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また「訪れてみたいカフェ」を2つほど
「もう一度、訪れてみたいカフェは、どこの何という店ですか?」
『カフェと日本人』(講談社現代新書、2014年)の中で、最後に筆者の高井尚之さんからそう投げかけられた。
それまで、日本におけるカフェの変遷やコーヒーの役割などについて、ふむふむと聴講している気分だったので、急に振られて少しドキッとしてしまった。しかし同時に、こちらに近づいてくれたことが何となく嬉しくて、すぐにこれまでの記憶を引っ張り出そうとするのだった。
しかし、いざ選ぼうとすると案外難しい。行った回数が多いお店は出てくるが、「もう一度訪れてみたい」というニュアンスには合わない気もする。何度も行くのはそもそも味が好きなのは前提として、利便性という部分も大いに関わってくるからだ。
メニュー、席の具合、雰囲気、そして思い出したときにしみじみするようなお店が、問いの答えとして相応しいのではないか、そう思ったのである。
そうは言ってもすぐに何でも思い出せるわけはなく……記憶だけに頼るのは早々に諦め、スマホとの二刀流で、2つ選出することに成功した。私が行った数少ない本州の1軒と、北海道からも1軒である。良ければご覧くださいませ――
・スマート珈琲店(京都、京都市)
京都の喫茶店特集でよく見かけるイメージがあるこちらのお店。4、5年前の京都旅行の際も、ガイドブックで名前を見つけた。その雰囲気と美味しそうなスイーツに惹かれ、スケジュールに組み込むことにしたのだった。
しかし、当時2月。京都の冬は底冷えがするとは聞いていたが、想像以上の寒さに私は機能停止寸前。そうして無事に到着したときには、喜びよりも「早く暖を!」という必死な思いが強くなっていた気がする。
そんな中でいただいた紅茶は身体にしみたし、おやつとして選んだプリンは大きくてツヤツヤと美しく、頼もしい食感も嬉しかった。人気店なので混雑はしていたが、ガヤガヤとうるさい印象はなく、落ち着いて暖をとる……じゃなくて、ティータイムを楽しむことができた。
コーヒーが飲めないのでそこは申し訳ないが、ホットケーキやフレンチトーストも人気らしいので、また行けるなら是非そちらをいただきたいところである。特にフレンチトーストは、分厚いのに卵液がしみっしみな雰囲気で、すごく美味しそうな気がしている。
・菊池珈琲 大通西11丁目店(北海道、札幌市)
様々なイベントの会場でもあり、市民の憩いの場でもある大通公園。その近くにある喫茶店の1つである。本店はもう少し西にあり、そちらの方が老舗ならではの貫禄があるが、今回は行きやすさと隠れ家的空間の良さで、こちらを選んだ。店内面積が大きめなので、席同士の空間も比較的広く、仕切りのようなものもあるので落ち着けるのだ。
こちらはランチで伺ったのだが、ピザトーストが美味しかったのですよ!
チーズは大盤振る舞いの厚さだし、下に塗られたトマトソースもちゃんと主張している。喫茶店ならではの厚めなパンも、上の具材たちとちょうど良い塩梅になっていて、全てのバランスが良いのだ。
セットを頼むと、これにカットバナナとサラダ、そしてドリンクが付いてくる。これも数年前だが、締めて710円(食べログを見たら、2020年4月現在でも同価格らしい)。このボリュームと味でこの値段はかなりお得だと思う。
どちらも結構前なので、過去の記録を参照しつつ書いたが、頭の中に残っていた印象だけでも、もう1度訪れたいと思えるお店である。
実際に現地に行った場合とは比べられないが、当時を思い起こしながらこうして紹介するのも、とても楽しいものだな、と改めて思ったのでした。ご清聴ありがとうございました!
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