見出し画像

「ライフスタイルホテル」について考える(ホテルに泊まって思考ドライブ ④ THE KNOT TOKYO Shinjuku)

前回の記事はこちらから。

リブランドで生まれ変わったホテル

「THE KNOT HOTEL Shinjuku」は、初回のDDDホテルと同様にホテル⇒ホテルのリノベーションで誕生したホテルだ。このようにホテルが名前を変えて生まれ変わるパターンを「リブランド」と呼ぶ。

前進の「新宿ニューシティホテル」は、修学旅行や団体旅行をメインターゲットとしたホテルとして30年以上営業を続けていたが、そんな老舗ホテルを「いちご」という不動産会社が2016年に買収した。そして「旅するホテル」をコンセプトにリブランドを実施し、2018年8月に再オープンしたのが、「THE KNOT TOKYO Shinjuku」だ。

運営は新宿ニューシティホテルを創業した池田創業株式会社が引き続き行っている。その経緯や新しく生まれ変わったホテルに込められた思いについては、こちらのいちごさんのウェブページを見てほしい。

ところで、この中で紹介されている「ライフスタイルホテル」という単語について考えてみたい。

ライフスタイルホテルとは?

「ライフスタイルホテル」は、ここ数年でホテルやデザイン関連のメディアで紹介されるようになってきたジャンルであるが、定義が曖昧だ。Wikipediaによると、

ライフスタイルホテルは、現代的なデザインを特徴とし、パーソナライズされたサービスを提供することで、大手ホテルブランドとの差別化を図っている。ライフスタイルホテルを定義する際の最も重要な要素は、いわゆる「ブランド」ホテルよりも、革新的で個人的な体験を提供するということ。ライフスタイルホテルは、より多くの付帯サービスを提供し、生活を豊かにすることにフォーカスしている。

「パーソナライズされたサービス」? 「革新的で個人的な体験」? いまいちよくわからない。多くの付帯サービスがついていて、細かいニーズに対応できるという話であれば、それはむしろ、ゲストの思いをなんでも叶えてくれるラグジュアリーホテルが得意な分野だと思う。

一方、上記で紹介したいちごさんのウェブページにはこうある。

THE KNOTは、boutique hotelをさらに細分化したカテゴリーである「ライフスタイルホテル(lifestyle hotel)」をコンセプトとしている。ライフスタイルホテルは、デザイン性が高いだけではなく、地域との関わりも重視する。

「国内のホテルの多くは、地域コミュニティと切り離された存在です。」 いちごでホテルなどの投資事業を統括する細野康英はこう語る。「海外のライフスタイルホテルに宿泊して、地元の住民が気軽に立ち寄り、ホテルで食事をしたり、くつろいだりと、日常生活の延長のように利用し、ホテルに関わる場面を何度も目にしました。日本でも同じことができると思いました。」

こちらの記事の中でのキーワードは「地域との関わり」や「日常生活の延長」である。こちらのほうがWikipediaの記載よりも「ライフスタイル」の語感に近い。

"異日常"のライフスタイル

最近でこそ、コロナ禍でインバウンド客が街から消えてしまったが、つい半年前までは、東京あるいは日本各地で多くのインバウンド客が見られた。日本が初めての外国人にとっては「日本の文化」はSUSHI、TEMPURA、FUJIYAMA、ASAKUSAなのかもしれないが、何度も訪れるリピーター(前回記事でも触れたコアファン)にとっては、「日本の文化」はもっと自然な日本人の日常に近いものになっていく。

画像1

また、京都本でもよく見かけるフレーズに「暮らすように旅をする」というのがある。このフレーズはいわゆるリゾートで贅沢したり、観光地を忙しく廻るのではなく、地元の人が行くような店に行ったり、散歩をしたり、そういったことを楽しもう、という趣旨だ。

言い換えると”非日常”ではなく、自分の日常とは違う別の日常="異日常"を求めて旅をするということになる。("異日常"というワードは、JTB総合研究所の文章で見かけたものでオリジナルではありません)

そういう観点からみると「地元の人がよく使っているホテル」というのは、「その土地の文化」を体現したものになるし、そういった”異日常を求める人にとってしっくりするものになる。そういったホテルを「ライフスタイルホテル」ではないだろうか。

しかし、最近メディアで取り上げられる「ライフスタイルホテル」の中には、ただインバウンドに媚びて作ったようなオシャレホテルやエセな和テイストのホテルもあって、そういうものは個人的にはライフスタイルホテルとは呼びたくないな、と思っている。

ライフスタイルの相対化(試案)

画像2

旅先の国の文化、街並みや営み、人々の表情等、、、旅行とは、自分の日常とは違う世界を垣間見ることで、日常に埋もれて見えなくなってしまっている自分のライフスタイルを相対化できる機会である。相対化を通して、自分の日常を見つめ直す機会になるだろう。

この旅行の意義という話は、掘り下げていくと深いテーマになりそうなのだが、2日くらいグダグダ文章を書いてみたが、なかなかうまく言語できなかった。今後もこのテーマは折に触れて書きたいと思っているので、今回はこんなところで。

__________________________________

過去記事は以下にまとめています。



いいなと思ったら応援しよう!