高校生だもの。#9
「 終夜、高速道路。」
遠出をした帰り道が好きだ。
高速道路を走る車の音が好きだ。
車内に響く車の音は、特別な場所で過ごした一日の終わりと余韻を感じさせる。
ラジオの微妙なノイズ音が、外からする車の音にかき消され、同時に風が窓にぶつかる音と重なる。
イヤホンで音を遮断するのは嫌で、睡眠で視界を遮断するのも嫌だった。
隣の車線を追い越していく車を見る。
遥か遠くに見える夜景を見る。
無限に走っていけそうな帰り道は、時間も距離も有限で、それすら特別に感じてしまう。
家に着いたら住み慣れた家の扉を開けて、眠れば明日は普通の1日。
秒速で過ぎていく特別な場所と今日。
さよなら、楽しかった一日。もう戻らない一日。
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