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夢のビュッフェに行きたかった話
食べたいものをなんでも食べられるお金も胃袋も性分も持ち合わせていない私は、毎晩夢に託して眠りにつく。
今のトレンドはコロッケ。かぼちゃコロッケはもちろんのこと、じゃがいも&ひき肉コロッケも外せない。そして、現実ではその2つに押されて食べる機会が極端に少ないクリームコロッケも食べたいところ。なんせ夢なのである。きっといくらでも食べられる身体になっているはすだ。
それならエビチリも欲しいところ。エビ自体だけでなく、衣も大きめのものが望ましい。ここ(夢)はビュッフェスタイルの会場なので、現実の某食べ放題屋さんでお気に入りになったエビチリのイメージが引っ張られているのかもしれない。
大きなエビチリときたら、大きなミートボールだろう。だろうって言われても困ると思うが、芋づる式に浮かんできたのでご容赦いただきたい。
これは某食べ放題屋さんにあったわけではなく、単純に大きな肉団子が好きなだけだ。小さなミートボールも、お弁当に入っていたらテンションが上がるが、ビュッフェなら一口では食べきれないサイズがあってほしい。肉々しさの中に玉ねぎが顔を出す肉団子に、中華風の甘じょっぱいタレを……しかし、ミートボールと言えばトマトベースか。いや、ここは欲張ってどちらもお願いしてしまおうか(誰に?)。
大きな肉団子が山のように積み上がっている……という想像をしたところで、私は急に怖くなった。黒々とした塊がピラミッド状に連なり、こちらをじっと見ているよう。その迫力が徐々に、しかし確実に大きくなってくるのである。
そしてその直後には、大きな肉団子が一気に口に入ってしまったら……というイメージが勝手に膨らんでいった。絵本などで出てくる『食べ過ぎてお腹が破裂する』という話に本気でショックを受けてしまう私なのだが、胃に入る前から既に「アガガガガガ」という苦しそうな姿を無駄に想像してしまい、怖くなったのだった。
まだ夢に入っていないのに、もう脳内の映像をうまく制御できなくなっているとは何事か。このままでは発熱したときの悪夢に似た状況になりかねない…… と、肉団子もエビチリもコロッケも全部諦め、全てを必死で搔き消し、なんとか眠りについたのである。
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