私を構成するアルバム①Deep Purple『Deepest Purple』と②Misfits『American Psycho』
最近の『忍者と極道』のサブタイトルの元ネタが全部わかる程度には
あの頃のヴィジュアル系は聴いていました。
どうも、ザルソバです。
「私を構成するアルバム」
最近だと42枚選ぶやつがTwitterで少しだけ流行りましたが
これって昔話と自分語りをするのに最適なテーマじゃない?
ということでします。よろしくお願いします。
※虚実混ざってます
1.一瞬だけマンソンを聞かせてもらう(すぐやめる)
20年以上前、中学生だった頃。
昔も昔です。
どれくらい昔かといえば、当時のヒット曲といえば
小室ファミリーとかSMAPとか、あとはGLAYだった時代です。
大昔過ぎて鳥肌が立ちますね。
ゲームでいえばFF7やサガフロンティア、ゼノギアス、
メタルギアソリッドやテイルズオブデスティニー、
あとまだまだポケモンが赤緑だった時代です。
あれ?ゲームのタイトルを並べたら最近に思えてきた。
それまで歌番組を観る程度でしか音楽に触れなかった僕ですが
中学生になって、ある人物と同じクラスになったことで
その後の趣味が激変します。
その人の名前はアカギくんとしておきましょう。
アカギくんとは出席番号が近かったのでいろいろと話す機会があったのですが、博識で頭のいい人でした。おまけに当時からギターも上手かった。
そんな彼と僕なんかが一気に仲良くなれたきっかけは、
お互いが『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいたからでした。
令和の世では大人気アニメとなり既に市民権を得ているジョジョですが
90年代後半の自分の周りの小中学生は「絵が気持ち悪い」と読むのを避けている人がかなりいて、
それだけに当時「ジョジョが好きな人」が出会うと妙な連帯感が一瞬で生まれていました。
まさにスタンド使い同士が杜王町で出会ったかのような。
(体感だと3部のテレビアニメ化くらいまでこの空気は根強かった気がします)
彼のおかげでL'Arc〜en〜CielやPENICILLIN、Dir en grey(当時はまだ小文字)等にハマっていたそんなある日、
アカギくんのお家に初めてお邪魔する機会が訪れます。
家がデカい!庭が広い!部屋には本やCDがたくさん!
どうやら彼には歳の離れたお兄さんがいて、
アカギくんのギターの腕やマニアックな知識やはそのお兄さんの影響が大きいとのこと。
なるほどお兄さんお姉さんがいるのって羨ましいなー
こんなにいっぱい漫画が読めるなんて・・・
と部屋を見回すと、ある雑誌が目に入ります。
その雑誌の名は「BANDやろうぜ」
本棚にきっちりと年月順に並べられたその背表紙たちに
ラルク他、知った名前が書いてあったので読ませてもらうと
インタビューやライブレポートはもちろん
スコアや楽器の通販ページ、
あとはメンバー募集のページ(全パート募集、当方G初心者)も。
こんな雑誌があるとは中学生だった自分には想像もつかず
新しい世界を垣間見たような気分になりました。
ザッピングするように何冊か流し読みしていると
手にとった表紙を見た瞬間に「わっ」と声が出ました。
そう、その表紙の人物こそMarilyn Mansonでした。
記憶が定かではありませんが『Mechanical Animals』あたりの
写真だったような気がしますが
本当にこんな人間がこの世にいるのか?と
パターソン・フィルムを観るのとほぼ同じ眼差しでマンソンを見つめてしまいました。
今考えるとゴリゴリに加工してあるんだろうけど当時フォトショなんて知りませんでしたから。
「誰これ?」
僕はアカギくんにその表紙の人(?)を指さして尋ねます。
「Marilyn Mansonだね。聞く?」
彼はCDを取り出して早速聞かせてくれたのですが
「歌詞わかんないし、歌メロもよくわかんないな・・・」
そう、当時の僕は日本語の歌詞が分かりやすいメロディに乗っている曲しか聞けない・・・というか理解できない耳でした。
「わっはっは、そうだよなあ洋楽よりラルクの方がいいよなあ」
あの時のアカギくんの言葉は、ガキの自分に共感してくれたのか
それとも彼はもっと大人だったのか。
実はMarilyn Mansonは後に激ハマりするのですが
それはまた別のお話です。
2.洋楽をレンタルする
高校生になりました。
アカギくんとは別々の学校になりましたが付き合いはその後も続きます。
そして高校で新たにハマったのはHi-STANDARDやSNAIL RAMPのような
所謂メロコア。
あとはちょっと戻ってTHE BLUE HEARTSとか。
でも一番好きなのはTHE YELLOW MONKEYとSIAM SHADE、
それにSEX MACHINEGUNSとT.M.Revolutionでした。
この頃はメロコアを聴くことでようやく英語詞への苦手意識はほぼ払拭されていたと記憶しています。
青春パンクなんてのが流行ったのもこの頃でしたね。
なんかむず痒くてあまり聞きませんでしたが。
中学生の頃は音楽番組を観たりレンタルで借りたCDをカセットテープにダビングすることで音源を増やしていましたが
高校生になると入学祝いにCD/MDコンポを買ってもらい
お小遣いも増えたので自分のCDを増やしたり、MDのおかげで録音した曲が管理しやすくなりました。
え、MDが何か分からない?
