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私を構成するアルバム③Marilyn Manson『Antichrist Superstar』

北千住で開催されていた「都市伝説展」で八尺様とグリーティングしてきました。八尺様ってグリーティングできる存在なんだ。
どうも、ザルソバです。

ニューネッシーや宇宙人解剖フィルムのように懐かしの話題から最近流行り(?)の曰くつきの呪物まで観ていて思い出したのは何故かMarilyn Mansonでしたのでまた昔話を。


1.オカルト・イズ・イン・ザ・TV

90年代に(第二次)オカルトブームがあったらしいです。

「らしい」というのは、子供だった自分はそのブームをブームとして認識できていなかったから。

ブームというのは急にやって来て、そして急に去っていくものです。
しかし物心ついたころからテレビではUFO、宇宙人、超能力、霊能力者、ネッシー、ツチノコ、埋蔵金!
小学生になる前後で学校の怪談ブーム!!そして木曜の怪談!!
からのノストラダムスの大予言で1999年地球滅亡!!!

産まれた時代が良かったのか悪かったのか。

オカルトや超常現象を扱うテレビ番組とともに育った自分にとっては、それは歌番組やニュース番組のように「あって当然」のものであり、数年で過ぎ去るブームであるとは思いもよらないことでした。
だって、みのもんたのお昼の帯番組ですら怪談コーナーがあったんですよ?
納豆は体にいいって情報と祖母の怨念の話を同じ番組内に組み込むな。

ただ、僕は心霊やホラーの類は苦手でした。怖いから。
ホラーの雰囲気やモチーフ、要は「人知を越えた何か」には惹かれるものの、心霊番組を観た日の夜に布団に入って目を閉じると、瞼の裏で恐怖映像をリピートしたり、或いは自分の都合の悪いイメージを脳内で再生して眠れなくなってしまい体調が悪くなるので、いつの間にかそういったものは避けるようになりました。

金縛りにあうことも稀にあったのですが、その時は寝ている自分の腹の上に乗っている"何か"をスタープラチナを呼び出してオラオラで退散させてもらっていました。
知っててよかった、幽波紋(スタンド)。

そんな僕が小~中学生の頃に最も好きだったテレビ番組は『特命リサーチ200X』。
都市伝説や怪奇現象などの様々な事柄を科学的に検証した映像と、実写ドラマパートで構成された日曜午後8時から放送されていた番組でした。

小学生だった自分はこの番組で、多くの超常現象(と思われた何か)には科学的原因があると学びました。
今や常識かもしれませんが、先述の金縛り現象は睡眠中に脳が突然起きてしまったにも関わらず肉体が眠っている状態であり動けない、そしてその状態では脳の覚醒も半端であるため夢を見ているような状況になるそうで、
それらの要素が合わさり意識はあるが体が動かず不思議なものを見た気になってしまうとのこと。
ということは、腹の上に乗っていた何かは幻だし、自分はスタンド使いではない。なるほど。

ポルターガイストやスカイフィッシュの科学的検証や丑の刻参りに関する考察も印象に残っているのですが、この番組をきっかけにハマったのがオーパーツでした。

その時代や場所から発見されるはずのない謎多き出土品、「out-of-place artifacts」を略して「OOPARTS」。
日本語で「場違いな工芸品」。
もうこの時点でカッコいい。
Mobile Operation Godzilla Expert Robot Aero-type
モゲラみたいで。

水晶髑髏や黄金シャトル、アショカピラー、恐竜土偶。
物理的に存在はするものの、その成り立ちについては不明なものが多々ある・・・それは超古代文明の遺産か、はたまた異星人がもたらした我々人類にとってのオーバーテクノロジーなのか。
まさに現代(平成中期)のファンタジー。

毎年12月に枕元にプレゼントを置いていくサンタクロースの正体を、親からかなり早い時期にネタバレされた自分には
「あり得ないかもしれないけど真実だったらと思うとワクワクするもの」
として、オーパーツの存在はキラキラと輝いて見えると同時に、果てしない闇を抱えているようにも見えました。
2023年現在だと成り立ちが科学的に検証済みだったり、捏造や勘違いだと証明されているオーパーツ(だったもの)もあるみたいですけどね。

この頃に読んだ漫画『スプリガン』と、寝る時間を惜しんでプレイしたゲーム『女神異聞録ペルソナ』や『ソウルハッカーズ』、『東京魔人学園剣風帖』がオカルト要素をふんだんに含んでいたのも、僕を怪しい世界に夢中にさせる要因になりました。


2.ふるほんやめぐり

もっとオーパーツのことが知りたくなったのは受験勉強が終わって高校生になった頃。
学校で人類の叡智をさんざん学ばせていただいていたにも関わらず、自分が本当に知りたいと思う生きるのに全く必要の無い知識は教科書には載っていません。

高校生ということで、携帯電話は『仮面ライダー龍騎』の1話で出てきたのと同じSANYO製のガラケーを買ってもらったばかりでしたが、wikipediaの存在など知らないため欲しい知識を自力で空っぽの頭に詰め込むにはどうしたらいいか考えました。

