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デパートの食器売場は美術館
見る目を養ったり、インスピレーションを得たりする方法として、私がパッと思いつくのは文化施設や自然。
しかし、デパートに行くのもアリかもしれない。
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特に用事もなくデパートに行ったときのこと。
用事がないので、せっかくだから普段見ないフロアをちゃんと見てみようかと思った。
私がスルーしがちなカテゴリ、それは食器である。
食器にまったく興味がないわけではない。しかし絶対高いし、優先度的にも実際に買うというイメージがわかないのだ。
一人暮らしすることになった進学時、『同じシリーズの食器で統一したいなあ』なんて無邪気にも思っていた。
結局実家で眠っていたものたちをかき集めて持っていき、使えるのに全とっかえなんてできないので終ぞそのまま。まあ、終盤は食器もほぼ使ってなかった(=コンビニ飯)から、どうでもいいかって感じだったけど。
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しかし、こだわって作られた食器を久々にちゃんと立ち止まって見たとき、『これが家にあったら、日々の楽しさが少し上がるのかな』と自然に思った。いい食器は、前向きな思考を促すらしい(知らんけど)。
なかでも目を奪われたのは、「イッタラ」というメーカーの、動物と細かな文様が描かれた「タイカ」というシリーズだった。
後で調べたところによると、イッタラは1881年に誕生したフィンランドのメーカー。ガラス製品製造メーカーとしてスタートをきったらしい。
1881年「イッタラ」は、森と湖の国フィンランドの大自然の中でガラス製品製造メーカーとして誕生しました。 ガラス吹きマイスター、ピーター・マクヌス・アフラハムッソンによる高品質のガラス器は、「特別の輝きを持ったガラス」として当時の人々を魅了。
(中略)
近年はガラスにとどまらず「テーブルウェアの総合ブランド」としてコレクションも充実。シンプルでモダン、美しいフォルムは使いやすく、また素材を越えた色の組み合わせが楽しめます。
「タイカ」シリーズのポイントは先述のとおり、全面に描かれたイラスト&文様。動物が中央にいて、それが佇んでいる自然の風景がある種文様のようになっている。
パッと浮かんだ言葉は「か、かわいい……」だったが、”キュート”という方向性のそれではない。
ちょっと怪しさも感じるような妖艶さというか。海外の絵本にありそうな雰囲気が、すごくすごく好みなのだ。
ちなみに「タイカ」とは、フィンランド語で「魔法」という意味らしい。私が感じた妖艶さというのは、そう遠くないのかもしれない。
どれもこれも可愛いのだが、なかでも気になったのが紺地のもの。
紺地に朱色のスラッとした動物がいて、そのコントラストがよく映えている。
しかし、これに食べ物をのせるイメージがわかない。ここにあるように、飾ったほうがいいんじゃないかと思うくらいだ。そのほうがデザイン全部見られるし。
実用性を考えるなら、マグカップ一択。しかし0.4リットルと結構大きめ。
価格は4,400円。想像よりはリーズナブル(デパートにあるだけで5桁スタートというイメージ)だが、フォルム的にも使い勝手的にも、もう少し小さいほうがいいんだよな……。
2/3サイズで3,300円でどうにかなりませんかね(なりません)。
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