ローローの出エジプト日記⑤ - ロバさん、ヒーホ!
まんが: けんいちパンダさん
↑このとおり、なかなかホテルに着けません!
オリジナル投稿記事にも書きましたが、
「車が壊れた。ドンキーを拾ってくれないか」
タクシー運転手にそんなことを言われた時、まさか本物のドンキー(ロバ)ではなく、ドンキーという名前の車かと思いました。イギリスにも"ジャガー"という車があるので。
そしたら本当に動物のドンキー、つまり実際のロバが目の前に現れ、これに乗れやと言われびっくり仰天しました。
でも、このエピソードはイギリス人やアメリカ人には大ウケで、いつも話す度に彼らに爆笑されます。もはや私の「十八番」のエジプトエピソードです。笑
ロバはさておき、エジプトに留学している間、向こうの女の子たちに一番多く聞かれた質問が
「どうやって日本を出られたの。 どうやってババ(お父さん)の許可は得られたの?」。
最初は質問の意味がよく分かりませんでした。
しかし中東の多くの国々では、父親や夫もしくは息子の許可がないと女性はパスポートを取得できない、
パスポートがあっても勝手に出国できない、男性の署名の入った渡航文書がなければなりませんでした。
なぜなら女性は男性に庇護されるもの、つまりそれは女性だけで渡航させるのは危険だ、
男性の監督や監視が必要だという考えが根強く、男性が女性を管理する長年の保護政策があったのです。
成人になっても女性を未成年者として扱い、パスポートの取得や海外旅行には男性(前述のとおり、自分の産んだ息子も含む)の同意が必須でした。
以前の投稿にも書きましたが、エジプト人男性と離婚した某日本人女性も(エジプト国籍も所有する)娘を連れて帰国するのに、大変苦労を強いられました。
カイロ空港は既に押さえられているだろうから、そこからはおそらく出国できない。
そこでその日本人女性はイスラエルまたぎの陸路から出国して、日本へ逃げたのです。
これ似た話で有名なのは『Not Without My Daughter』。
アメリカ人女性が書いたノンフィクションで、彼女はアメリカでイラン人男性と結婚し、娘をもうけます。
そして家族三人でイランへ行きますが、夫の人格が豹変。アメリカ人妻は離婚したいけれど、できない。また娘の問題がある。
結局、彼女も空路による出国は諦め、幼い娘を連れ過酷な山を越えトルコまで渡り逃げきる話でした。
夫の許可なしで娘を連れて国外へ出たのですから、見つかれば死刑に遭うところでした。
ちなみにこの本はエジプトでは発禁でしたが、私はまんまと持ち込んでいたので、(旅行会社勤務の)エジプト人女性たちに貸してあげました。
(ちなみに別の発禁本、サウジアラビアの王女の告白本『Princess: A True Story of Life Behind the Veil in Saudi Arabia』も持ち込んでおり、エジプト人女性たちにまわしました。強烈なサウジアラビア王族の暴露本でした)
こういった本をエジプト人女性たちは、感情移入して夢中になって読んでいました。感想は全員一致で
「イランの男もサウジの男もイカれている」 笑
話はそれましたが、エジプトでは2000年過ぎた頃、ホスニー・ムバラク大統領は個人の地位法の見直し議案に署名をし、
新しい全国女性評議会の議長を務めたスーザン・ムバラク夫人は、男性の承認なしで女性が渡航をできる権利と、夫の承認なしに離婚できる権利のために動きました。
その後、大統領の座から引きずりおろされたムバラクですが、妻のスーザン共々にずっと多産の危険性や女性への負担を訴え、避妊を推奨し続け、そして一夫多妻も批判。
少なくともムバラク夫婦は女性の個人の権利向上に頑張っていたのではないか、と私は思います。
2018年頃になると、「#guardianship_is_my_right」というハッシュタグをsns上で多く見かけるようになりました。エジプト人のフェミニストたちが再度大声を出し始めたのです。
本当に、いちいち男性の承認が必要というのは非常に厄介です。あるエジプト人女性は
「学校を変えたり、旅行したり、政府のサービスにアクセスしたりするための書類が必要になるたびに、海外の父からの署名を待たなければなりませんでした。」
とメディアのインタビューでも話していました。(2019年)
エジプトで、ようやく女性が渡航が自由にできるようになり、離婚申請もできるようになったのは2020年です。
その一年前の2019年には、サウジアラビアでも女性がパスポートを申請して自由に旅行できる、という女性への制限を緩和する新しい法律が発表されました。
どうしても外国に留学したかった若い女性が、父親のインターネットをハッキングし、
政府のアプリの設定もハッキングで変更した、という事件が起きるなどあったといいます。
しかしこのサウジアラビアでは、女性が刑務所を出たり、家庭内暴力の避難所を出たり、結婚する時などはいまだに男性の同意が必要だそうです。
とにかく、エジプト人女性が渡航がままならなかった90年代の時代に、まだ20代前半だった私が
「自分の意志でエジプトに来た。父親は関係ない」
と言うと、彼女たちはみんなたまげて、それはもう驚いていました。当時のエジプトでは考えられないことだったからです。ずいぶん羨ましがられました。
さて、けんいちさん作の漫画ですが、次にやっと宿に到着します。
それにしても、漫画のロバ...
いろいろツッコミ満載です。
しかも「ヒーホ」とか鳴いている、
ヒーホです、ヒーホ...
ロバがヒーホです、さすがけんいちワールドのロバ!!
空港→宿まで何話にもまたぎましたが、結局、ロバに最後全て持っていかれた、ヒーホロバのインパクトにローロー完敗!
続き
ハッピーゴールデンウィーク!! (六本木のお店。カイロ時代の友人アメリカ子が遊びに来日🍸✨in 2016)
参照
https://apnews.com/article/9eeb5af80f796f2b8d3a1b9cf20b3fac
https://www.cbc.ca/news/world/sew-saudi-laws-women-travel-1.5234225
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