そうだ、古本屋へ行こう。
放課後、教科書はロッカーに置きっぱなして。本を入れるスペースをバッグの中に確保して。

幸運にも高校の近所に自転車で巡れる古本屋が数軒。
地元にはブックオフなんて大手チェーンは無く、どれも個人経営の埃臭いお店でしたが、探せばオーパーツをまとめた文庫本が一冊は置いてあり100~300円程度で買うことができました。
だいたい書いてあることは一緒ですけどね。先述の水晶髑髏や黄金シャトルに始まりコスタリカの石球とかバグダット電池とか。
アトランティス大陸のオリハルコンと竹内文書のヒヒイロカネを結びつける本なんかもあってワクワクしましたね。
人生の中で何も役に立ってないので内容は今やほとんで覚えていませんが。

それらの本を読むうち、UMAや古代核戦争説の本も読むようになりました。この頃の自分にメッセージを送ります。学校の勉強をしろ。


3.今からマンソンの自伝を読み直すのは気合が必要


さて、そうやって古本屋に通いながら趣味に没頭していた時期、あれがきます。

そう、イヤイヤ期を経て、第一次反抗期と第二次反抗期に続いて10代なら誰もが通るあれです。


シリアルキラー大好き期。


興味をもったきっかけは定かではありません。
テレビで何かを観たのか、もしくは大塚英志原作の漫画『リヴァイアサン』で切り裂きジャックの実際の被害者は4人(諸説あるそうですが)と言われていたから、それが本当か調べようとしたのか。

いずれにせよ、また古本屋でシリアルキラーの本を見つけて読みふけると映画や小説とは違った生々しさにハマってしまいます。
実際に被害者がおられるのにエンタメとして楽しむのはよくないんですけどね。
田舎の高校生という狭い世界しか知らない者にとっては、外国の、しかも自分の生まれるより前に起きたことなんて世界史の教科書に載ってる事件とほぼ同じ感覚でした。

詳細は省きますが、当時の自分はシリアルキラーに夢中でした。
アダムスファミリー2に出てくるトレーディングカードが本当に売ってないか探したり。

そして、シリアルキラーについてガラケーでポチポチ調べていたら、00年代なので当然あの情報に行きつきます。

「Marilyn Mansonはメンバー全員がアメリカの女優とシリアルキラーから取ったステージネームを名乗っている」

マリリンマンソンってそんな意味だったんだ!そんな世界一カッコいいバンド、聴くしかないじゃん!!
実はMarilyn Mansonは以前にも友達に聴かせてもらったことがあってその際はよく分からないというのが正直な感想でした(詳しくは下の記事に書いてます)

ただ、初めてMarilyn Mansonを聴いたあの頃より、ちょっとだけ知識や経験は増えています。今なら理解できるんじゃないか?
そう思い立って即刻中古CD屋に自転車かっ飛ばして値段が安かったので買ったのが彼らのEPである『Smells Like Children』。

当時J-Popやヴィジュアル系、洋楽といってもパンクを少々聴いていた程度の自分がMarilyn Mansonにチャレンジしたらどうなるのか。

これ、どこからどこまでが歌なんだろう……

曲がいっぱい入ってると思ったら喘ぎ声だけのトラックとかあるし……

AメロBメロのあとキャッチーなサビを聞かせてもらえて当然と思っていた自分にはには相変わらずこのバンドがよく分かりませんでした。
しかし、友達の家で初めてマンソンを聴いた時とは確実に進歩した感想が心の中に浮かびました。
「こんなにカッコいい名前の人がやってることなんだから、この音楽はカッコいいに決まっている。つまり理解できない自分の感覚がこのカッコいいバンドについていけていないのだ」と。

というわけで『Antichrist Superstar』をここでようやく聴くことになりましたが、これは一発でハマりました。

まず1曲目から分かりやすい。ガキにも理解できるカッコいいリフと耳に残る歌メロらしきものがある。
計算されたクレバーな狂気を感じる退廃的であり暴力的でもある楽曲たちは、聴けば聴くほど体に浸み込んで気が付けば虜になっていました。

歌詞は聞き取れなくても音楽に怒りや憎悪が込められているのが分かるのも大ハマりした理由でした。なんか厨二って何にでも怒りを感じてて、何かいろいろ見下すじゃないですか。当時SNSが無くて本当によかったです。
小論文とかに大学のレポートでMarilyn Mansonの歌詞を引用してましたからね。重ね重ね当時SNSが無くて本当によかったです。

「ブックレットのこの部分にはカバラ数秘術が」と何処かで見かければそれを調べ、アレイスター・クロウリーという名前が出たら黒魔術の本を読み……Marilyn Mansonに一番ハマってた当時は黒歴史の塊ですけど、自分の魂の一部でもあるので塊魂ですね。

Marilyn Mansonはゴシックロックというジャンルだと知ったのでBauhausとかFields Of The NephilimとかThe Missionとか聴いてたのもこの頃。部屋を真っ暗にして音楽を聴きたくなる年代ってあるじゃないですか。今でもやりますけども。

その後、お小遣いを貯めて遂に『マリリン・マンソン自伝』を買います。皆さんのお宅にも一家に一冊あるのではないでしょうか。
僕はパルコの8階にあったヴィレッジヴァンガードで買いました。

この自伝、マンソンの幼少期のところで「シリアルキラーの幼少期じゃん」と思った以外あまり内容は覚えてないのですが、彼のルーツの中にヘヴィメタルとハードロックがあることが何度も書いてあったこと(特にイングヴェイをクソ野郎を呼ばわりしてた部分)が記憶に刻み込まれています。

僕はハマった人がどんなものから影響を受けてるのか知りたい性分でして、そこで初めてじゃあヘヴィメタル聴いてみるかとなったわけです。

というわけで次からはメタルの話です。



おしまい

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