G.W.は英語を!? まずは 「言葉使いに気をつけてMind Your Language」!
「英語で議論ができないのなら、日本語で議論してください」
某優秀大学の敷地内を犬散歩で歩いていたら、開いている窓の教室から教授のそんな声が耳に入った。
ひょっこり覗くと、英語のクラスだった。
「英語の授業で日本語議論!?
こんなに偏差値の高い大学の英語の授業が、まさかこんな感じとは!」
私が絶句すると、一緒に歩いていた犬のおじいさん(元某芸大の演劇の先生)が
「そういえばね、昔オーストラリアで国際演劇フェスティバルがあってね、各国代表の役者たちが即興で英語芝居をすることになったんだよ。
ところが、日本人だけができない。
主催者も見かねて"日本語で結構です"と言ってくれたんだけどね、それもきまりが悪いから、日本人役者たちはパントマイムやサイレント芝居でごまかしたんだよ。
何となくそんなことを思い出しちゃったけど、いまだに日本人は英語が駄目なのかねぇ」。
英語...
そういえば私が中学か高校生の時、英語の先生がリーダーの授業中にこんなことをきっぱりと言い放った。
「本当は君らは英語なんて勉強しなくてもいいんだ。
世界が日本語を学ぶ時代になのだから」。
ちょうど三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを買い取り、東京の皇居の地価がカナダ国土全体よりも高い、と世界中に報道された頃だった。
ま、調子に乗っていた時代ですナ!
英語の先生が「世界の言語は日本語になる」と言ったが、私はアメリカに留学をしたかったので、先生の言葉に"騙される"こともなく、英語の勉強にはとても努力を続けた。
語学センスがないのは努力で補うしかない。
例えば中学一年生の時からは、NHK英会話のラジオをカセットテープに録音し、毎日英会話を暗記をした。
FENラジオ放送も毎日聴き、英語の歌(特に発音が綺麗で聴きとりやすかったカーペンターズやSIMON & GARFUNKELなど)も暗唱し、同じ洋画も何度も何度も繰り返しみた。
聞きとれない単語が出てきたら"音"をノートに書きだし、英英辞書(ロングマン)でひいた。
港区など歩いていると、英語をべらべら話しながら歩く外国人に遭遇したので、中でも優しそうで身なりのよい年配者を選んでは、声をかけた。
「私は高校生です、英語を学んでいます。アメリカに留学したいと思っています」。
どの外国人も全員ニコニコして、英会話の相手をしてくれた。
余談だが、たまたま私が声をかけた西洋人のおじさんがミック・ジャガーの音楽プロデューサーだったことも、
U2のメンバー、マイアミサンドマシーンのグループの全員、そしてショーン・コネリーのマネージャーだったこともあった。もちろん実話だ。
高校生になると、語彙を増やすためにニュースウィークの英語雑誌も学割定期購読した。
そして新宿紀伊國屋の洋書コーナーの『バーゲン』の棚から、古い号の『セブンティーン』や『コスモポリタン』の雑誌、面白いかどうか全然分からないペーパーバックを慎重に選んで買っていた。
アメリカ大使館でも、アメリカの大学の資料をいろいろ貰えたので、何度か足を運んだ。
通っていた高校は大学附属の女子校だったので、全体的にのんびりしている女子学生ばかりだった。
留学したい、外国の大学に行きたいなんて言っている生徒は他に皆無だったのだが、
数年前の卒業生にも私のような生徒がおり、その先輩も高校を出た後、上に進学せずアメリカの大学へ行った、と担任の先生に聞いた。
それで早速、その先輩の実家の電話番号を先生から勝手に教えてもらい(!)、いきなり私は電話をかけ、そのお母さんにいろいろな留学準備のあれこれを伺った。
ちなみに先輩は早朝には工場でバイトをし、放課後も何かバイトをし、高田馬場のサイマルのTOEFLコースに通っていたという。
学校の休み時間中にも、私は自分の机から離れずTOEFLの勉強ばかりしていた。受験校でもないまったりした校風だったので、その中でひとり必死に勉強するのはなかなか大変だった。