昔の人はMDを木の棒の先に取り付けて、それで魚を取ったりしてたんですよ。
自転車での行動範囲も広がりました。
中学の時は校則で隣町までしか行ったらいけないことになっていましたが
高校は様々な場所から生徒が集まるので、そんな縛りは無いわけです。
順調ではないもののどうにか高校生活を送っていたある日
音楽の話で仲良くなった友達のムラサワくんがすごい情報をもってきてくれました。
「おい!○○町のレンタルビデオ屋、高校生でもAVが借りれるらしいぞ!」
○○町のレンタルビデオ店。
国道の近くなので車で通ったことがあり場所は分かります。
自宅から自転車で1時間程度。
これは挑戦する価値があるのではないか。
さすがに制服では行けないため、別の日に一人で私服で向かうことに。
日曜日、気候は暑くもなく寒くもなかったのですが
意外と坂が多い長い道のりを乗り越えてお店にたどり着くと、噂の真相が分かりました。
「アクション」「コメディ」「ホラー」とコーナー分けされた
棚の間をかき分けて店の奥に進むとそれはありました。
さすがに例の暖簾はくぐることには抵抗があって立ち止まりましたが
暖簾の外に「セクシー」というコーナーがあるではないですか。
どうやらセクシーコーナーは18歳未満でも借りることができるが
内容としては暖簾の奥の世界に近いものであるらしい
ということが推測できました。
でもセクシーコーナーにあるの、外国のやつばっかだ。思ってたのと違う!
しかしここまで来て引き下がるわけにはいかない。何より裸は見たい。
僕はセクシーな映画を借りるためにその場で作戦を練り始めました。
1本だけセクシー映画をレンタルしたら、そのために来たマセガキみたいだ。
(実際そのために来たマセガキなのですが)
まず外国人に興味津々の人であるかのように洋楽コーナーでCDを1枚選ぼう。
次に洋画コーナーで映画を数本物色する。
そのあと映画を選ぶのに迷って店内をウロウロしてセクシーコーナーの前を通りかかり1本キープする。
なるほど完璧な作戦っスね。
店員にバレバレという点に目をつぶればよぉ~
そうと決まればCDコーナーへ。
何か一枚、洋楽を手に取りたい。
その時ふと、先日友達とカラオケに行った日のことを思い出しました。
当時のカラオケにはデンモクのような直接曲を探せる機械が既にありましたが
歌本と呼ばれる、カラオケで歌える楽曲とその選曲のための番号が載っているブリタニカ百科事典より分厚い本がまだ部屋に置かれている時代でした。
その歌本をパラパラとめくって変な曲名を探すのが好きでしたが
(恋の~という曲名が続く中にこいのぼりが現れたり)
歌手別の欄を見ているときにT.M.Revolutionの隣のページに
いつも書いてあるDeep Purpleが僕は気になっていました。
ブラック・ナイト、スピード・キングってなんかカッコいい。
ハイウェイ・スターって噴上裕也じゃん。
紫の炎って八神庵じゃん。
そうだDeep Purpleを借りよう。
あ、このベストアルバムっぽいのが曲数多くてよさそう。
手に取ります。
続いて映画も物色。
なんかマイナー作品の方が時間をかけて選んだ感があっていいかも。
そして緊張の中、レジへ。
はたしてセクシーはサクセスなるのか。
会員登録の際に生年月日を素直に書いてしまったことは後悔しましたが
ダメだった時はそれまでです。
応対してくれたのは50歳近いであろう店長と思わしきおじさん。
1点ずつバーコードを読み、合計金額を言い渡され会計。
商品を受け取り店を出て駐輪場へ・・・
セクシーサクセス!
何故か帰りは自転車の速度が妙に早かったのは
追い風が吹いていたからでしょう。
ちなみにその日借りたのは以下の3作品。
『Deepest Purple』
『北斗の拳』(ハリウッド版 吹替)
『発情ヴァンパイア』
へとへとになって帰宅してから
「これ一週間後に返しにいかなきゃいけないのか・・・」と気付きました。
映画の感想は敢えて書きませんが、『Deepest Purple』はすごかった。
「Black Night」、コーヒーのCMこれだったんだ!
「Speed King」、hitomiのLOVE2000じゃねえか!
「Fireball」と「Highway Star」、速い!
「Smoke On The Water」、すげえ聞いたことある!
