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これは何のパンでしょう
先日、母とドライブの途中にパン屋さんに寄ったときのこと。
そのお店は街なかから外れたところにあるので、フラッと走っていては気づけない。今回は私が事前にリサーチをして向かったが、店構えや店内の様子を見るに、基本的に周辺住民のためのお店なのだろうなと思った。あるいは卸もやっているのかもしれない。そのくらい商売っ気がなく、入っていいのかやや躊躇してしまうほどだった。
店内は縦長で、すぐ手前にレジがあり、右にはパンたち。そして奥には作業場が丸見えになっている。ラジオかテレビの音が流れていて、近所のおばちゃんの家に来たような、どことなく懐かしい気持ちになった。
私達が来たときには先客がいて、ネームプレートを下げたお兄さんが店員のおばあちゃんと親しげに話しながら会計をしているところだった。おそらくこの辺に勤めていて、よくここで昼食を買っているのだろう。いいなあ、毎日ほっこりしそうだなあ。
*****
お兄さんが退店したあと、母と2人でパンを選ぶ作業に取り掛かった(ディスタンスを考えると、客3人はちょっと厳しいのだ)。そこで驚いたのが、値札が1つも無いということ。つまり、名前も値段も不明なのである。
メロンパンやあんぱんなど雰囲気でわかるものもあるが、見慣れない風貌だったり、惣菜系だったりすると推測が難しいものもある。店員さんもそれを見越してか、「それはハンバーグが入っていて……」などと、優しく解説してくれた。
いくつか説明を聞いたのち、私はちくわパン(ソーセージロールのソーセージがちくわになったもの。北海道のパン屋「どんぐり」が発祥と言われている。穴にツナが入っていることがほとんど)と、説明からは漏れていたが、何かしらの餡が詰まっていそうなパンの計2つをチョイスした。
謎のあんぱんは割と平たくて、三角形のような形、そして中央には木の実が数個乗っていた。普通のあんぱんっぽいのは他にあったから、白あんでも入ってるのなかあ、と思いながらひとちぎり……すると
あっ!!!かぼちゃだ!!!!!!!!
驚きました。狙ってないのにかぼちゃを引き当てるなんて。
確かに、あんぱんのラインナップとしてかぼちゃというのはベタなので、奇跡と言うほどではない。しかし中身がわからない状態で、見た目だけに惹かれて買ったパンが、常日頃好きだと言っているかぼちゃを秘めていたと知ったときの衝撃と高揚感はすごかった。
しかし、そのテンションのまま母に報告したところ、さらに衝撃を受けることになった。
「上に付いてるの、かぼちゃの種だもんね」
……あ。
緑色のかぼちゃの種は普段食べないとはいえ、これでかぼちゃ好きを名乗ってもいいものだろうかと、自信を無くしたランチタイムとなったのだった。
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