しかし、私がTOEFL問題集を黙々解いている姿を見ていた、英会話授業のカナダ人先生(カナダ大使夫人でした) がこっそりあるオファーをしてくださった。
「あなたは本当に頑張っているから、応援したい。学校に内緒で無料で英会話の個人レッスンをしてあげるわ」。
そして、本当に学校にも同級生にも内緒にして、週に二回、学校帰りに乃木坂の超豪華マンション(とにかくものすごい豪華だった)のお住まいにお邪魔をした。
親に言われたこともあり、「レッスン代を支払います」と私は訴えたが、カナダ人先生は決して受け取らなかった。
「授業料は一切いりません。その分、留学費用に回しなさい」。
この経験から、カイロでは日本語を勉強しているエジプト人の女学生らに私は無料で日本語個人レッスンをし、
身内の子供らにも無料で英語をみてあげた。自分がかつて受けた恩を、継承したいなと思ったから。
一年後、残念なことにカナダ人の先生は、大使のご主人の異動で日本を離れることになった。
そこで
「授業料はかかるのだけど」
と、同じく自宅で日本人に英語の個人レッスンをしているという、イギリス大使夫人を紹介してくれた。
有料とはいえ、相場に比べると非常に安かった。夫人もボランティアのお気持ちで、日本人らに英会話を教えてくださっていたのだ。
ところで、イギリス大使夫人の豪邸には、イギリスから持ってきたビデオを沢山あり、私が英会話レッスンに行くたびに、毎回何かしらのビデオを貸して下さった。
いろいろなジャンルのビデオを借りたが、
中でももっとも印象に残ったのが、『Mind Your Language』シリーズだ。
↑自分の民族衣装で授業に来なさい、というテーマの回。右手の日本人と中国人の"民族衣装"! www しかも一番後ろのイタリア人はマフィアの服装!
『Mind Your Language』は長く続いた非常に有名なシットコムシリーズだ。(ググったら1977年~1979、1985年)
これはロンドンの英語学校が舞台で、教室内で繰り広げられる、各国の生徒たち(みんな大人)のやり取りのあれこれを、
いろいろ誇張しながらステレオタイプで面白可笑しく、皮肉やブラックジョークも交え見せていくコメディー番組(シットコム)である。
もちろん高校生の時に見た時は、正直そんなに面白さが分からなかったが、ふとちょっと前にYouTubeで見直したら (YouTubeに全話ありました)、お腹を抱えて笑い転げた。
今では絶対問題になる人種、民族、宗教、政治のテーマにもガンガン突っ込んでいるのが、むしろとても爽快で面白い!
第一話は、ロンドンのある英語学校に、新しい英語先生のブラウン先生(30代の男性)が赴任するところから始まる。
校長先生は女性なのだが、ミセスと呼ぶべきかミスと呼ぶべきか、これが混乱する。そんなこと、今では大問題でしょうな。
しかも女校長は、教師の仕事は女性に向いており女性の方が優秀だ、男性は雇いたくないときっぱり言いのける。これもまた今では逆性差別でひっかかるだろう!
でも試用期間をもうけられ、ブラウン先生は男性だけどもなんとか仮採用される。
初日の授業-
遅刻してきたのはスペイン人で、ちゃんと時間とおりに教室に入っていたのはドイツ人と日本人。高校生の時にビデオで見た時は、全くこの細かい面白さに気がつかなかったなあ。
「ポルファボール」ばかり言うスペイン人。
まず、ブラウン先生が「僕の名前はブラウン」と自己紹介をする。
するとパキスタン人生徒(失業者)の男がへっ?とキョトンとし目をぱちぱち。
「それはおかしい、あなたはホワイトじゃないか。ブラウンは僕とそこの彼女(インド人)だ」。wwww
そして生徒たちの席順を決めるのだが、これが揉める揉める。
パキスタン人のイスラム教徒とインド人のシーク教徒(ロンドン地下鉄職員)は、絶対隣同士の席は嫌だ、とわめく。
↑パキ男とインド男が揉めるシーンですが、我関せずの太郎(日本人)とヨーロッパ人は遠巻き、揉め事が日常茶飯事の国の生徒たちが、慣れているのですぐに仲裁に入るだの、上手い!
