愛と勤労の祝日策定会議

いつもは私よりも先に仕事に出かける父が、いつもの時間になってもゆっくりとパソコンを眺めている。

有給でも取った？ それとも体調悪い？ と思うも、それを直接聞くわけでもなく、私は出勤までの時間をダラダラと過ごしていた。
結局、父はいつもよりも遅いながらも職場へ向かったのだが、見送りのあとで母が「勤労感謝の日なのに二人ともお仕事でご苦労様だねえ」と、労いの言葉をかけてくれた。いやいや、母も毎日家事全般をしているではないか……あっ

そのとき、初めて今日が祝日だということに気が付いたのだった。
なんせ、私は祝日が無い世界線にいるもんだから、すっかり忘れていたのである。

昨日の【いい夫婦の日】は覚えていて、親に何か買って帰ろうかな？ でも夫婦の日だから娘の私がしゃしゃり出る日じゃないのかな？ とか迷っているうちに何もせずに終わり、迷うくらいならお菓子でも買った方が喜んでもらえただろうにと後で思ったが、誰に言われなくとも記念日であることは頭にあった。

世間的にはどうなのだろうか。今日の私のように、【いい夫婦の日】が平日であるために忘れてしまう人も多いのではなかろうか。もし祝日だったら、これを機に夫婦ということを再確認し「いつもありがとう。今日は二人でゆっくり過ごうか」なんていう、いつもよりハートフルな日になると私はふんでいる。しかも翌日は勤労感謝の日だから、自動的に二連休になるし、最高だ（私は結局関係ないけれど）。

いや、祝日にしてしまうと子どもたちも学校が休みになり、家に家族全員集合の形になる。こうなると記念日の趣旨と違ってきてしまう気がする。ならば仕事のみ強制的に休みにすればどうかと言うと、サービス業はどうなるの？ となるし……ハッ

だから１１月２２日は平日なのか……！

この記念日が定着してからもう長いが、その間に祝日化を求める声が一度や二度挙がってもおかしくはない。その結果有識者会議が開かれ、私が先に出した比でないくらいの数と説得力がある意見が飛び交い、それでも平日に据え置きするという苦渋の決断を下したのだろう。やはり祝日を策定するのは難しいのだ。

【いい夫婦の日】で盛り上がってしまったが、今日は勤労感謝の日である。これに関しては、職場の先輩が冗談めかして言っていた「勤労感謝なら休ませてよっ」に賛成の意を表したい。働かせてもらえるのはありがたいことだけどね。