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キャッシュレス決済ポイントと水道料金減免で議論
昨日、令和6年度第4回定例会が閉会いたしました。
今定例会で最も意見が割れたのが、最終日に追加議案として提出された「議案第79号令和6年度一般会計補正予算(第8号)」です。
この議案の中身は、国が示した「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」に基づき、重点支援地方交付金を活用した生活者支援及び事業者支援の事業を実施するため、以下事業を計上したものです。
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争点となったキャッシュレス決済ポイント還元事業
上記の中で争点となったのは、キャッシュレス決済ポイント還元事業です。同事業は、対象期間中に市内の店舗でQR決済などのキャッシュレス決済を利用することで、ポイントが還元される仕組みです。物価高騰の影響を受けた市民の消費を下支えするとともに、中小事業者を支援することを目的とした取り組みであるとの説明を受けました。
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事業内容や開始期間、事業者、還元率、事業予算は不明確
今回は、債務負担行為(翌年度以降の支出を決定するための行為)として上程されています。その理由は、現時点で事業者を決定しなければ、重点支援地方交付金を活用した事業の実施ができなくなるためです。しかし、12月19日に開かれた事前の議会運営委員会での説明によれば、事業費や業者についての具体的な計画は示されておらず、1億6000万円という予算も、あくまで債務負担行為の限度額を設定したに過ぎないとのことでした。
債務負担行為の性質上、事業内容が確定していなくても法令上問題はありません。しかし、一般的に適正さを判断するためのポイントとなる契約内容や事業予算が明確でない状況は、慎重に検討すべき事案ではないかと感じていました。
説明に尽力する姿勢は評価
12月19日開かれた議会運営委員会から23日の提案日に向けては、短期間ではあったものの、副市長や総合政策部長から、県内で先進的に同事業を進める伊勢原市のアンケート結果を参考に、事業効果や想定されるキャッシュレス決済の方法、さらに消費者実態調査のキャッシュレス決済の利用状況などが伝えられ、説明に尽力する姿勢は見られました。
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拭えなかった高齢者やキャッシュレスを使えない方への対応
しかし、高齢者の中には、スマートフォンやキャッシュレス決済に慣れていない方が多く、また、キャッシュレス決済を利用できない方の中には、技術的な問題だけでなく、金融面やインフラ面で制約を抱えている方もいます。
実際に、先進的に取り組んでいる伊勢原市のアンケート結果では、「高齢者にとって不平等な制度である」「キャッシュレス決済が難しい」「紙の商品券のほうが良い」といった意見が寄せられています。
さらに、佐藤市長は本会議で「1つの支援策ですべての課題を解決するのは非常に困難です。今回実施するキャッシュレス決済ポイント還元事業についても、すべての市民や事業者を支援することは難しいと承知しています」と述べられています。
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市内店舗のキャッシュレス対応への不安
市内の店舗では、キャッシュレス決済への対応が進んでいない現状があります。その要因の一つとして、決済手数料が店舗側にとって大きな負担となっていることが挙げられます。
特に、市内の中小企業は、日々の営業努力を重ねながら経営を維持しているものの、消費税分の値上げすら難しい状況に置かれており、厳しい経済環境の中で懸命に取り組んでいます。今回の説明では負担軽減に向けた支援策等も未定という状況でした。
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自由民主党座間議員団・座間市公明党・あおぞらひまわり会で修正議案を提出
同事業については市民に寄り添ったきめ細やかで、効果的・効率的な事業とは考えにくいこと。さらには、キャッシュレス決済に慣れていない高齢者やデジタルデバイスを使用できない方々への配慮が不足している点が懸念されること、そのうえで、原油価格や物価高騰は生活者、事業者の区別なく全ての市民に影響を及ぼしていることを鑑みれば、分け隔てなく一律に支援することが公平かつ公正であり、過去に実績があり市民から高い評価を得ている水道料金の減免措置について言及し、債務負担行為を除いた修正議案を提案いたしました。
令和8年度から水道料金の平均改定率が18.78%引き上げ
本市では、座間市公営企業運営審議会により水道料金について令和8年度から令和10年度までの3年間、平均改定率で18.78%引き上げる答申が示されています。この改定により、毎月の使用料金は、以下の表の通りに引き上げられることが明らかになっています。この増額は全市民にとって大きな負担となり得るため、今回その前段階として減額対応を実施することで、市民感情に寄り添う対応が可能になると考えます。
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結果は否決
修正案は賛成多数を得られず、正式な採用には至りませんでした。一方、原案については、賛成多数で可決され、正式な決定として認められました。これにより、当初提案された内容がそのまま実施されることとなります。今後は、原案に基づいて具体的な施策が進められることとなります。しかしながら、現時点では事業の詳細が十分に明らかにされておらず、不透明な部分が多い状況です。また、いくつかの重要な課題も依然として残されています。特に、事業に関与する関係者や対象者への十分な説明や事業の実施に必要な準備が整えられているかどうかといった点が課題となります。また、限られた予算の中で最大の効果を上げるための費用対効果の検証も重要だと考えます。