赤い長靴 江國香織 感想
夫婦の話。春先とか秋の暖かくて肌寒くて微妙な気持ちになる。
言葉が通じない逍三が父親に似てる気がして、読みながら悪態つくこともあるけど、たんたんと読めた。
日和子の夫、逍三は、痴呆症なのかってくらい、一言前の会話を拾えない、もしくは拾わない人。
日和子は何ヶ月かに一回、現実に、ほんとうのことに取り憑かれる。逍三のことを理性で捉えて、一緒に生き続けることに疑問を感じる。でもその度にまたあやふやな状態に戻って、夫を好きな気持ちになる。
孤独感がすごい。
愛のイメージと程遠いけど、実際、これが愛なのかな。
逍三の言う、まわりの人と自分の間に膜があるっていってた、その状態で相手を見て受け止められることが愛なのかも。
動画をめいいっぱい引き伸ばした日々が続く。
この二人はこのまま続いていくだろうし、続かなかったとしても、似た日々が続いていく。
心地よさと小さな不幸なかんじが一瞬でぬり変わったりする日々かな。
肌寒かったり、日に当たって暖かくなったり。