↑「働くより無職の方が稼げる」を言っているところ。(イギリス高額失業保険への皮肉)
↑インド男の口癖! このシットコムは生徒たちの個性をよく出しているのが上手い。
↑イタ男の口癖。驚くたびに「サンタマリア!」。
困ったブラウン先生はモスリムのパキスタン人生徒に
「ローマカトリックはどうか?」。
「ローマカトリックとは紛争がない」
「じゃあ君はイタリア人の隣席に座って」。
日本人の"太郎"(武士道電機メーカーのロンドン支社の駐在員)には
「ジャパンとチャイナの関係はどうか?」。
太郎、何て答えるのかな、とドキドキして見守ると w
太郎は
「日本は右翼、中国は左翼」。
!!!
それを聞いたブラウン先生は、太郎を中国子(中国大使館の秘書)の隣にさせるのは止す!!!!
ちなみに"太郎"は"いつも首からカメラをぶら下げていて、"メイドインジャパン"が世界一だと思っている。
(なお役者は中国人なので、日本人視聴者がみると、太郎のお辞儀の仕方や英語の訛りなど違和感があります)
中国大使館で秘書を務める中国人子は、いつも毛沢東語録集(赤い本)を持ち歩いていて、英語学校にも持って来る。
(↑爆笑させてもらいました)
↑「日本の空手より中国のカンフーの方が凄いのよ」。いちいち張り合う中国と日本人生徒たちという設定。でもシリーズ後半は仲良くなっていた!
座席決めにさんざん時間がかかった後、ようやく授業が始まる。
もともとよく喋るパキスタン人とスペイン人(バーテンダー)はすぐに何でも口をはさみ、かたや英語が全然分からないインド子(専業主婦)は授業中に編み物するし www、
同じく英語が全然分からないスペイン人は、ブラウン先生の言っていることが何も分からない。
すると、意外と親切なイタリア人(シェフ)が、ちょくちょくイタリア語の単語で英語の意味を言ってあげる。
するとスペイン人は「おお、そういう意味だったのか!」と理解!!
イタリア語とスペイン語の単語は非常に似ているんだ、ということがこの二人のやり取りで分かる。
ボンキュンパッ(←死語)のフランス子(オペア!懐かしい!)はセクシーで色気をふりまき (のちに途中から入学してくる色気スウェーデン子に、めらめら対抗心を燃やす)、
ガタイのいいドイツ子(やはりオペア。時代ですな...)は常にむっすり。また彼女はvとwの発音区別できない。ドイツ人あるあるか!?
↑ドイツ人のアンナ。髪型とか服装とか爆笑しました。太郎が日本製の電化製品や車を自慢するたびに、ちょいちょい対抗してドイツ製押しをするというのも笑えますw
これはテレビ番組のフィクションなので、もろもろ大袈裟に描いており、だから外国人生徒役の俳優の皆さんが、時折笑い出すのを堪える表情とかをし、見ていて微笑ましい。
でも改めて思う。
誇張された番組とはいえ、外国語を学ぶ教室ではこれくらい下手くそでも喋らないと、英語でも何語であれ語学の習得は無理だ。
冒頭の偏差値高い大学の英語授業...
「英語で議論しなさい」
と教授に言われ、教室がシーンと静まりかえった。
もういっそう、この『Mind Your Language』のシットコム番組を授業で見せろ、と思う。
好き勝手支離滅裂なめちゃくちゃ英語をまくし立てる生徒たちを見ると、勇気づけられるから!
でもロンドンに英語留学したい!と希望する学生は減るかも。ブラウン先生のクラス、あまりにも強烈だから! 爆笑
とりあえず、第一話だけもゴールデンウィークにお勧めです!
↑日本人の太郎はいつも一番後ろの席にしか座らない、ガンガン前に出てくる人種の生徒が前方席を占めている、というのも上手い!
↓よければゴールデンウィークにも第一話だけでも!
↑警察に捕まったけど、パキスタン英語が分からない警官との通訳に借り出されたブラウン先生w 台詞が馬鹿馬鹿しいけどいちいちツボに入ります。