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本が読めるようになってきた
しばらくの間、本が読めなくなっていた。
本屋さんに行っても雑貨コーナーを眺めるのが精一杯で、表紙を見ることすら厳しかった。
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先日実家に遊びに行った帰り、なんかいけそうな気がして、子どもの頃ちょこちょこ通っていた図書館へ久方ぶりに寄ってみた。
地元には数か所図書館があって、そこは少し小さめのところ。しかし、それもまたよかったのかもしれない。
本がワッと迫ってこない。
良い意味で空間がしっかり確保されており、今の自分に合う本がすぐにでも見つかりそうに思えた。
しかしここは慌てず、中学年コーナーへ。
リハビリには、慣れ親しんだシリーズ本がいい。それにだいぶご無沙汰だから、新作もあったりして……。
あったあった、5冊もあった。初めて手に取ってから15年は経っていそうなものなのに、未だに彼女らの時間が動いていたことに安堵する。
服のリフォームを専門とするおさいほう魔女・シルクと、ひょんなことからお店にたどり着いた人間の少女・ナナ、そしてシルクの「めしつかいねこ」・コットン。
この3名が毎巻様々な悩みを持ったお客さんを迎え入れるのだが、回を重ねるほどチームワークばっちりだし、シルクの描くデザイン画は美しいし、ナナはどんどん手芸が上手になるし、コットンのお客さんに対するフォローは毎回絶妙。
なにより、読んだら裁縫したくなること間違いなしだ。
そしてリフォームするのは服だけでなく、依頼者の気持ちまで変えてくれる。
それは大人が読んでも刺さることだったりして、ものによっては大人のほうが実感を伴って読めるかもしれない。
学生時代の親友と仲違いしてしまって、でも実はどちらも元通りになりたくて……とか。
思ったとおりにできない=ダメ、ではなく、「よくないことはよいことの種」である……とか。
小難しくなく、そして説教臭くないので、スッと心に入ってくるのだ。
ところで、最新巻の表紙に既視感を覚えた。これ、第1作目とほとんど同じなのではなかろうか。
急いで1巻を取り出してみると、赤が基調となっているところも、店頭にメインキャラ3名という構図も一緒だった。
もしかして、これが最終巻だったりする……?
読んでみたところ、内容的にはザ・最終回という雰囲気ではなかった。しかしシルクの友人(過去に出演してたりもする)が集結するなど、怪しいところがないわけでもない。
しかし29巻というキリの悪いところで終わるだろうか。
せっかくここまで続いたのなら、せめて30巻までやってもいいんじゃないの、と無責任にも思ってしまう。だって、もっと彼女らのやりとりや仕事っぷりを見ていたいのだ。
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ただの深読みであってくれと願いつつ、最終巻を返却。気づけばすでに3回目の来館となっていた。
ひとまずは他シリーズに挑戦することにしよう。当時は1巻で挫折してしまっていたから、未読は何冊もある。
……おや、あっちのデザイン書も面白そうかも。少しだけ、試しに見に行ってみようかしら。
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