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資料館でノスタルジーに浸る
友人とドライブをした際、時間調整のため近郊の資料館へ急遽足を運ぶことになった。
どうやら、使われなくなった小学校を利用しているらしい。
靴は児童が入れていたであろう靴箱へ入れるし、スタッフさんが出入りする事務所には「職員室」と書いてあった。初めて訪れるのに、「小学校」という空間はどこでも懐かしみがあるらしい。展示以外の場所も隅々まで眺め、ほっこりとした気持ちで満たされていく。
主な展示内容は「地域の歴史」。
この地域に人が住み始めた頃から現在に至るまでの経過がパネルで解説されており、当時の家財道具(土器、タイプライター、洗濯機など)や軍の備品(間近で初めて見たかも)も一緒に見ることができる。
失礼ながらそこまで期待せずに入館したのだけど、あっさり期待を裏切ってくれた。元々、郷土資料館のような生活に密着したものの展示が好きというのもあり、予想以上に楽しめた。しかも無料なんだからすごい。今後も行政から予算が下りることを願うばかりである。
しかし、展示を見るなかで思ったのが、『私って、こんなに文章読むの苦手だったっけ……』ということ。
文字を追うことはできるが、その意味を落とし込む前に離れていってしまう感覚。要は目が滑っているのだけど、脳が勝手に作り上げた鉄壁のディフェンスを破るべく何度読み返してもほぼ効果なし。
別に昔から読めたわけでもないのだけど、ここまでだったかしらねえ。学術的なものを読む頻度が減ったからなのか、それとも昔の自分を美化しているだけなのかは定かではないが、ちょっぴりショックを受けたのだった。
一方、ぱこーんと記憶の扉が開いて気持ち良かったのは、展示室にあったテレビである。
ただ展示品のほうではなく、小学校の備品としてそのままになっていた箱型Victor。窓側の角っこにつり下がっているあれです。
こんなのあったなあ、と近づいてみると、下の方に数字が書いてある。規則性のない並び……しかしすぐにピンときた。
これ、今は無きアナログ時代のチャンネルでは?
展示品と逆方向を向いている私に気づいた友人もやってきて、チャンネルの照合作業に興じる。
友人:「〇〇番が教育テレビで……」
三谷:「うん」
友人:「△△番がテレ東?」
三谷:「いや、たぶんフジテレビ。テレ東は□□だったはず」
友人:「ああ! そうだそうだ」
この友人とはデジタル放送になってから知り合ったのに、こうしてアナログネタで盛り上がっている。なんとなく不思議で、だけど面白い。
同郷ってこういうところが強いよな……などと思うのだった。でも別の地域出身の子だったら「うちは〇番だったよ!」「え!それは××局じゃん!」みたいなのも盛り上がりそうな気もするけどね。
そのほか、教室の後ろにある流しにノスタルジーを覚え(牛乳パック洗ったな……)、”母校には廊下にも水道があったかどうか”なんて話を繰り広げるなどした。いや、展示品もちゃんと見たから! このお箸、祖父母が使っているやつでは!?(同じ種類の漆器と思われる)とか……。
なんか、もっとこう、自分と距離が遠いものに関しても興味を抱けるようになりたいものですね。知ってるんだ、学生時代は義務感があったから難しい文章も吸収しやすかったんだって……。
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