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最強の兄弟子について

※ 本記事は、Wantedly に紹介記事として投稿しようとしたのだが、なんと紹介記事は文字数が 255 字だったため泣く泣く断念し、note への転載を図ったものである。 ある人物の紹介記事なのであるが、よかったら読んでみていただきたい。


彼と出会ったのは、エンジニアインターン期間だったのですが、多くの優秀な兄弟子の中でも圧倒的な存在でした。

実装能力の高いプログラマは少なくないでしょう。
しかし、仕様設計から実装に落とし込む能力が高いだけでなく、プロダクト全体を掌握し、後進を育成する能力が高い人間はそんなに多くはないと思います。

彼はその3拍子が揃っていたのですが、中でも後進を育成する能力は別格でした。

育成能力に関して、「なぜそう言えるのか?」と思われるでしょう。
それは、私の前職が教員で、数多の教師を見てきた中でも、
「これほど育成能力の高い教師を見たことがなかったから。」
が答えとなります。

教育業界では教えることが上手な先生はたくさんいます。
むしろそれは、彼らにとっては普通のことです。
教師にとってそれよりも大事なことは、いかにして児童・生徒・自分の後輩(場合によっては上司や先輩)・保護者を その気にさせるか です。
これができる教師もそこそこいます。
教え方がうまかったり、その気にさせるというのは数ある育成能力の内の 1 つにすぎません。

では育成能力に関して、彼とその他大勢で何がそんなに違うのかというと、
ある問いに対して、ただ単に答えを与えず、その人が自力で辿り着けるように見守る能力が抜群だということです。
これは教職をずっとやっている人達でも、できる人は非常に少ないと思っています。見放すわけではありません。介入しすぎるわけでもありません。その人が、越えれそうで越えれない壁を的確に見つけて用意し、その時々で適切な負荷を与えるということです。大抵の人は、上記の2つの内のどちらかに該当するはずです。

たとえば、何か実装で困っていて質問すると、彼は丁寧に答えてくれます。
すると、(プログラマしかわからなくて恐縮なのですが)「OOO 完全に理解した」状態になります。

これは、素晴らし状態です。
理由は、まるで自分が神にでもなった気分を味わえるからです。

そんな余韻に浸っている私を横目に彼は、ゆっくりと口を開きます。
「では、OOO の xxx ってどうなっているんですかね?」
「...ん?」

私は少し考えます。
すると、さっきまで私の脳を支配していた全能感が、タンブルウィードのように転がって霧散していき、今度は視界が歪み始め、足元から闇に飲み込まれていく感覚に襲われます。

そうです 「OOO ナニモワカラナイ」状態 です。

ここからが本当の始まりです。
私がパンチを繰り出すと、三倍になってカウンターパンチが返ってきます。
これはつらいです。
一生理解できないのではないだろうか...と錯覚します。
すぐに理解できる平易なものではないからです。
しかし、パンチしてやられて少し回復してパンチしてやられて... を繰り返していると何かしらが見えるようになってきます

おそらくですが、このときの過程が自分で何かを体得するということにおいて、非常に大切であり、できることなら何回でも経験したほうが良いことだと私は考えています。

彼が繰り出す 意地悪で本質的な問いかけ によって、浅瀬でちゃぷちゃぷと遊んでいる至福の時間から強制的に追放され、深淵に進む準備が整います。
そこから自力で調査し、その内容を基に仮説を立て、論証する。
その地道な繰り返しが、徐々に深く潜水できる時間を延ばし、なぜ自分の書いたコードが良くないのか ? あるいは、もっといい方法があるんじゃないか ? を考えるようになります。少なくとも現状の自分のコードが良くないということは明確に理解し始めます

インターン時代、優秀で教え方が上手な方はたくさんいましたし、もっと言えば、インターン期間だけでなく、私の生きている時間においてもそこそこ出会いました。
しかし、ここまで人間を成長させることが上手な人、いわゆる師と呼べるような人には、今まで一度たりとも出会ったことがありませんでした。
なので、今の自分のプログラマーとしての基礎は彼の教えによって形成されたと言っても過言ではありません。

「大袈裟だなぁ君は。」

そう思われた方は、ぜひ彼と一緒にプロジェクトを進めて見てください。
私の記述がそう的外れでないことを実感できると思います。


読んでいただきありがとうございました。
Wantedly にも似たような内容を圧縮して頑張って投稿します...


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