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フレンチトーストと鯛カマと父
父は時々フレンチトーストを作る。
普段食事は滅多に作らないが、フレンチトーストに関しては「これだ!」というレシピを習得したらしく食べたくなったら自分で作っているらしい。
父は夏場でも夜が明けるかどうかくらいのときに起きるので、私がリビングへ入った時点で甘い匂いだけが残っているということもあった。レシピは思いついてすぐにできる時短レシピを使っていると以前聞いたことがあったが、早起きすぎるが故に実は一般的な朝食時間に食べようとすれば時短せずとも染み込むらしい。めっちゃ早起きじゃん……。
先日もフレンチトーストスイッチが入ったらしく、起床した母が居間へ入ったところ「今日はフレンチトーストです!」と宣言されたのだとか。
その日家には食パンが1枚しかなかったが、まだ暗い中わざわざコンビニへ出向いて分厚い食パンを調達。下処理も済ませ後は焼くだけという万全の状態だったそう。
普段朝は5〜6枚切りの食パン1枚食べるかどうかという母に突然4枚切りを使ったフレンチトーストを提供するのもすごいが、それを話す母の様子を見ると和やかな時間だったんだろうなと思う。
私が家を出てから定期的にカフェでお茶をし始めたようだし、積極的に2人の時間を過ごす時間が増えたようでよかったなあと思う。私がいるとどうしても「母娘/父」という布陣になってしまうから。
どこかに出かけるときも私は隣に母がいてずっとしゃべれたからいいけど、その間父はずっと後ろにいたんだもんな……それで父が会話に入ろうとするとムスッとしちゃったりして。私、酷い人では?
話の流れが変わってしまうのが嫌だったなどという言い分は一応あるものの、父からしたら寂しいことこの上ない。当時それで怒られることはなかったが、父の日である今日やっと痛感した。せっかくだから父の話題を……と書き始めて正解だった。
例えばこれが私と友達2人の計3人という構成だったらムスッとなんてしない。いつからか父とはなんとなく距離があるのだが、結局のところ心の奥底では甘えているのだろう。
いつもごめんね、そしていつもありがとう。
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ちなみに今年の父の日のプレゼントは鯛のカマにしてみました。
父は魚好きなのだが、調理の手間や母の好みの関係でほとんど魚が食卓に上らない。魚は基本お寿司屋さんで摂取することになるため、こういうギフトで焼き魚を送るのは結構良いのではないかと思っている。母に面倒はかけるけどたまーにということで勘弁願いたい。
正直なところカマがどういう味のものなのかわからないまま「魚好きの人が唸りそう」というイメージだけで選んだのだが、その推測は外れていなかった模様。「最高」との感想をもらえて一安心である。
今度帰省したときにでも鯛カマの話を改めて聞いてみようかな。母ではなくて、ちゃんと父に……ちょっと緊張しちゃうけど。
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