「ひきこもり」が功を奏したグルメ
旅行はなかなかできないが、意外と近くで名物に出会えることがある。
それはスーパーマーケット。気付くと沖縄フェアや関西フェアなど、本来はその土地に行かないと買えないであろう食品を気軽に見ることができる。百貨店での全国物産展も開催されない中、より身近なスーパーでちょっとした旅行気分を味わえるのはお得とも言える。
しかし、買ったことは……ほぼ無い気がする。スーパー=日常生活のものを買う場所、というスタンスなため、単価が安いとは言えない名物品はよっぽどのことがない限り買えないのだ。ついさっき「旅行気分」と言っていた人の発言とは思えない(本当にね!)。
その土地を知るという意味でも、応援するという意味でも、本来は買った方が良いのは重々承知しているが、現状は「こういうのがあるんだ~」とワクワクさせていただくのみ。やはり旅行先や物産展など、日常から隔離された場所でないとリミッターが解除されないのだろうか……。
しかし只今、気になっている全国各地のお菓子が増殖中である。それは『ひきこまりグルメ紀行』(カレー沢薫、ちくま文庫)を読んだから。
本書は、カレー沢さんが自宅にいながら所謂「お取り寄せ」で様々な名物を食す、というグルメエッセイ。一つ一つがコンパクトにまとまっているし、語り口も軽快(時々いい意味でぞんざい)なので、クスっと笑いながらあっという間に読み切ってしまった。そしてその頃には食べてみたい名物が一気に増えていたのだった。
お取り寄せ注文をするのは「日常の最たるもの」である家であることを考えると、私にできるか疑問は残る。しかし、一生のうちに様々な美味しいものを比較的手軽に食べられる、という利点は心に刻んでおきたい。
……というか、それならスーパーのフェアはめっちゃ手軽なのでは。
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