ポイント経済圏、戦国時代突入
新Vポイント誕生
「TSUTAYA(ツタヤ)」などを展開
するカルチュア・コンビニエンス・
クラブ(CCC)と三井住友フィナン
シャルグループ(FG)は先月、両者の
「Tポイント」と「Vポイント」を
統合し、名称を「Vポイント」に
統一した新たなポイント事業を
始めた。
通信大手が先行する「経済圏」
競争に強力な対抗馬で出現する
こととなり、各陣営にはこれ
まで以上に顧客からの興味を
引き付けるための高度な工夫
が求められる。
顧客サービス向上の動き
Tポイントは、CCCが平成15年に
生んだ「老舗」経済圏だが、近年
は後発の他陣営の経済圏に押され
失速していた。
一方のVポイントは利便性や知名度
の低さを課題としており、利害の
一致から統合が実現。
これにより生まれる経済圏は計
8600万人規模に上る。
特徴は従来のTポイント加盟店に
加え、クレジットカードの国際
ブランド「VISA(ビザ)」の
加盟店でもポイントがたまると
いう利便性の高さだ。
三井住友FGの金融サービス
「OLIVE(オリーブ)」と連携
した戦略を展開する。
「囲い込み」加速
通信大手の各陣営も囲い込み
戦略を加速。
KDDIは2月にコンビニ大手
ローソンの株式取得を発表
し、共通のポイント「Ponta
(ポンタ)」の戦略強化を模索
する。
「dポイント」を運営するNTT
ドコモは4月、インターネット
通販大手のアマゾンジャパンと
協業し、アマゾンでの買い物で
dポイントを貯めたり、使ったり
できるようにした。
スマートフォン決済「PayPay
(ペイペイ)」もグループ内
の金融サービスとの連携を
強化する。
還元率頼み脱却
ただ、各陣営のポイント戦略は
成熟期を迎えている。
高い還元率や金融サービスとの
連携は既に新鮮味がなく、既存
戦略の延長線では「差別化が図れ
なくなった」(業界関係者)との
声もある。
求められるのが、顧客の利便性を
高めることでサービスを日常的に
使ってもらう取り組みだ。
楽天グループは4月18日、スマート
フォン決済「楽天ペイ」アプリに
ポイントカード機能を統合すると
発表した。
担当者は
「一つのアプリで使ってもらった
方が利用頻度が増える」
と狙いを説明する。
Tポイント顧客データ活用へ
4月からTポイントを統合した
新たなVポイントのサービスが
始まった。
新Vポイントのメリットや方向性、
共通ポイントの先駆者だったTポイ
ントが消える経緯などをQ&Aで
まとめた。
Q:新Vポイント導入に伴うユーザー
の影響は?
A:統合で会員数計8600万人規模の
巨大なポイント経済圏が誕生する。
牛丼大手のすき家やハンバーガー
チェーン大手のロッテリアなど、
新Vポイント 誕生を契機に導入を
始める老舗もある。
ユーザーの利便性は向上しそうだ。
Q:平成15年誕生のTポイントはなぜ
姿を消すのか?
A:後発である楽天グループの
「楽天ポイント」、
NTTドコモの
「dポイント」、
などとの競争の影響が大きい。
象徴的な動きが、かつてはTポイ
ントだけを使えたコンビニエンス
ストア大手ファミリーマートの
令和元年7月の取り扱い変更だ。
独自のキャッシュレス決済で楽天
ポイントやdポイントも使える
ようになり、各社が顧客の囲い込み
を強めたことでTポイントの存在感
が 低下していたのも事実だ。
Q:統合した三井住友FGの狙いは?
A:グループの総合金融サービス
「OLIVE(オリーブ)」を軸に、
金融取引や決済サービスの利用
でも新Vポイントがたまる利点を
最大限活かすことが想定される。
これまでVポイントは、有効会員
数が約2千万人と他のポイントサー
ビスに比べてやや低かった。
Tポイントの統合で得た顧客基盤や
データを活用しサービスの質を向上
させることで、金融面での新規顧客
の 開拓にも繋がりそうだ。