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ラジオで20年ぶりに再会した曲
運転中は、好きな曲を詰め合わせたCDをヘビロテしている。
しかしここ数日は、久々にFMラジオをかけてみていた。
テレビもスマホもパソコンも、見たいもの・聞きたいものを自分で選ぶ。その結果、自分にとって心地良い情報しか入ってこない。
「好き」だけを周りに従えることで安心していたが、予期せぬものも少しくらい入れないと何かが狭くなっていくような気がする。だから試しにラジオをつけてみたのだった。
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先日車を走らせていたときは、音楽番組の時間だった。
パーソナリティはおらず、ひたすら曲が流れていく。時代やジャンルを固定しているのかもしれないが、詳しいところはよくわからない。
最初の曲で私がわかったのは、「洋楽である」という一点のみ。人や作品に興味があって聴くことが多いため専門的知識に乏しく、時代はおろかジャンルの見当もつかなった。
普段聴くテイストでもないし、ヘビロテCDに変えようか……いや、何か発見があるかもしれない。そう思い直し、踏みとどまってみた。
すると2曲目になったとき、おや?と思った。
ちょっと違うけど、聴いたことがある。というか、これが「オリジナル」だったのか。
イギリスのシンガーソングライターDidoの「Thank You」。
歌手名も曲名も今の今まで把握していなかったが、最初の一説のメロディや”音”としての歌詞は小学生の頃から知っていた。
オリジナルはずっと穏やかな雰囲気のままなのだなあ。今回も"It's not so bad"しか聞き取れなかったから、実は不穏な内容なのかもしれないけど。
私が知っている「Thank You」は、"It's not so bad"の後に男性のラップが始まる。
Eminemの「Stan」。
女性パートと男性パートの曲調が全然違うなあ、と子ども心に思っていたが、どうも違う曲だったらしい。約20年の時を経て判明した衝撃の事実である(おおげさ)。
ちなみに、歌っている人の顔も今回初めて知った(この人だよね?)。何も知らなくてごめん。父の車内でしか聴いたことがなかったもんで……。
父もいつしかエミネムを聴かなくなり、私も個人的にハマるまではいかなかった。そのため、彼女の声を耳にしなくなって何年経ったかわからない。
しかし聴いた途端、父の車の後部座席に舞い戻ったような感覚になった。
当時のように"It's not so bad"のあとに男性の声が来るのを待ち受け、しかしアンダーグラウンド的な雰囲気はついぞ訪れず、ずっと休日の穏やかなお昼みたいな雰囲気で拍子抜けした。だが思いもよらぬタイミングで、しかも同じく車内で原曲と出会えたのは嬉しかった。
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ダビングしたCDはすべての曲が私好みで、順番も指定通り。次に流れるのが何なのか、わかっている安心感もある。
しかし予測不能なラジオだからこそ、今回の発見と再会があった。
YouTubeやSNSをよく利用するようになってからか、「ちょっと合わないかも」と思ったら早々に見切りをつけがちになっていた。しかし、この癖も考えものかもしれない。
やっぱり、ラジオもいいもんだね。
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