「Burn」も文句なしにカッコいいけど紫の炎の話はしてない!
昔のロックってどうなの?と思って聴いてみたら、速いし派手だし
何より歌メロが分かりやすい。
あとギターがすごい。いやリッチー・ブラックモアだから当たり前なんだけど
当時はそんな知識なんて一切なかったですからね。
語彙が無い感想を書きましたが、
全然ものを知らない高校生の当時の感想を可能な限り再現しています。
語彙が今とあんまり変わらないかも。
しかし衝撃を受けたのは確かだったにも関わらず、
このあともっとDeep Purpleを聴いてみようとならなかったのが
今思い返すと不思議ですし、我ながら残念です。
昔のロック、外国のロックは自分にはハードルが高いと思い込んでしまったのでしょうか。
でも、この数年後にしっかりとDeep Purpleは聴きます。
もちろんRainbowも。
3.そして書は捨てずにパンクを聴く
いろいろありながらも高校生活を送っていたある日
音楽の話で仲良くなった友達のムラサワくんがまたすごい情報をもってきてくれました。
「おい!千年屋でCDアルバムが500円で買えるぞ!」
千年屋。
当時通っていた高校の近くにあったお店で
1Fでは本や文具やCDを、2Fではスポーツ用品を販売しており
別に品揃えがいいわけではないけど
周辺の学校に教科書や部活用具を売って儲けている
ローカルながら地域には無くてはならないお店でした。
「千年屋なんかにそんなにいいCDある?」
千年屋を甘く見る僕にムラサワくんはニヤリとして言いました。
「俺は昨日、Xの『Vanishing Vision』を500円で買った」
これは行ってみる価値があるのではないか。
今回は制服を着たまま学校帰りに寄りました。
なるほどXが置いてあった形跡はありました。
しかし既に売り切れ。
そしてhideのアルバムは500円ではなく定価で売られている。
しかし広くはないCDコーナーを探し始めると意外と充実していて
FANATIC◇CRISISなど持っておきたいアルバム数枚を見つけることが出来ました。
他に何もないかとレジに向かおうとすると、あるCDの前で足が止まります。
それこそがMisfits『American Psycho』。
確か、BANDやろうぜのライブレポか何かで見た覚えのある名前で
顔を白く塗ったムキムキの人(今となってはマイケル・グレイヴスかドイルか分かりません)の写真とともに
伝説のパンクバンドであることを説明する文章がやけに印象に残っていました。
「なんかジャケがカッコいいし500円だし買うか。」
その後の人生で同じ理由でCDを買うことを多々繰り返しますが
この時以上の当たりはもうないでしょう。
Misfitsはそれこそ衝撃でした。
パンク=メロコアだと勘違いしていた自分に刺さったのはそのヘヴィさ。
なんか今まで聴いたパンクと全然違うんですけど?
2分の曲が矢継ぎ早に繰り出され、しかもリフが全部カッコいい!
曲の雰囲気は明るいのに歌詞は悪魔とか火星人が攻めてきたとか
そんなのばっかり。
ホラーでパンク!世界にはこんな音楽があるのか!
悪魔とか地獄とかゾンビとか墓場とか
好きな音楽に好きなモチーフ、
これが世界で一番カッコいい音楽かと本気で思いました。
その後、千年屋で同じくMisfitsの『Static Age』も500円で買いました。
なんで田舎の本屋にMisfitsが売ってるんだ。
ただ、このアルバムは1978年頃のごく初期の音源で
『American Psycho』とは全く違ったので最初はガッカリしました。
しかし何回も聴くうち「昔のパンクって、もしかしてものすごくカッコいい音楽だな?」
となり、これが後にThe Damnedにハマってゴシックロックを聴くきっかけになったり
他にもMisfitsの『American Psycho』の次のアルバム『Famous Monsters』が
ロードランナー・レコードからリリースされていたのが
その後Slipknotを聴いた時に自分の中で繋がったり。
今ではヘヴィメタル/ハードロックの方が自分にとって日常的によく聴く音楽になりましたがパンクやサイコビリーも聴きます。
そんな自分の土台を作ってくれたのは間違いなくMisfitsですし
さらにハードロックを聴く耳を作ってくれたのは
あの日聴いたDeep Purpleかもしれません。
あれ、でも10代で聴いた邦楽バンドもここまでちょくちょく書きましたが
音楽の趣味の土台ってやっぱりヴィジュアル系かも。
4.最後に
最初はMarilyn Mansonの『Antichrist Superstar』の話をするつもりだったのに
いつの間にかこうなっていました。
私を構成するアルバムを9枚選んで
9回noteを書くつもりでしたが
最初から力(りき)入れて書いて続くのでしょうか。
でも一番初めに聴いた音楽が最も思い出深くて、
最も文字が多いだけですから
次にまた同じテーマを書くときはもっと短くなるので
また読んでいただけると幸いです。
おしまい
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