②高校卒業から、ついに夢の第一歩へ。
こちらからの続きです
先生に報告
高校三年の担任は、どちらかというと事務的で、あまり熱量のない先生だったので、進路指導の女性の先生に報告に行きました。
彼女は高一の時の担任でもありました。
普段勉強を全くしない私を知ってるだけに、先生は自分のことのように喜んでくれ、こちらまで泣きそうになりました。
今でも忘れられない言葉をいただいたのですが、
『子供の仕事は受験を頑張ること。あとの金銭面は親の仕事。なので親にありがとうって言わないとね。』
ずっと苦しめられてきた親だけど、私もこの時ばかりは親に素直に感謝していました。
高校卒業間近
クラスメイトも次々に進学や就職が決まり、皆で卒業旅行に行こうかという話になりました。
某夢の国です。
私は、親が当然無理だろうな。とは思いましたが、プランを聞いてるととても楽しそうで、しかも学生にも優しい格安。
最後の思い出作りだから、もうすぐ成人にもなっていくわけだし。
いつもなら親の洗脳ロボットな私も、ちょっと頑張って親を説得してみようかな。という心持ちになりました。
しかし結果は当然、駄目の一点張り。
何故なのかという理由は、これまたいつも通り
『親が駄目だと言ったものは駄目だからだ!!』
だそうです。
諦めも持っていた私は、そりゃそうか、と幹事の友達にうまい理由をつけてお断りしました。
『お金出してあげようか?』
『うちの親から説得してもらう?』
ともいってくれましたが、うちの親が全くどんな存在か知らない人たちに理解などできないと思い、結局やんわりそれも断り、
私はどこにも行かないまま静かに卒業を待ちました。
家に帰ると人生最大の地獄が待っていた。
仕事がしたい。自立がしたい。というのは、正直親から離れて暮らしてみたい。という思いもありました。
これから大人になったら一人暮らしもできるかもしれない。そうなったらゆっくり1人で過ごせる。
これからはもっと人生が楽しくなるかもしれない。
私は学校から自転車で帰宅し、部屋のテーブルで綺麗な和菓子を見つけました。
あまりどこへも出かけない親なので、誰かからの貰い物かな?と思って箱をみていると。
祖母が台所から現れて、私にこう言ったのです。
『ちゃんと菓子折り持って頭下げてきたから。』
『どこに?また父さんが警察捕まったん?』
『違うよアホやな。あんたの行く学校。やっぱり行けませんって菓子折り持ってちゃんと謝ってきたから。あんなとこ行けるわけないやん。』
腰が抜けるとはまさにこのこと。全身に力が全く入らなくなった私は、とりあえず畳の上に横たわり、深呼吸をしながら気持ちを整えようとしました。
えっ、もう終わり?
これで私はもう終わり?
入学取り消し?
え…?
夜に父も帰宅
父にも何故なのかと聞いたら、
『あんな高い学校うちみたいな貧乏な家無理に決まってるやろ。それよりなんか仕事せえよ。
学校行かれんかった代わりに車の免許は取らせたるから、心配すんな!
おばーちゃんととーちゃんはお前のことが世界一可愛いんやから!』
私はその瞬間家を飛び出し、父が借りたアパートの部屋に行き、もう一度合格通知を眺めました。
その用紙をビリビリに破き、破裂音のようなものが耳に聞こえました。
覚えていないので定かではありませんが、私が声にならない声を叫んでいたんだと思います。
あんなに泣いたのはこの時が初めてかもしれない。
お金の問題なら、何故見学や受験までさせたのか。
楽器を買ってもらった時から、ずっとなりたかった夢の話もしてたはずなのに。
どうすればいいのかわかりません。もう自分の力ではどうしようもないのです。
何を言っても私の話なんか聞かない親です。
最初から私のことなんて何もわかってなかったのです。
親は多分、金銭面では無く、新しい環境で留学まである場所に行かせたくなかったんだと思います。
それまでの17年洗脳されていた心が一気に不信感に変わり、1度この人達はおかしいと思ったら、一気に精神的にも変化が現れ、
私はいよいよ壊れていきました。
続く
自分には何ができるのか、色々な仕事に就きましたが、いずれは執筆だけで生きていこうと思っているしがないライターです。