声を失った皿、暴れ顔
一晩しっかり寝て心なしか体調も回復している気がする、しかしながら喉がぜろぜろしているので快適とは程遠い。
今日も2番、2番にはいつも同じ場所に自閉症の男性が張り込んで恐らく自分と家族とのやり取りを完全再現しながら電車を待ち構えているので彼を目印に歩めば間違いない、ということに気がついた、ほんまにお願いやから毎日来てや、頼むで。
しっかし顔が重い、やはり副鼻腔炎か、と頭を抱える、熱が出そうな気配がする、しかし仕事が詰まっているので黙々と、粛々とすすめる、そうや、上司に言うことあるんやった、と思い出して、すいません、と言う、言うた、確かに言うたが、ひゅうしゃしゅー、と聞こえた、あれ、おかしいな、すいません、と言う、自らの声のはずがぴゅんぴゃしぇー、と風の音が聞こえる。
あれ、と思い、上司に近づいて、もう一度、すいません、と言う、しゅるふぁふぇー、と聞こえる、間違いない、声が出ていない。あらら。なんとまあ。
声どうしたん、ちょっと前まで声出てたやん、どうしたん、と驚かれる、説明するも2割ほどの内容しか伝わらず、筆談に切り替える、声が出なくなりました、それはそうとあの件ですが、と書いたところで、あ、今はインターネット革命後の世界や、と思いメールで伝える。
声を失ったカナリヤですねん、と言うてみるも届かず、メールで言うほどでもなく。
定時、おつかれさまでした、とすきま風のような声で言い突風のように去り、初めての耳鼻咽喉科に飛びこむ、なんと木曜の夜にやっている耳鼻科の少ないことよ。
しかし、初対面のおじいの先生が優しく、これはしんどかったね、全部あなたの鼻の中の炎症が悪さしてますね、ここしんどいね、と喉にぐりっと消毒液を塗る、信じられないほどにむせかえる、ジジイしばいたろかと思う、むせているわたしに、鼻を治したら喉もすぐ楽になるからね、スギ花粉の影響もありそうやね、薬出しとくからね、と言う、まだむせる、涙出る、また行く、ゲホゴホ。
おじいに消毒してもらったからか、その後喉の痛みは少しばかりマシになる、声は出ず、ひゅっ。
しかし顔面は暴れる痛みである。
晩御飯を作る気になれず、でも喉にいいものを食べたいのです、喉にいいといえばしょうが、しょうがをたくさん摂取できるところ、と思いガリ目当てに目に入った回転寿司に飛び込む、ばばっと食べてさっさと帰る、店員と話すこともなく全てが終わる世界、楽でいいけど、ほんまロボットに仕事奪われてるよなあ。
おびただしい花粉、物価高、上がらない給料、この世の楽しみとは。
寝る準備の天才なので19時半くらいに帰宅して風呂、弁当作り、軽い掃除、作り置きを終えて薬飲んで21時に就寝。