予期せぬラッキーセブン


紙コップで飲み物が出てくるタイプの自動販売機があるだろう。


学生のころから好きで、ちょくちょく使用している。この時期は温かい抹茶ラテやカフェモカ、苺ココアなどが美味しい。自分で紙コップ(ボトル)とブレンディスティックを用意した方が安上がりなのはわかっているのだが、そのときに飲みたいものがボタンを押せば出てくるのが魅力的でな……最初にお金入れればの話だけどさ。


しかし、先日は本当に「実質」ボタンを押せば出てきたのである。



最近利用している自販機で知らないうちにキャンペーンが始まっていた。どうやらボタンを押した後に金額が出る電光掲示板で数字のルーレットが始まり、数字が揃うか何かでキャッシュバックになるらしい。


こういうのってまず当たらないのよね。強度の物欲センサーを持つ私にはまず無理。でも、飲みたいからやってみるのは別に良いよね? 飲みたいだけだから……。


今思えばしっかりルーレットやりたい人になっていたが、そのときは特に気にしていない風(風……)でコインを入れてボタンを押す。出てくるのを待ちつつ、そういえばルーレットあるんだったな、と普段はそのタイミングで見ない電光掲示板に視線を移した。


ここで、ルーレットが始まるのかな? まだかな? 本当にルーレットがあるのかな?


若干不安になったところで、ピコピコと光が灯った。

いやいや、どうせ当たらない当たらない、当たらないと思わないとだめ……。


しかし、そこに現れたのは七が三つ。そしてすぐにチャリンチャリンという音が聞こえてきた。おそるおそるコイン返却口に手を入れると、さっき入れた金額がきっかり吐き出されていた。


自販機から飲み物とお金を同時に受け取るという状況が未知すぎて、むしろ困惑しながら椅子に座る。周りに気の知れた人もいなかったため、戸惑いも喜びも表に出せない。



私は浮ついた心を持て余しながら、湯気の立った紙コップを口元に運んだ。




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三谷乃亜
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