見出し画像

演劇調異譚「xxxHOLiC」観劇レポ

※ネタバレしかございません。これから観劇される方いらっしゃれば読まないことをお勧めします。
というより、読まずにみてほしいです。


昨日の真夏日が嘘のように、金木犀の香りを感じる秋らしい気候となった9月25日。
早朝から活動していた私は、夕方、
ようやく銀河劇場へ到着した。

目的は、CLAMP先生の作品「xxxHOLiC」の舞台
を観劇するためだ。
2.5次元と呼ばれるジャンルの舞台を生で観るのは
これで3度目である。
1度目は「憂国のモリアーティ」のミュージカル。
2度目は「文豪ストレイドッグス 三社鼎立」だ。

今回は大好きなCLAMP先生の作品。しかもxxxHOLiC。あの妖艶でオカルト要素から来る非日常的な世界。しかしこの世界のどこかにあると感じてしまうあの世界を、どのように表現するのかとても楽しみだ。

CLAMP先生やその作品との出会いを語り始めると
別のnoteを書けてしまうので、今回は語るのをやめておく。また何かの機会にでもと思うが、
一つだけ言えば「CLAMPのオタクでありCLAMPによってオタクになった」のは私である。

また今回は出演者のファンだからと言うわけではなく、作品のファンだから観劇する。


何だかんだで開演30分前ぐらいに会場に到着した私は、とりあえずパンフレットを購入。
席に着いたのは開演10分前だった。
席は前の方の端。想像よりも近くテンションが上がりつつ、セットの凄さに緊張する。

そのセットはこれぞxxxHOLiCと感じるあの煙の柄が施された大きな襖のようなものが、何重にもセットされており、ステージは階段仕様。
セットだけでもワクワクする。

開演前アナウンスも流れ、暗転。
真っ暗の中1人の人物がステージの中央に立つ。
スポットライトによりハッキリと映し出されたその人物は

壱原侑子だった。


正直困惑した。そのものだった。
佇まいやオーラ、衣装。話し方。
全てが『本物』だった。


「ぇ....侑子さん.....?」

そう心な中で疑問を唱えたと同時に、私の目には涙が溜まり始めていた。過去2つの作品も「うわ!本物だ!」と思ったが、涙が出るほどではなく。どちらかといえばテンションが急上昇してニヤける方だった。
しかし、侑子さんを見た瞬間。
侑子さんだ....と胸が熱くなったのだ。

しかし、こんなタイミングで流すわけもいかないし、視界がボヤけるので必死に抑え、
無事に視界がクリアになる。

そして次に現れたのは

四月一日君尋だった。


そしてまた困惑する。またしても本物だった。
同じ感想だ。しかも、四月一日はリアクションがめちゃくちゃ大きく、身振り手振りも大きいのだが、それが完璧すぎて、
余計に四月一日らしさがあった。

そしてそれは、この後登場してくるひまわり、百目鬼をはじめとする全キャラに思うというのは
言うまでもないだろう。

「キャラが生きている」「キャラが存在している」と言うのはよく言うが、まさにそれというか。
もはやそれ以上だった...。


そして驚くべきなのは、今回この舞台は
「オールメイル」なのだ。
つまり、キャストは「全員男性」。


しかし、先程あげた壱原侑子をはじめ、九軒ひまわり、座敷童、雨童女、女郎蜘蛛などは「女性キャラ」である。
それなのにも関わらず、私は本物だと思った。
それだけで、今回の役の作り込みの凄さは伝わるだろう。(もちろん男性キャラも)


本編の内容にうつろう。

始まりは、原作1巻冒頭、侑子さんの台詞から始まる。そして、四月一日が、侑子さんの店に入ってしまい、淡々と「それは必然だから」と話す侑子さんと「いやでも勝手に!!」と言い張る四月一日のやりとり。その傍ではしゃぐマルとモロ。原作で何度も何度も見た、馴染みのある光景が目の前で繰り広げられる。
そして、はしょりすぎず、しかし舞台用に展開はスムーズに進んでゆく。

四月一日は侑子さんの店でバイトする事になり、料理や掃除などの家事から宝物庫の整理整頓。何から何まで押しつけられる。文句を垂れながらもちゃんとする姿は、四月一日そのものだった。

