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映画の力に圧倒される


私は映画をよく観るタイプではない。「気になる」作品はちらほら出てくるものの、そこから「実際に観る」へ移行するまでがなかなか大変。

それは映画料金、敷居の高さ、尺の長さ、そしてそもそも山あり谷ありのストーリーが苦手(でも気になるのよ……!)など理由は様々あるが、その中で映画館とレンタルに共通する問題から一つ。


それは、「映画を観て抱いた感情が尾を引きすぎる」こと。
本やドラマでもあることだが、私の場合、映画だとより強く残ることが多い気がする。

これがハッピーエンドのお話なら無問題。しかし、アンハッピーエンドだったり、前向きな終わり方だけどやりきれない、といったものだと、後がなかなか大変……。

逆に言うと、感情が強く揺さぶられるのはすごく良い映画だったということだろうから、喜ばしいこと。実際、尾を引いた映画の中で観るのを後悔した映画は一つもない。


ちなみに、過去に尾を引きまくったのは『関ヶ原』と『燃えよ剣』の二つ。これはどちらも主人公(石田三成、土方歳三)の一生を描くもので、彼らの苦悩、周りとの軋轢、そしてその時代の人々の生き方……等々に圧倒された。どちらも母と映画館で観たので帰りに飲食店に寄ったのだが、私はすぐ泣きそうになるし、食べ物も機械的に口に運ぶしで、感想どころではなかった。

『関ヶ原』のときはそのまま一日中落ち込んでいたが、『燃えよ剣』はそれではいかんと思い、面白い動画を見て気持ちを切り替えることに成功した。



しかし、先日、それらとは違う感覚に囚われた作品に出合うことになる。




『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013)

仲良しのオカマ・マサコちゃんが殺された。探偵は高田を呼び出し調査へと繰り出すが、仲間たちの対応はなぜかぎこちない。事件の背後にはカリスマ政治家・橡脇孝一郎と、政界&裏社会の思惑が渦巻いていたのだ。そんな中、探偵のもとに人気ヴァイオリニスト・河島弓子が現れる。大切なファンだったマサコちゃんのために犯人を自力で捕まえると息巻く弓子に対し、自分の"依頼人"となり大人しくするよう説得する探偵だったが、弓子のトンデモない性格に振り回され、3つの集団から追われるハメに…。果たして事件に隠された真相とは?

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正直大筋は事前に知っていたが、そんなの関係なく引き込まれ、ラストシーンでは泣いてしまった。

そのあとチョコモナカジャンボをお供に面白い動画を見た。お腹が痛くなるくらい笑ったし、もう大丈夫かな? と思ったのもつかの間。しばらくすると、映画のシーンがフラッシュバックし、そのときに抱いた「やるせなさ」や「悲しさ」が同じ温度感で蘇ってきたのだ。それが翌日の仕事中にも続いたため、この文章を練って気をそらせようと必死だった(仕事に集中しようか?)。


先の映画二つと何が違うのかと考えたときに、時代設定、自分事と思える度合い、なのではなかろうかと思った。

『関ヶ原』と『燃えよ剣』は現代と生活様式から何から違う部分が多く、一歩引いて見ることも可能だ。しかし『探偵~』は現代、さらに舞台は札幌である。色んなシーンで見知った場所が出てくるので、リアリティというか、自分との距離感がものすごく近い。

なにより、「やるせなさ」の原因が、実際に社会的問題にもなっているテーマなのだ。ラストは唐突にも映るかもしれないが、こっちの方が案外現実なんだろうし、本当におかしな世界だよ、と思った。


尾を引くのは大変だけど、そのくらい力がある素敵な作品をこれからも観ていきたい。




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三谷乃亜
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