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【走り書き読書感想文】アフリカ哲学全史_タカハシグラシ

こんばんは、本日ネイルに行ってきたタカハシのうちの1人、タカハシです。
河野哲也著の「アフリカ哲学全史」を読了したので、走り書きの感想文をぼちぼち書いていきます。

修論を書きながら「人間の都市の認識の仕方、都市空間の捉え方って一様でないのでは?文化・風習・社会構造で異なるのでは?」と傍らで考えていたことをきっかけに、文化人類学とか現象学とかから紐解けないかなあと本を読んでいたりするので、今回もその一環で手に取りました。

いや「アフリカ哲学全史」は風呂敷を広げすぎでは…

と、いうことは著者の河野先生が一番分かっていらっしゃるはずですし、それでも尚、このタイトルを付けられたことも良く分かります。
実際に本の中で触れられているのは主に「近代以降」かつ、地域も「西アフリカ地域・南アフリカ」と「全史」と銘打つにはやや限定的です。
また、タカハシも実際にアフリカに行ったことがありますし、アフリカ人と仕事上話すことも多々ありますが、「アフリカ人」と一括りにすることも中々難しい。
我々アジア人でも、日本とフィリピンではかなり国民性や規範とするものは違うことは多くの方がご存知かと思いますが、アフリカも例に漏れず、地域や歴史背景でそれぞれの思想背景は異なります。

しかし、やはり日本人の多くが「アフリカ人」に馴染みのない中で「全史」と銘打った本が世に出た事の意味は非常に大きいのだと思います。
また、近代以降の西洋哲学の考えがアフリカに導入された以降の話でなければ、日本人にとって取っ掛かりがなさすぎるのだろう、ということも理解できます。
実際に本の中で河野先生がフィールドにされていた西アフリカ地域の土着の思想(これで表現が正しいのかは分かりません)の紹介もあるのですが、ここは、難しかったです。

参照されている資料も膨大であり、興味を持った箇所を掘り下げることもできますし、日本人がアフリカの哲学や歴史に触れる入門書として非常に参考になりました。

感想①:アフリカ大陸の社会主義

本書は主に近代以降の哲学を取り上げていますので、どうしても政治的な動きも背景として紹介されます。
印象的だったのが、40年~50年代の政治リーダー・哲学者が積極的にマルクス主義を援用し、社会主義の実装を目指していた点です。

関連して、タカハシの経験で腑に落ちたかったことがあったのですが、やっと理解できました。
以前にエチオピアに滞在していたことがあるのですが、エチオピアも1974年から1991年まで社会主義体制を敷いていました。
その後、クーデターによって社会主義が倒されたので、日本人的感覚から「社会主義時代なんて国の汚点だったのでは」なんて考えていたのですが……現地のエチオピア人は社会主義時代の軍歌?を今でもソラで歌えるし、「社会主義時代があったんだよね?」と聞くと「うん、あったけど、それが何?」くらいの温度感でしか捉えていませんでした。
日本も西側陣営の一員なので、潜在的に「社会主義=国の首脳が支持するなんてとんでもない」と思い込みがちだったのですが、アフリカはそうではない様子。

ここからは、タカハシの空想ですが、当時の社会主義と言えば先進的な思想だったのだろうと思います。
アフリカ諸国のブレーンは、自分たちも先進的な取組みができるのだ・先進的な思想を取り入れることで欧米に肩を並べるのだ、的な思惑があり社会主義思想が魅力的に映ったのではないかなあと。
(人物によってはマルクス主義を批判しつつ、社会主義を支持する場合もあるので温度感はまちまちでしょうが)

そのような下地も相まって、今日の親露に繋がっているのかもしれないですね。親露は第一に「ロシアだったら金品をくれるから」の側面が強いのはそうなのですが、東側陣営的なものへの拒否感が薄いことには寄与しているのかと。

感想②:世界の境界線の引き方

これは、最近ぼんやりと思っていたことなのですが、本書を通じてより強く考えるようになりました。
「人間の世界は陣取り合戦の繰り返しなんじゃないか」と表現できるかもしれないのですが、要は差異をもちつつも一様に広がる世界に対して、何を基準に・どこに区別する線を引き、その線に沿って社会の規範を作っていくか、ということを有史以来かたちを変えながら繰り返しているのだと考えています。
「肌の色:黒か白か」で線を引く世界もあれば「目の形:丸か平らか」で線を引く世界もあったかもしれない。

人種だけじゃなくて、本書で取り上げられているような「赦す・赦さない」の区分の仕方とか「個人・共同体」の捉え方とか、目の前の事や考え方の全てに対して、無数の線の引き方があるのだとも言えます。

そして、完璧な線が引かれた世界は存在しないだろうし、人間という種の性質状、線を引かない世界ということもあり得ない。
ただ、今日の世界には線を引かれた場所故の問題が多数に存在していて、それらは線の引き方を見直しながら解決していかなければならない。
我々の生きる世界の、より良いあり方とは何なのだろうと、示唆を得る本でもありました。


その他、当たり前のように今まで知らなかったアフリカの哲学概念や政治運動が取り上げられており、とても勉強になったのですが、自分の備忘録としての読書記録はこんなもんかなと思います。

以上、タカハシでした。

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