
エッセイの教科書(読書感想文)
三浦しをん『ビロウな話で恐縮です日記』(新潮文庫)、やはり面白かった。
実は数年前に単行本を図書館で借りて読んだことはあるのだが、文庫本がいつの間にか出版しており、これは買わねばと思った次第である。本書はインターネットで掲載していた日記を収録したもので、文庫版は文庫オリジナルの脚注や後書きもあり、お得感マシマシだ。
(私が作家さん目的で本を買うのは三浦しをんさんと北大路公子さんの二名ほど。お二人ともエッセイを執筆されるが、それぞれ雰囲気が異なり、そのどちらもが私の憧れである。)
本書でも見られる「しをんさん」のエッセイですごいと思うのは、私生活を赤裸々に描く潔さと、それをエンタメとして昇華させる技術。自宅での生活状況、ご家族・ご友人との会話など、私がこんなに知ってもいいんですか……? と思ってしまうくらいの大盤振る舞い具合だ。
そして、好きなものや人、本についての話もすごい(語彙力)。
上の文からもわかると思うが、私は好きなものについて語ったり、読書感想文を書いたりするのが大変苦手。
心に抱いた熱意を文字化して誰かにわかりやすく伝える、というのはパワーと技術が必要だと思うのだが、しをんさんはそれを軽やかにやってのける。
時折(頻繫に?)熱意が爆発して圧倒されることもあるが、思いがビシビシ伝わってくるし、こちらまで楽しくなってくる。
本書ならではの特徴としては、彼女の見た夢が定期的に出てくるのが挙げられる。どれも不思議かつ非現実的なシチュエーションで、前日までの超日常話から一気に異世界に飛ばされてしまう。四六時中、物語を読んだり書いたりしていると、夢も物語性を帯びるのかしら……(ちなみに私は職場の夢が多い。辛い)。
気分転換に、そして文章の勉強のために、これからもたくさん読み返したい一冊だった。
しをんさんの物語も大好きだが、これからもエッセイは定期的に出版してくれたらいいな。
いいなと思ったら応援しよう!
