見出し画像

Do BUY! 中東ゴージャス航空会社入社試験✈①~それは元宮殿の舞踏会場だった

↑前

中東ゴージャス航空こと、Do Buy 航空(←当時、知り合いエジプト人が命名😂👏)の入社試験を受けることになった。

それで、"林氏"の件で、親しくなったエジプト航空の日本人客室乗務員の山田さん(仮名)に"航空会社採用試験ノウハウ"について、ちょっと相談した。

山田さんは、林氏の後ろで黙って立っていた女性のひとりだが、あの件以降カイロに飛んで来る度に、私に連絡をくれて食事に行く仲になっていた。


エジプト航空は、成田ーマニラ(停まって一旦下ろされたり、そうでなかったり)-バンコク(必ず下ろされた)-カイロのルートだった。

乗務員はバンコクでは必ず数日スティするものだそうで、日本人乗務員の皆さんは日本より授業料が安いバンコクの英語スクールに通ったり、マッサージに通ったりしていたそうだ。


とにかく毎回バンコクの同じホテルに数泊するので、そこでいろいろ"職場恋愛ドラマ"が生まれちゃうという。

山田さんも、エジプト人の客室乗務員のリーダーとバンコクスティ中に親しくなり、お付き合いをしていた。すでに求婚もされているという。

(↑エジ男氏はほとんどみんな、求婚が早い。二人がじっくり付き合って時間をかけてから結婚する、という文化がないからだ)


山田さんはいろいろ悩んでおられ、

「ああ、それでカイロに住む私の意見を求めているのだな」

とすぐにぴーんときた。


私はただちに、私と親しい日本人マダムたちを紹介した。

彼女たちが山田さんに言ったのは

「エジプト人の女性に求婚する場合は、必ず家も用意し十分な貯金も蓄えている。そしてすぐに自分の親、特に父親に会わせる。それをやってくれましたか」。

「日本人の妻はビザ無しでどこでも飛べるが、夫はそうではない。日本の入国ビザすらも、日本人と結婚しているのに難しい。

金銭感覚も全く違う。またお金があれば、あるだけ使い切る人種なので、いつも揉める。

マザコンの度が過ぎる、息子への体罰は当たり前とみなしている、娘への締め付けが厳しい」。

...

ちなみにこれを言った全員のエジプト人ご主人は、高学歴で海外留学経験者ばかりだ。

ヨーロッパやアメリカの先進国または日本で出会って結婚した、というご夫婦もおられる。それなのに"助言"というより"愚痴"か!


最後に、彼女たちが、山田さんに声を揃えて言ったのが

「絶対にへそくりを貯めなさい、絶対に全財産だとか貯金を見せてはだめ」。


彼女らは、お金のトラブルのことをえんえんと一番言っていたので、本当に大変なんだろうなあと思った。

旅行会社のエジプト人スタッフたちを見ていても、胸元にある分だけのお金を使い切る、そして見栄っ張りなのでお金持ちじゃないのに、すぐに高額な車、スーツ、香水、革靴をぽんぽん買う。

「いつまた観光業が、戦争やテロでおじゃんになるか分からないよ」

と忠告しても、笑い飛ばしてくる。また身の丈に合ったものを身につけよう、と言うと

「ベストなものを身につけなければだめなんだ」と反論される。


結局、山田さんはその後どうされたのか分からないが、それは置いておいてこの時、彼女には航空会社就活攻略を教えてもらった。


「私の場合は、エジプト航空を受けた時に、○○航空(外資)も受けたの。事前にそこの航空会社の人事担当の名前は仕入れていたの。

だから面接では、いきなり

"How are you,Mr ○○?" とその人事担当者の"フルトネーム"で声をかけ、

そしてその人事が紫色好きという情報も事前に入手していたので、私は薄い紫のジャケットに薄い紫のネックレスを付けて行ったのよ」。

「...」

驚いた。そこまでしなければならないのか!

「でも、どうやってそういう個人情報を入手するの?」

「ああ、東京なら○○スクールをご紹介してあげるのだけど...そういう専門機関があるのよ。

その代わりお金はちょっとかかるんだけども、そこの個人スクールに通えば、それぞれの志望のエアラインに、受かりやすくなるための具体的ノウハウを全て教えて貰えるのよ」。

(↑※今はこのスクールは、もうないので悪しからず...)


「...」

知らなかった、びっくりした。

でも私はそう、彼女の言うとおり都内ではなくカイロにいる。しかも試験まで、日にちももうあまりない。

第一、就職面接のノウハウ云々の前に、まともなジャケットすら売っていなく

(変なフリフリレースがついていたり、変な派手な刺繍入りだったり、妙に形が野暮だったり)、

試験に着ていく服(リクルートスーツ)すら、怪しかった。


しかし山田さんの話は、非常に"ヒント"にはなった。

「人事担当の個人的嗜好や趣味の情報を仕入れることはできないけど、ドバイ人についてのリサーチはやってみよう」。


アラブのことはアラブに聞け。

エジプト人、シリア人、レバノン人などの知り合いにドバイ人についてあれこれ質問した。

しかし誰も何も知らない。しかも90年代だったので、ドバイの知名度が今ほどではなく

「ああベドウィン? 靴を知らない人々でしょ?」

「砂漠を裸足でうろついて、テント暮らしじゃないかな」

「Do buy !??お前は何を売りつけたいのか!?」

「ああ、俺は知っているよ。歴史も文化も何もないベドウィンの国だ。行ってもショッピングしかない。DO BUY COUNTRYだ!」

...


