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Photo by
yamaakko4
一輪のガーベラ
たまにお花屋さんに行くと、ガーベラを無意識に探してしまう。
何がきっかけなのか具体的には覚えていないが、確かに言えるのは小学生の頃から好きだったということ。高学年くらいのときは割と頻繁に花屋さんに行っていたので、そのときに一目惚れしたのだろうか。あるいは、私が何も見ずに描くときの花に似ているから?
(小さな丸を描いて、そこから花びらを伸ばし、花びら同士に出来た空間から次の花びらを伸ばし、と二重三重にした名も無き花。なんかそれっぽく見えるので気に入っていた。)
しかし、一輪のガーベラで記憶に強く残っているイメージは、それを選んだ花屋さんの場面でも、それを持って行った病院でもなく、その中間地点。主が長らく不在の、祖父母の家に母と来ていたときのことだ。
長らく一人で暮らしていた祖母が入院したあとも定期的に訪れていたため、家に行くこと自体は特別なことではなく、そのとき何をしたのか全く覚えていない。しかし、年季が入ったローテーブルの上に一時的に置かれた満開のガーベラだけが、一枚の静止画として残っているのだ。
と言いつつ、その色をはっきりさせようとするとたくさんの選択肢が出てきてしまうため、画像の精度は限りなく低い。しかし、それだけ当時はガーベラを買っていたのだと思う。
あれから十年以上経ってしまっていることに、今でも「本当に?」という気持ちになる。学生時代のことは随分昔だと思えるのに、一輪のガーベラはつい先日まで買っていたようにすら思える。
今度花屋さんに行くことがあったら、自分のために一輪、買ってみようかな。
(↑上記のコンテストに応募させていただきます。正直お花の思い出は多くなく、普段あまり書かない切なさも滲む内容になりましたが、せっかくの機会なので、えいっと書かせていただきました。)
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