スタートダッシュが早すぎる師走と、クリスマスブーツたち

ハロウィンが終わるや否や、街やお店はクリスマスムードになっていく。



近所のスーパーでも、11月にはクリスマスブーツをはじめとしたクリスマス用お菓子がデーンと置かれていた。このサイクルは毎年恒例だが、私も『さすがに早くない……？』とこれまた毎年恒例の感想を抱きながら煌びやかな売り場を横目で見ていた。

しかし、気がつけばもう１２月。早いよ！ なんならお菓子のときよりも『早くない……？』って思ってるよ！
まだまだ遠くにいると思っていたのに、いつのまにかぴったりとくっついていた師走。クリスマスブーツたちも急に現実味を帯びてこちらに迫ってくるようだ。



特に存在感を放っていたのが、モルカーのポテトくんである。今の今まで名前を存じ上げなかったのだが、メインキャラクターだということは以前から何となく把握していた。気づいたら人気者だったし、実際可愛いし、クリスマスグッズにも登場するのも納得である。


いつもはもふもふのポテトくんだが、お菓子を蓄えた後でそのまま長方形の缶になり、さらにその売り場では五匹に増殖していた。

顔は四角くなったものの、光を二つ宿したつぶらな瞳と少し開いた口でこちらを見つめてくる姿はやはりキュートだ。しかし、これが下・三、上・二で積み重なり、しかも下中央に乗るはずだった上一匹がバランスを崩して落ちかけながらも視線は外さない、という光景だったらどうだろう。全体的にキュートではありつつも、それ以上に何か圧倒されるものがあった。



下左の上がぽっかり空いているのを見るに、一匹が今日どこかの家に迎えられたのだろうか。笑顔で抱えられたのかもしれないし、あるいはクリスマスまで秘密の場所に隠されているのかもしれない。

どれも想像でしかない。しかし、売り場に出来た一匹分の空間に、じんわりとした温かさが見えた気がした（キザな言い回し！）。