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第四話:街を突き抜ける(茹だる残暑の京都街歩き)

前回記事はこちらから。

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高倉二条でつけ麺を食べたあとは(③)一つ目の目的地である新風館(④)に向かって南へ進む。新風館は、レイヤーのように重なりながら、歴史が紡がれている建物だということを以前のnoteで紹介した。

烏丸御池の交差点から少し南へ歩くと、以前と変わらない安心感のあるレンガとアーチの窓が物が見えてくる。烏丸通りのオフィスビルの中で風格のある佇まいだ。

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エースホテルのロビーを見に行きたかったので、姉小路通側に回り込む。すると、先ほどのクラシカルな印象から一変。ザ・隈研吾という感じのルーバーな外観と大きな木の柱梁がホテル側のエントランス。

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隈研吾の設計でいくつか見たことがあるもので、元のファサードと関連性もあまり感じないし、私はこのガチャガチャしたファサードが好きではないな、とすぐに思った。ただ、好きではないということを敢えて宣言することで、この生まれ変わった新風館との距離感を探っていきたいという思いもある。

中に入ると、賑やかな感じで、これぞエースホテルという感じ。なんでもない週末であったが、ちょうど開館して、コロナ禍の緊張も解けてきたタイミングであったので、地元の人や少し旅行に来てみた人なんかが溢れている。

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大きなテーブルで本を読んだり、ソファでリラックしたりまるで街のリビングという感じでリラックスしている人たちもいる。

ロビーの奥にはスタンプタウンコーヒーというカフェが入っている。このカフェの内装がすごくおしゃれだった。タイルの感じやステンドグラス風の窓、カウンターのシンプルな架構、照明や天井裏のダクトなど、センスよくまとまっていて、個人的には好きな空間だった。

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以前の新風館は中庭が広場のようになっていたのだが、今回のリノベーションで、緑あふれる小径になっていた。緩やかなカーブを描いているが、この小径は陽が差す京都の街中の路地のような心地よい感じ。

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中庭の奥まで進むと、さらに奥に道が繋がる。京都っぽい店舗が入っているストリートであり、こちらは一見すると普通のショッピングモールのような感じでもあるが、道を抜けた先が、普通の京都の小さな通りなのでなかなか新鮮な感じだ。

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内装のディテールやクラフトなどについては、密度もボリュームもあるので、語り始めればキリがないように思えるが、お腹いっぱいな感じで、一つ一つを確認していく余裕がなかった。

ただ、京都にある通り抜け路地を一つの建物でやっている建物構成など、大枠だけをみても奥深くて、この建物はさらに長年かけて街に馴染んでいくだろう。

この中庭や路地のような通路を通り抜けるときには「街を突き抜ける」というワードがちょうどよい。車が通る道路ではなく、歩行者のための空間を通るときには、風や陽の光、小さな建物のディテールなどに気づくような感覚が研ぎ澄まされるような気持ちになる。この街の突き抜け感を味わえるのは、京都に限ったことではないが、特に碁盤の京都だからより、突き抜け感が際立ってくる。

さらに烏丸通りを南に進んで、京都経済センター・SUINA室町(⑤)へ向かう。もともと京都産業会館という硬派な建物であったが、数年前に建替られて1階には大垣書店というローカルであるけど数店舗のチェーン展開している本屋さんが入っている。この本屋さんもところどころで足を止めるスポットがありながら、街を通り抜けるような構成になっている。

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さらに奥の駐輪場を抜けると、COCON烏丸の建物の中に入る。

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こちらも古いビルを改装した商業施設である。京都らしいという感じはないが、どこか昭和的な懐かしさがある建物で、この通りを抜けるとまた烏丸通りに戻ってくる。

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縦横無尽に街や建物の中を突き抜けていくと、思わぬ風景に出くわす。そんな偶然の出会いを求めるために街歩きを続けていくのだと思った。もう少し南へ進み、折り返しの五条通りへ進んでいく。

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