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先生が先生じゃない時間


休日のスーパーは週末のためか、あるいは年末準備の本格化のためか、午前中から混んでいた。その中で驚きの出会いをし、それが今日イチのトピックスとなった。


レジは混んでおり、私は通路を挟む三番目の位置でレジを眺めながら待っていた。すると、二番目で待っていたご夫婦の旦那さんが一番目にいたおばあちゃんにスッと近づいたかと思うと、カゴをひょいっと持ち上げたようだった。

コートを着ているのもあるが比較的大柄で、ちょっと怖そうな雰囲気があった(失礼)なので、突然の紳士的対応に驚くと同時に素敵だなあ、と思っていた。


そしてレジが彼らの番になり、私はレジへ進んだ。そこでより間近で旦那さんの姿を見ることができたのだが(いや、紳士がどんな方かちょっと気になってしまって……)、なんか見覚えがある気がしてきたのである。しかし、しばらくわからなかった。気付いたのは、彼らが去っていく間際だった。

約十年前にお世話になった先生だったのだ。


声をかけたわけではないので確実にそうとは言えないが、十中八九そんな気がした。気付くのに時間がかかったのは、十年と言う月日ではない(思い返してみてもほぼ変わっていなかった)。学校で見かける表情と始終違っていたからだ。

学校での先生は、どちらかというとムスッとした表情が多く、楽しそうに笑う姿は珍しい印象があった。たまに笑顔がこぼれるのを見ると、ホッと嬉しくなったものである。


しかし、今日見た先生(仮)はずっと穏やかな微笑みを浮かべていた。パッと見は怖そうだが(失礼)、紳士的アシストも含め、優しいオーラを纏っているようだった。


この出会いに遭遇して初めて、「先生とは違う別の顔」の存在をちゃんと認識できた気がした。私も場所によって自然と話し方や表情も変わってしまっうことは学生の頃から知っていたし、なんなら悩んでさえいたのに、先生は先生という一部分しか想像できていなかったことを、今さら気が付いたのである。

奥さんに一番優しいまなざしを向けているのかな……と勝手に想像し、なんだか嬉しくなった朝だった。




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三谷乃亜
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