あと、ここでマルモロに触れておこう。

めっちゃ可愛い。まじで。尊い。可愛いあの2人そのものだった。本当に可愛い。ほんとに。(語彙)


そして最初の話は「嘘をつく癖がある女性」の話だ。

直近では原作も新装版の発売により、1〜4巻までは読み直して観劇できたので、鮮明に内容も覚えていた。最初から出てきてはいるが、改めてアヤカシの表現の仕方はとても納得がいった。

アヤカシ役の人が、実際に指や腕を掴み「動かない」を表現する事で、原作に現れるあの嫌な黒いモノが纏わりついているのと重なる。
コンパクトに纏められたとはいえ、xxxHOLiCの世界に引きずり込まれるには十分だった。

そして、ひまわりちゃんや百目鬼も揃い始めメイン人物が揃う。

皆浴衣を着て登場し、かっこいいし可愛いし綺麗だ。目の保養。
そして浴衣を着ているとなるともちろん話は、
あれしかない。
原作でも私が最もゾッとした「百物語」の話が始まる。

原作を読んでいるときも、まだあの世界観に慣れきっておらずホラーが苦手な自分としては、かなり怖かったのだ。
しかし、原作はもう何度も読み返しているので慣れてしまい、流石にもうそこまでゾッとする事はない。久しぶりに読むと、やっぱ怖いなー!とは思う。(新装版では思った)

ひまわりちゃんの話では、部屋一面に赤い字で「ここから出して」と書かれていた。というシーン。
原作でもその描写が描かれており物凄い怖かったのだが....舞台の演出でも赤い字でステージいっぱいに「ここから出して」という文字が広がり埋め尽くされた。視界に赤い字が大量に現れるし、ひまわりちゃんの語りも上手くそれともリンクして、怖さは倍増。

普通にビビった。のけぞった....。いや、ほんと。こわ。笑

続いて百目鬼くんのおじいさんの話。
「幽霊みたいな女だな」と思ったら「どうしてわかったの?」と言われたという話ですが、「どうしてわかったの?」という女の声が会場に流れた。
怖い。背筋がゾワっとした...。

この2人の感じた怖さは、まさに原作を初めて読んだ時に感じた怖さのそれだったので...
とても懐かしくもありつつも...
完璧な演出だなと感じた。

四月一日の保健室の話は、四月一日が一人ビビりながら話して他の三人と観客が「・・・。」となり、
侑子さんに「話し下手ね。」とピシャリと言われ会場が「ふふwww」っとなるギャグ展開になっていた。

そして、クライマックスの障子にに写ってるアヤカシ達というか霊が一斉に四月一日を襲うシーン...ウワッてなるほど影がぬるぬる動くのだが、それをかき消すのが

百目鬼静


めっちゃかっこいい。あの「気」の弓を射るシーン。食い入りました。めっちゃかっこいい。本当にマジでかっこいい。

そしてそのアヤカシ達が黒い塊となり侑子さんの持っていた壺に吸い込まれるのだが、そこである事に気付く。

あぁっ!!!
モコナが居ない!!!!!


あまりにも世界が完璧に作られすぎていて、モコナが居ない違和感に気づいてすらなかった。いや、違和感がなかった。ので、本来ここで吸い込むはずのモコナが居ないことでやっと気付いたのだ。
でも確かに、まずモコナをどう落とし込むのかだが、モコナを出すとやはり「ツバサ」とも切れなくなってくる為、なかなかに難しかったのだろう。
しかし、モコナが居なくともそこを完全にカバーしきれて居たのが流石すぎてならない。やはり企画に大川先生(大川七瀬・CLAMPの一人)が携わっているだけのことはある。安心感しかない。
むしろ、私たちはスタッフ陣に大川七瀬の文字がないと少し不安になるぐらいなのだから。

そう納得しているうちに、シーンはうつり和やかな雰囲気がステージ上で繰り広げられているのだが...
そこで私の目がとんでもないものを捉えた

めちゃくちゃかっこいい
百目鬼静である


彼は自分の頭ぐらいの高さで、障子の戸に右腕をおき体重をのせ、左手は帯に手をかけている。
正直めちゃくちゃにかっこいい。カッコ良すぎた。

え?!かっこよ?!?!?!は?!?!

