災害対策について 空振りは許されても見逃しは許されない(令和6年3月一般質問)
能登半島地震での職員派遣で得られた教訓は?
能登半島地震での本市の緊急消防援助隊としての協力や職員派遣、水道局の給水車派遣などの近況や派遣で得られた教訓などについて伺いました。この中で、本市の備蓄品の管理について発災後、直ちに需要が発生する物資と避難生活を送る中で長期に渡り需要が発生する物資について精査する必要が述べられ、特に早期に必要となる備蓄品を重視して整備すると語られました。
そのうえで、早期に必要となる備蓄品ということで、乳児のいる女性のプライバシーを守り、断水時にも利用できる液体ミルクの備蓄を行うべきことを提案させていただきました。こちらについては、賞味期限が短いことや保存場所に課題があることが示されましたので、期限の迫ったものは福祉支援として有効活用することや、粉ミルクとの使い分けを予め決めて両立させること、また、検討が単なる検討にならないため、すぐにできる対応としてまずは、液体ミルクを災害時に提供してもらう協定をメーカーや小売店結ぶ努力をしてほしいとお願いをいたしました。
職員参集訓練の実情踏まえ、動員計画の見直しを求める
本市のシェイクアウト訓練は今年で12回目となりました。今回は、新たな試みとして、事前の防災カフェで起震車体験や煙・初期消火体験などの防災啓発を行い、市民への自助意識啓発、シェイクアウト訓練への呼びかけを行ったこと、さらに都心南部直下地震を想定した災害対策本部訓練や職員参集訓練を実施したことが伝えられました。
特に私が着目したのが、プラス1訓練として実施された職員参集訓練についてです。当局からは、今回の職員参集率は約8割で、実災害時においては訓練時よりさらに少なくなることが予想されると示されました。
そこで、本市は会計年度任用職員が多い自治体でもあるため、会計年度職員の参集や動員についてはどう考えているか尋ねたところ、会計年度任用職員は正規職員との職責が異なるほか、単年度任用のため、その年の採用人数が不明確な上、災害対応における研修や訓練等の機会も限られているため、参集及び動員については慎重に検討する必要があると述べられました。
答弁からもまだまだ協議がされていない感じがあります。改めて、最悪の状態を考え、動員計画等の見直しを行っていただくことをお約束していただきました。
降雪時の対応、近隣市は「警報」、本市はなぜ「注意報」だったのか?
2月5日に久しぶりとなる降雪がありました。本市では当日11時47分に公式LINEと緊急情報いさまメールで「大雪等注意報」が通知されました。気象庁では、16時22分に「大雪警報」が本市含めて神奈川県央エリアに発表され、隣接する海老名市や綾瀬市、大和市でも「警報」を流しております。
しかし、本市では、発表基準を下回っていたことや著しく市民生活に影響する障がいは少ないと判断し、さらに警報が発表された時間帯については、帰宅時間が間近であったことから、鉄道事業者に運行状況を確認し、運休の予定がないことを確認した上で、「警報」に関する周知を見送ったということが述べられました。
曖昧の判断では、情報の内容やボリュームなどにバラつきが生まれ、職員の責任の負担が重くなることや、その判断ができる職員がその場にいないことも考えられることから、誰でも同等の内容を発信できる一貫した情報提供に努力すること、また、他市ではできるだけ一貫した情報提供に努められるよう、Jアラートを活用されている状況をお伝えし、Jアラートと連動した情報提供システムの更新が必要だということを述べさせていただきました。
「警報」と「注意報」で生じる大きな差
また、当日の危機管理課の物損事故や立往生の把握状況や待機態勢についても確認させていただきました。
市では車の立往生や物損事故の状況は把握されてないとのことでした。また当日の職員は自宅待機ということでした。
今回近隣市では警報を出されましたが、本市では出していません。この差がどのように表れるのか、内閣府の「市町村のための降雪対応の手引き」を参照にお伝えすると、警報を出すと警戒態勢がとられ、災害警戒本部が設置され、大雪前の職員参集、道路パトロールの強化にも努めることが求められます。さらに厳しい降雪で立往生車両や大規模渋滞が発生している場合は災害対策本部に切り替えられます。
少し厳しいことを言わせていただきますが、今回警報を出さなかった。そして警戒本部どころか自宅待機という状況です。また、現に立往生もありましたが、把握をされていません。これだけ状況が変わってしまいます。
「災害においては空振りは許されても見逃しは許されません」改めて、危機管理という意識を強く持っていただきたいと感じました。
避難所運営におけるDX化検討から1年以上が経過。スピード感を持って対応を
令和4年第4回定例会で避難所運営におけるDX化に関する質問をし、その後1年以上が経過したため、どのような検討がされ、どのような状況になっているのか伺いました。
当局では、内閣府が主導する「クラウド型被災者支援システム」への移行について検討していることが述べられました。地方公共団体情報システム機構(通称、J-LIS)が運用しており、高度なセキュリティを維持した総合行政ネットワーク(LGWAN)回線を用いることで、本市住民情報システムと自治体基盤クラウドシステムが連携されていることや、マイナンバーカードを活用した「り災証明書」のオンライン申請やコンビニ交付などが可能となること。さらに、住民基本台帳データを活用することから、被災者台帳を迅速に作成するほか、拡張機能として避難所の入退室管理も可能となることにメリットを感じているということでした。他のシステムも検討したものの、難者の個人情報の中には、障害者情報やDV等を理由にした避難者情報等、極めて重要な情報が含まれるため、「安全面」を第一に考えているとのことです。
クラウド型被災者支援システムの導入については、自治体基盤クラウドシステム(BCL)を導入している自治体(本市は導入済み)は、、イニシャルコストとして600万円から1600万円、さらにランニングコストとして基礎額18万5,000円+人口×10円ということで13万人とした場合130万円ですから、148万5,000円がかかります。
そのような中で予算抑制ということで、現在早期導入のための特別措置、簡単に言うと割引制度が設けられています。これは令和5年度までに利用開始すると基礎額が25%の13万8,750円+人口分20%の104万円ということで、ランニングコストが117万8,750円になります。通常より30万6,250円割引になるということです。なお、令和7年度までの対象となっているため、早ければ早いほど割引額が大きくなります。市税を投入する事業。このような特別措置の対応についての考え方も確認いたしました。
そのほかにも、昨年4月に組織改正が行われ、危機管理課が市長室での直轄体制からくらし安全部内に改変されましたことに対しての、利点や課題含めた検証、さらに首長間の連携についても質問させていただきました。