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1本の三色団子


春って、こんなに色があったんだっけ、と思う今日この頃。風は冷たいながらも、気温は温かくなってまいりました。


桜は、赤い蕾(花よりも凝縮した色をしているよね)がわさわさと実り、そこに薄いピンク色もちらほら見えたり、日当たりの良い桜はもう満開だったり。

紫色のツツジが道路脇を彩り、謎の高木が黄色い花を目一杯咲かせる。そして、針葉樹以外の木も葉を茂らせ、色んな緑が揃い踏みしだした。



モノクロが主体の冬から春になるという過程は、今まで何度も経験してきたはず。なのに、視界に入ってくる華やかさが、ほんの少し前まで見ていた同じ場所の景色と全然違っていてびっくりしてしまった。なんだか、はじめての感覚。これは感受性の高まりなのだろうか、それとも年を重ねたから……??




お花見の時期になると思い出される言葉は「花より団子」。お花を見ながらピクニックやバーベキューをするという文化を持ち合わせていないのは置いといて、そもそも最近はお餅系のお菓子をほとんど食べない。なので、お団子とはかなりご無沙汰となっているのだが、嫌いなわけでは全くなく(お腹が膨れちゃうのが苦手なだけなのです)、むしろこの時期になると思い出すお団子の記憶もあるくらいだ。


記憶と言っても、おそらく幼稚園か小学生のときの話なので、かなり断片的で、朧げになっている。その何とか覚えていることといえば、三色団子だったということと、珍しくバスを使いながらお散歩していたということ。


ピンクと黄緑、そして白のお団子の重さが1本の櫛を持つ手にずっしりと伝わってくる。大きなお団子のイメージがずっとあるが、それは私が小さいだけだったのかもしれないし、本当に大きかったのかもしれない。

如何せん、場所もよくわかっていないので、どこのお店で買ったのかも特定できていないのだ。一緒に行った母は知っているかもしれないが、聞くのを忘れてしまうし、淡い記憶のままで良いかとも思っている。



お散歩の途中でお団子を買い、そのまま歩き出したんだっけ……それとも近くのベンチか何かに座って食べたのかしら。記憶にあるのは重いお団子を持って、歩いている数歩の間のみ。それなのに、今まで何度も思い出してノスタルジーな気持ちになるのは、大好きな母といつもと違うお出かけをしたのが楽しかったからなのだと思う。


良く晴れた、人通りの少ない車道……どことも知れぬあの場所に、もう一度迷い込めたら楽しいかもな、と考えてみたりする。もちろん、片手には三色団子を持って。

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三谷乃亜
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