内心取り乱していた。もう、私も射止められてしまった。めちゃくちゃかっこいい…後でブロマイド買お....(ちょろい。しかもちゃんと買った)


そろそろ書きながら次の話は何だったか...というような感じになってきたので、もう順番前後や抜けなど色々あるかもしれないが、許して欲しい。

とりあえず今頭に浮かんでいるのは
「バレンタイン」の話である。

座敷童の登場。めちゃくちゃ女の子。
可愛い可愛い乙女な女の子の座敷童...そのもの...
本当に男性ですか?と思う。

彼女は百目鬼から特別なチョコと共に魂を抜き取ってしまい、百目鬼は気絶。四月一日も慌てるがそこに侑子さんが登場。
慌ててそれどころじゃないんだー!!と侑子さんの後ろで倒れてる百目鬼を指さす。
それを見た侑子さん。

「ぅあぁ。(野太い)」


だいぶ笑った。だいぶ笑いました。
いやおもろ過ぎてwww


そして鴉天狗も登場。
原作でも賑やかで癖の強いキャラですが、
舞台でもそちらは健在。そしてなにより
「ギャグ担当」
めちゃくちゃギャグだったし、動きもコミカル。
クスクスって笑いからあははwwって笑いまでくれる。少し先の展開にはなるけど四月一日のお面つけて現れたときは、めちゃくちゃ笑ったww


そしてそして雨童女の登場ですが。
傘の扱い方、くるっと回るその仕草。
まんまやん...。傘の扱い方まじでもうそれすぎて...
うん....凄かった(語彙)

「紫陽花の下に眠る女の子」の話だったが、
今まで抑揚もない淡々とした話し方が特徴の百目鬼が、遂に、叫ぶ。
引きずり込まれる四月一日を必死に助けようと、「四月一日!!!!!!」と何度も何度も。

生で聞くともう....

あーーーーーーーーー.....スキ....


たまらないですね。あの瞬間は。

そして眠る女の子は、人形という形で登場しましたがめちゃくちゃ不気味で怖イ。
あの行ってはいけない黄泉に近づくのと、そちら側の存在になりかけんとするあの女の子の不気味さ。
素晴らしい表現だった。
ひまわりちゃんのリボンの演出も良かったし、
またひまわりちゃんが「これでいい?」とリボンを取るところもバッチリ見れたので、もう...
ありがとうございました。

そして女郎蜘蛛が出てくる「蜘蛛の呪い」の話。 

百目鬼の寺の掃除を手伝ってる中、蜘蛛の巣に掃除道具を絡めてしまった四月一日。百目鬼はその蜘蛛の巣を取る。という、何ら普通の出来事だが...
これが、蜘蛛の怒りを買い呪われてしまう。
百目鬼の右目は蜘蛛の巣で閉じられたようになり、開かなくなる。それを侑子さんに伝え、朝の掃除の出来事だと気づく四月一日。
しかし元々は自分が絡まったからで、呪われるべきは自分だと。しかし、蜘蛛は巣を壊した百目鬼を恨んだ。結果四月一日は、より蜘蛛の怒りを買うことで百目鬼の恨みを自分にうつす。
その事で、四月一日の右目は見えなくなり、
アヤカシ達の世界とも言えるあちら側の世界で特別な血を継ぐ彼の右目は取り合いに。
また、その事に対しても百目鬼はいい思いをせず、自力で四月一日の右目を取り返す方法を探す。
そして、その一方で座敷童は自分の身を犠牲にする覚悟で四月一日の右目を取り戻す為女郎蜘蛛のところへ向かい、それを聞いた四月一日が、座敷童を救う為女郎蜘蛛のもとへ行き......

....めちゃくちゃ長く書いてしまいましたが、めっちゃいい話なのだ。四月一日と百目鬼の絆が深まるというか、右目を分け合うきっかけになる話で...
もう本当に...何だかんだ絆深めやがって!!!!!!!

