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夏の夜、野良猫との出会い



ある日の19時半過ぎ。



街灯は眩しく光を放ち、しかし陽の光も仄かに残っている。


この時間は家にいることが多いので忘れていたけど、夏の夜には夏の夜らしい空気がある。



植物が湿気ったような匂い
夏虫が控えめに鳴く声



草花のもわんとした匂いは何由来なのだろうか。好みが分かれるかもしれないが私は結構好きで、小学生の頃1度だけ行ったキャンプを思い出すなどした。キャンプ自体は虫&寝袋問題によってあれ以来行っていないが、咄嗟に浮かんだということは、あの日もこういう空気だったのだろう。




*****


今日は比較的涼しいし、しばらくぼんやりできるくらい心地良いぞ、と思いながら深呼吸をしていると、野良猫が視界に映った。


薄暗いのではっきりとは見えないが、以前別のお宅の車付近で寛いでいたお方ではなかろうか。彼 or 彼女がリラックスしているところを静かに横切ったことはあるが、今回は警戒心が強そうなフリー状態。でも、お近づきにはなりたい。


すると、私の方へ歩いて来たではないか。いや、盛った。正確には「私」ではなく「私のいる方向」である。でも私の気配を察知していないはずはないし、これはもしかしたらいけるのでは(何が)。




なるべく刺激しないよう、しゃがんで視線を落としてみる。ゆっくり動いたはずだったが、逆に驚かせてしまった模様。一時停止し、エジプト座りの体勢に入った(やや警戒しているときの姿勢らしい)。




ここで動いてしまってはダッシュで逃げてしまうかもしれない。そう思った私は身体をガッチリ固定し、目だけをゆっっくり閉じてゆっっくり開けた(猫がリラックスするとかしないとか)。そして、心の中で『大丈夫ですよ』と念じてみた。



この作戦が功を奏したのか、ダッシュすることなく、そのままの方向、つまり私がいる方向へ歩みを進めてきたではないか。よっしゃ第一関門突破!!

ドキドキしつつ、しかしそれを悟られると警戒を強めてしまうかもしれない。逃げずに進んでくれただけで心の中は宴会を始めようとしていたが、まだ早い。早すぎる。

最新の注意を払う一方、私の存在も知っていただきたい。強欲で申し訳ないが、実家の猫と離れて寂しいので許して欲しい。




ゆっっっくり身体の向きを猫氏に合わせつつ、もしかしたらこちらに来てくれるのではという望みも捨てきれず見守っていく。すると、こちらには来なかったものの、突然立ち止まったかと思ったら横座りをされたのだ。 その距離およそ1m。おいおい、近くないか……!?


横座りが比較的リラックスしたときの姿勢というのは、今調べて保証されたので改めてニヤニヤしているが(怖い)、そのときも『寝そべった! ねえ寝そべったってことは、大丈夫ってことだよね!??!!』と心の中はお祭り騒ぎになっていた。思わず「ねこくん」と話しかけちゃったもの(幸い、逃げなかった)。


その後すぐに猫氏は立ち上がって再び歩きだしたが、もう、すごく幸せな時間だった。



今回の文章、「夏の夜の空気が〜」のまましっとりムード(?)でいこうとしたけど無理だったな……むしろいつもより暑苦しい。

だって猫が可愛いんだもの。









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三谷乃亜
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