結局よくドバイのことを分からず、分かったのはアラブ首長国連邦の一つということと、国全体が砂漠とショッピングだけ、人々は靴を知らなくてテントで裸足でいる、ということだけだった。


試験会場へ向かった。


試験会場はナイル川中洲のゲジーラ(島)にあるザマレック地区にある、マリオットホテルだった。

ちなみにザマレックとは、トルコ語で"幸運の地" (habitation of fortune)の意味を持つ。

なぜトルコ語由来の名詞や地名がエジプトには多いのか、それは今度書くとして(←テロの話に繋がるので外せません)

マリオットホテルカイロはもともと宮殿だった。ここの宮殿ホテルについてもまた、オスマントルコ帝国のことと共に改めて興味深い歴史と逸話を書きたいなと思う。


服装は、同じザマレックの小さなブティックで取り揃えた。どれもこれもmade in France のタグがついていたが、絶対ウソ。パッチもんだ。

実際、型も色も素材も酷いクオリティーで、made in Germanyのストッキングだなんて、袋を開けた瞬間から"よれている"。

例え、本当にmade in Germanyだとしても、旧東ドイツ製に違いない。


マリオットホテルの試験会場に行って、びっくり仰天した。

受験者は私以外、全員エジプト人だったが、ロビー中、匂いが強烈極まりなかった。

多分、50?100?人ぐらい受験者はいたのだが全員が全員、香水を振りかけまくっており、辺りは数十個のドラム缶分といっていいほどの、濃厚な香水の匂いで充満しきっていた。


匂いだけではない。服装もびっくりした。紅白歌合戦の舞台裏そのものだったのだ。

お祭り?宴会?というようなけばけばしいドレス...ジャケット着用もいたが、ほとんど全員、演歌歌手または宝塚のようなフリフリ。

男も上下真っ赤なスーツや、若い頃の郷ひろみが着ていたような上下ピンクのスーツ、ズボンはもちろん裾が広がるバンタローンタイプ。

ネクタイはくまのプーさん、キャプテン翼、ミッキーマウス、しかもどう見ても、そのミッキーマウスは"パッチもん"(←関西出身のもののふ椿さん、素敵な単語を教えてくれてありがとう✨)。


上下灰色だった私が、断トツに地味だった。

だから、真っ赤なドレス姿のエジ子さんが、露骨にじろじろみてきて鼻で笑ってきた。

するとパープルレインのプリンスの服装そっくりのエジ男が、それに気づき

「失礼だよ。」と真っ赤ドレス子をたしなめ、そして私に向かい

「Hi! How are you?」。


ハウアーユ?

一瞬、あんたも東京の、就活㊙テクニックを伝授する○○スクールに行ったんかいな?

とびっくりしたが、いやいやエジプト人は初対面ですぐにhow are you?と言ってくることを思い出した。


気づくと、私は大勢のエジプト人受験者に取り囲まれていた。しかも、全員、知らない人なのだけど男も女も異常に馴れ馴れしい。

そしてべらべら英語で話しかけまくる。


はて?

と思ったがすぐに分かった。

なるほど!

DO BUY航空試験のスタッフたちを見て、納得。

採用側のメンバーは全員、イギリス人なのだ。この中東ゴージャス航空採用担当はイギリス人しかいなかった。

ドバイという国では、ドバイ人は部長とか役員クラスでしか存在していないことを、私はまだ知らなかった。


エジプト人受験者らは、

「ほら、私はこんなに英語を話すのよ、気づいて気づいて」

「僕はこんなに国際人だよ、見て見て」。

それを採用担当のイギリス人たちに誇示したく、むやみやたらに外国人の私にすりすりしてきて、響き渡るように大声で英語をしゃべりまくっているのだった。さすがエジプト人。


いよいよ、筆記試験のため、会場入場の時間になった。マリオットホテルの従業員たちにより、複数の大扉が一斉に開いた。

会場の中を見て、私は目をひんむいた。

「ここが試験会場か!?」↓

画像2

つづく


続き↓


↓これはルクソールのウィンターパレスホテル

画像2

↓私(向かって左)の手(指)がなんだかおかしい👻

画像3

画像4

↓ウィンターパレスホテルの旧館は"出る"👻話が多かったですが、私は遭遇👻しなかったです。

画像5

↓アスワンのオールドカタラクト。やっぱり私の手がおかしい👻

画像6

画像7

↓オールドカタラクトこそ、"出る👻"で有名でしたが、今はどうなんだろう?私もこのホテル(ただし旧館のみ)でいろいろ経験👻しました。

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

↓オールドカタラクトホテル百周年に泊まった記念の表彰

画像14


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?