。
モンスター無効がどうしても欲しければ、ゴッフェニを採用してアンジェリカで落としてのアルマスで回収…という動きも可能だが、今回紹介した構築では手札事故率を考慮して不採用としている。もし必要と思うならば試してみるのも良いかもしれない。
最後に
ぱっと見では完全な嘘デッキである本記事の構築だが、焔聖騎士関連カードにより普段よりラゼンへ繋がるカードが多くて安定していたり、炎縛りが邪魔になった咎姫をVS罠で破壊してヴァリウスを出したり、VSの苦手な群雄割拠を焔聖で貫通して焔聖の苦手なセンサー万別をVSで貫通したりなど、細かい所で多くの噛み合いを見せている。
MDで組むには少々高額ではあるが、VSの誘発耐性と焔聖騎士の先行制圧力を兼ね揃えた、使っていて非常に楽しいデッキと言えるだろう。
VSが好きな人にも、焔聖騎士が好きな人にも。是非とも一度使ってみて頂きたい。