作品が生み出された「家」の話
前回は『小さなお茶会』について書いたのだが、なぜ読みたくなったかというと、ある本を読んだからなのだった。
週刊文春編『少女漫画家「家」の履歴書』(週刊文春、2022年)
1970年代までにデビューした総勢12名の少女漫画家のみなさんが自らの半生を語った本だが、本書はタイトルにもある通り「家」という私的空間に焦点を当てている。
生まれ育ったのはどういう家だったのか、仕事をしていくなかでどんな家に移り住み、どんな家を建てたのか(20歳そこそこで建てたりしてて驚き)……当たり前だが、12人もいて同じような人は誰もいない。だけどみんな少女漫画家さんとして活躍している。ほんとに色々なルートがあるのだなあと思った。
せっかくなので、12名のお名前をご紹介しておきます。
水野英子/青池保子/一条ゆかり/美内すずえ
庄司陽子/山岸凉子/木原敏江/有吉京子
くらもちふさこ/魔夜峰央/池野恋/いくえみ綾
嗚呼、我が青春! という先生はいらっしゃるだろうか。私は世代がずれているのもあり、恐れ多くも彼女らの作品を読んだことがない。しかしお話を聞いて、じわじわ興味がわいていきた。特に、いくえみ綾先生の『I LOVE HER』は奥田民生さんをモチーフにしたキャラクターが出てくるそうで。第1期ユニコーン時代、若き日の可愛い民生さんかしら、もう少し成熟した民生さんかしら……(ほんとに世代違う?)。
青春ど真ん中な人も、タイトルだけは知っているという人も、世代問わず楽しめる本だと思う。作家さんの生い立ちや、制作の裏側に興味がある方は一度手にとって見てはいかがだろうか。
*****
前述の通り不勉強ながら表紙の作品は未読なのだが、ちょうど世代である母が同時期の漫画を持っているので、絵のタッチに懐かしさがあった。
私も学生時代に勧められていくつか読んだのだが(『小さなお茶会』はもっと小さい頃に自分で見つけたんだったかな……)、そのなかで特にハマったのは『天上の虹』と『笑う大天使』である。
『天上の虹』(里中満智子)は持統天皇が主人公で、鵜野讃良皇女時代からストーリーが進んでいく。創作も入っているが、史実が明らかな部分は改変していないそう。
確か高校時代に日本史の勉強も兼ねて読み始めたのだが、勉強の枠を越えてのめりこんだ。もうたいぶ朧げになってしまったが、有間皇子が裏切られ若くして死罪になったときのショックは今でも心に残っている。蘇我赤兄、めっちゃ嫌いになってたな……。
『笑う大天使』(川原泉)は、お嬢様学校に良家の子として通ういわゆる普通の女子高生3人が、ひょんなことから互いの本性を知り意気投合、さらにひょんなことから超人的パワーを持ち、事件解決に向かうというコメディ作品。文字にしてみると、要素がだいぶ多い。でもごちゃごちゃしてなくて面白いのだ。
私は吹き出しの外にある発言やコミカルな描写が好きなので、この作品はぴったりだった。特に更科柚子ちゃんというキャラクターが好きで、彼女のトレードマーク(?)である緩めのみつあみに憧れたものじゃった……。
また読み返したくなってきてしまった。これは何回帰省しても足りないぞ。
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