という尊いお話だ。

この話においてはまず、女郎蜘蛛。
いやもう女郎蜘蛛様でした。もうなんか、すごいな本当に。話し方がもう女郎蜘蛛様過ぎて、
心の中で「わぁ〜!!」と声が漏れる。

あとは蜘蛛の糸とそれに捕まってる座敷童。
もうその体勢大丈夫なん?というほどの体勢で捕まっており、蜘蛛の巣の本気具合がすごかった...

そして、誰かを助けるために自分を犠牲にすることは自分を大事に思ってくれている人を深く傷つける。という事...この作品においてもとても重要な部分であると思うのだが、そこを丁寧に描いてくれたのがとても嬉しかった。

と。こんな感じで、いろいろはしょってしまってはいるが本編を振り返ってみた。
あとはもう一度全体的な話をすると、

やはりステージのセットの動きが壮大でスクリーンなども活用し、様々な演出や場面の切り替えがとても素晴らしかった。
正直、円盤を買うと決めた理由の一つは演出や細かい小道具など、端の席だったのと視力の事もあり、少し見えにくい場面もあったため、
それをちゃんと見たいと思った。
もちろん、刺さり過ぎて素直に「円盤かう...」と
カーテンコールに拍手をしながら思ったのもあるのだが...

そして、舞台ならではの「歌」も素晴らしかった。要所要所に歌が入るのだが、まさにxxxHOLiCの世界観らしさが溢れ出る歌と、強く妖艶な美しい歌声で歌う侑子さんや澄んだ声で歌う四月一日が素晴らしく...。また聴きたくて円盤買おうと思い...

そして、xxxHOLiCならではのあのテンポの良い会話やギャグもたまらなく...ちょいちょい普通に笑っちゃいました。
それが何度でも見たくて円盤買おうともおm...

また、侑子さんの衣装が凄く素敵。
話が変わる事に衣装替えをされるのだが、
どうやって早着替えしてんの????という程に
衣装が変わる。どれもこれも原作からそのまま出てきたようなお衣装で...もっと近くでみたいし、なんなら全部写真集にして出して欲しいと思ったのでとりあえず円盤買おうto...

そして何度も言うが、やはりキャラの存在感...
指先や足先までのしぐさ、歩き方、話し方もうその全てが、それぞれそのキャラそのものだった....
また、原作のキャラ達は手足が長くてスラッとしていてあのスタイルは流石に3次元では無理という考えが崩れ去るほどスタイル良すぎて...もはや意味わからんあのスタイルの良さ。後ろ姿なんてもうなんかもう....ほんと...すごかった...(語彙)


また今ここまで書きながら振り返り思うのが。

もう一度再会して欲しい…もう一度あの2人を見せて欲しい。という願いが叶えられたからかもと思う。

原作では一度完結時に、侑子さんは姿を消してしまう。その理由は複雑なので、ここでは話せないが、四月一日は侑子さんの店を継ぎます。

しかし、四月一日はもう一度侑子さんと会うことを目標に生きるようになり、戻ではその思いが強くなり過ぎているが故の物語だろう、完結してないので何とも言えないが....

その為正直、ずっと私自身
侑子さんに戻ってきて欲しい。
また四月一日や皆と過ごす日々を
賑やかな光景を見せて欲しい。
そうどこかで思いつづけており...

それが舞台という形になって、目の前で見て体感して、目の前に立つ侑子さんを見た時に涙が出たんだとそんな気がします。お帰りなさい。という気持ちが少しあった気がする。

また、カーテンコール時もどこまでも皆のお辞儀の仕方が本物過ぎて、ステージから去っていくのに少し寂しさを感じるほどだった。

世が許すならスタンディングオベーションをしたいぐらい、感無量で、いつまでも何時間でも見ていたいと思う。そんな舞台だった。


演劇調異譚「xxxHOLiC」のキャスト・スタッフ並びにご関係者の皆様。
この度は素晴らしい作品をありがとうございました。
会場で拝見させて頂ける機会を頂けた事。
これも「私にとって必然なんだ。」と、感じずにはいられないものでした。
またいつか演劇調異譚「xxxHOLiC」にお会いできる日を楽しみにしております。
皆様が無事に千秋楽まで迎えられる事を
心より祈っております。

ざーら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?